『FALL』観ました。
ネタバレなしです。
あらすじ
クライミング中の事故で夫・ダンを失ったベッキー。
1年経った今も亡き夫の面影を追い、家族や友人にも心を閉ざしたまま。
そんな彼女を見かねた動画配信者の友人ハンターは、ベッキーを元気づけようと、古いテレビ塔への登頂に誘います。
気の進まないベッキーでしたが、夫の死を乗り越えるきっかけになればと決意し、挑戦を受け入れます。
しかし――高さ600mの頂上で足場が崩れ、二人は降りられなくなってしまう。
スマホの電波も届かず、助けを呼ぶ手段もない。
極限状態の中、二人は生き延びる方法を探し始めるのだが――。
高所恐怖症でなくても思わず足がすくみます。
助けを求める手段がことごとく失敗に終わり、希望が少しずつ削られていく様子は、見ている側の心まで蝕んできます。
緊張が張り詰めたまま進むこの作品は、心理スリラーと呼べるジャンルかもしれません。
あらゆるところに伏線が張られ、その回収も見事。
そして、塔の頂上で明かされる“友人ハンターの秘密”。
逃げ場のない状況での衝突と、協力せざるを得ない関係。
怒りを押し殺しながら理性を保とうとするベッキーの姿には、鬼気迫るものがありました。
ヴィンチェンゾ・ナタリ監督のカナダ映画『CUBE』では
閉ざされた空間で精神的に追い詰められた人間同士が
ぶつかり合う場面がリアルに描かれました。
人は極限状態に置かれたとき、本性がもっとも鮮明に現れる。
力で支配しようとする人。
精神的に攻撃する人。
無気力で非協力的な人。
ストレスがかかったとき、八つ当たりしたり、理不尽に怒鳴ってしまったり。
一度スイッチを入れてしまえば、もう戻れない人もいますよね。
よく「その人の本性を知りたければ、渋滞中の車内か山登りを見ろ」と言われますが、まさにそれです。
予期せぬトラブルに直面したとき、
精神的にも肉体的にも負荷がかかる中で、
どれだけ冷静に、周囲を思いやりながら行動できるか。
その人の“人間力”が試されるのだと思います。
怒りを抑えるのは簡単ではありません。
けれど理不尽な状況に出会っても、
相手の背景や事情に思いを巡らせ、落ち着いて対応する。
それは強さであり、優しさでもあります。
「自分の機嫌は自分で取る。
人に取らせてはいけない。」
この言葉を、改めて心に留めておきたいですね。
『FALL』で描かれるのは、まさにその試練の連続です。
一つうまくいっても、また一つ失敗する。
体力も気力も限界に達する中で、視聴者さえ気づかなかった“ある真実”が明らかになったとき、この映画の本当の恐怖が姿を現します。
まあ、そりゃ無理だよなw と思うシーンが映画の都合ではなかった様で、しっかり伏線が張られていました。
ベッキーの選択、生きるための知恵と決断には、
深い勇気と執念が感じられます。
亡き夫への想いと「生き抜きたい」という願い。
美しくも切ない。
それにしても、あの無機質で錆びついたテレビ塔の存在感。めちゃくちゃに怖い。。







