警察に囚われまいと頑なに抵抗する矢吹丈。
ジョーのためを思い、死闘に挑む丹下段平。
元プロボクサーの本気に打ちのめされたジョーは、
詐欺罪で逮捕され、鑑別所に送られることに。
たった一つの生き甲斐を奪われてしまった段平…
(第2回はこちら
からどうぞ)
第3回は『あしたのために』。
ジョーに一目会おうと鑑別所に通いつめる段平。
ですが、肉親以外の面会は禁じられているため、
いつも門前払いで取りつく島もない。
あきらめの悪い漢である段平は凄まじい執念を見せます。
「俺の夢があの鉄格子の中に閉じ込められちまった…」
「だがよジョー、俺はあきらめないぜ!」
「この丹下段平の執念の前には、
あんな鉄格子くらい屁でもねえってところをみせてやる!」
ある日、ジョーのもとに一通のハガキが届けられます。
差出人は丹下段平…
ジョーにとっては、その名を思い出すだけで、
血が沸きたつ思いだったはず。
段平に叩きのめされたときの記憶が蘇ってきます。
激情にかられ、ハガキを破り捨てるジョー…
ここまでは誰もがたどるシナリオでしょうし、
二度とそのハガキは目にしないでしょう。
だが、ジョーは違いました。
ただ単に退屈しのぎだったのかもしれませんが、
もしかしたら、超越的な意思が働いていたのか…
粉々になったハガキをつなぎ合わせると、
後世まで語られる名言を目にします。
『あしたのために』
パンチに理屈は無用だと笑い飛ばすジョー。
段平の拳キチぶりにあきれたジョーでしたが、ものは試しと…
いままでどんなに腕をぶん回しても聞こえなかった音を!
何度も、何度も。
ものごとには『正しいやり方』があります。
ですが、ほとんどの人が『自分のやり方』にこだわります。
天賦の才に恵まれたジョーですが、その才能をもってしても、
自己流では本物のパンチが打てなかった。
ですが、こだわりを捨てて段平の教えに従ったがために、
パンチが風を切る音を聞いた。
その刹那、『上達を予感』したのです!
もしかしたら、『正しいやり方』を教えてくれるハガキは、
誰にでも届いているのかもしれない。
ですが、感情に囚われて破り捨てていないだろうか?
それとも、ただ気づかないだけなのか…
段平が恋しい今日この頃。
【心がふるえたこと】
銀行員時代に同期だった友人が、
ようやく子どもを授かりました。
私と同い年ですから、喜びもひとしおでしょう!
いやぁ、心がふるえましたよ!
早速、慰労会が開催されるようです。
でも、何を慰労するんだ…