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明日への轍

齢五十を過ぎて、ある日大腸がんが見つかる。
手術から回復したと思った一年後、肝臓と肺へがんが転移。
更に続くがんとの付き合いを記録します。

12月18日にCT検査をして、今日その結果と診察、抗がん剤の治療となった。

四回の抗がん剤治療プラス別メニューの抗がん剤を三か月続けて、その効果がどうかとう言う事だ。

医者は「期待はしているんですよ」と言う。保証ができるわけではないから、便利な言葉だなという印象。

 

結果から言えば、縦隔部分の気になる所は小さくなることはなかった。

一番気になる所であった。期待もしていた。でも劇的に小さくなるということは無かった。

只、以前に九月にとったCTでは、前回の手術から急激に大きくなったように感じていたので、その後の三か月でもどんだけ大きくなるのかと心配していたが、大きくはなっていなかったし、新たな腫瘍も確認できなかった。

 

肺は、以前より小さくなっていたように思える。肝臓の部分も変わらないか小さくなった印象だ。

医師に確認したが、全体的に確認しており、9月に撮ったCT以降の確認を複数でして検討しており、新たな腫瘍の確認はないとの判断だった。

 

但し、縦隔以外にこれら別の場所に腫瘍がある状態では手術は難しいと言う状況は変わらないようだ。

だから抗がん剤の治療は継続で、更なる腫瘍の縮小を期待して行くと言う事である。

 

抗がん剤の治療が辛くて我慢できないと言う事はない。以前の病院で外注されていた三日間入院をしての治療に比べれば格段に楽であるし、毎週のように医師と相談できる環境にあることから、転院したことは良かったと考えている。

費用負担に関しても職場の保険やがん保険など安心して治療を受けられる状況にあるし、仕事を続けながら治療できて、しかも復帰についても不安がないことが有難い。

九月の精神状態は正直最悪だった。それからは時間も経って落ち着いている。

完治に関する期待がいまだに確実になっているわけではなく、常に不安が付きまとっているのは変わりないが、医師を信じて期待を持って治療に臨んでいきたい。

FOLFOX療法(46時間)の抗がん剤治療の三回目が24日~26日となった。

今回も、日帰りでポートから点滴を三時間程、それから携帯用のインフューザーポンプでの自宅治療となっている。

この点滴で注入される時に眠くなる成分があるらしく、二時間ほど眠ってしまった。

日帰りでの抗がん剤治療を受けている人は相当の数で、午後からの開始から終了まで一日仕事になっている。

 

FOLFOX療法での治療は三回目であるが、先週にセツキマシブ療法治療があった。

これは追加で行われる標準的な治療であるが、大腸がんの中でも正常型のRAS遺伝子をもつ場合と非正常型の場合があるようで、非正常型のRAS遺伝子の大腸がんには効果を発揮しないらしい。

手術で採取された細胞の検査結果から正常型のRAS遺伝子が確認されたと言う事で投与されることになった。

効果が期待される抗がん剤の種類が増えることになる訳で、嬉しい結果である。

この結果、二週間ごとのFOLFOX療法&セツキマシブ療法で毎週の病院通いとなった。

 

ざそう様皮膚炎の(赤みやぶつぶつ)の研究参加を依頼された。

抗がん剤治療に伴い、皮膚に症状が出た場合にステロイド軟こうをどのように投与したらよいかの研究らしい。

症状が出た人に種類の違うステロイド軟こうを塗ってもらいその効果を見ると言う事であったが、私の場合は、「強いステロイド軟こう」をつけるように種類分けされた。

顔には直ぐにそれとわかるような酷い皮膚炎は出ていなかったが、背中を見てもらったら結構広範囲にぶつぶつが出来ていた。

写真を撮ってもらって見て初めて判った。成程副作用なんだなと実感した。

 

二回目の抗がん剤治療が白血球(好中球)の減少で二週間延期になっていた。

やっと三回目で数値が元に戻った。先月の一回目に前の採血よりも高い数値だった。

成る程、医者の言う通り白血球は元に戻るものの様です。

 

さて、ほぼ一か月の間に髪の毛は相当薄くなった。どうせ抜けるなら手入れが楽なようにしようとスポーツ刈りにしてみた。

意外と違和感がない。

それと頻繁に吃逆が出るようになった。カミさんが調べたらこれも抗がん剤の副作用らしい。

なかなか止まらない。寝るときに苦労する。

 

今回の病院の抗がん剤治療は日帰りで点滴の投薬を受けて、あとは携帯用の投薬機で自宅で治療が受けられる。

とっても楽で有難い。以前に三日も入院して帰る頃に具合が悪くなった事もあった。薬が違うのかもしれないが体には負担が少ない。

今日は三日目で昼過ぎに携帯用の投薬機を自分で外した。後は医療廃棄物として病院に持って行って廃棄する必要があるらしい。

次回の病院は16日。これも別の抗がん剤を投薬するらしい。

体の調子は特に自覚症状もない。薬が効いていることを願いのみだ。

 

 

 

 

 

 

今回の抗がん剤は一月に治療したものとは種類が違うためか、副作用が強いようだ。

イリノテカンと言う抗がん剤のようだが、骨髄抑制(白血球減少、血小板減少)、吐き気、下痢、脱毛その他、色々あるらしいが、その中で骨髄抑制と脱毛が顕著にあらわれた。

 

二回目の抗がん剤が、二週にわたって延期になった。

白血球の中の「好中球」の数値が減少して、規定値まで戻らないためためである。

それと脱毛が一気に進んだ。ほとんど頭皮が見えるほど薄くなった。

仕方がないことだが、やはり初めての事なので穏やかではない。

実際に抜けた髪を見ると、以前と比べて相当細くなっている。髭も同様である。

投薬が終わればまた生えるらしいが、まあ、どうでもいいか。

 

次回からは、セツキシマブ単剤療法も行う説明を受けた。

複数の抗がん剤で癌治療にあたるわけであり、より効果のある治療となると期待している。

体調は良い。脱毛以外には気になる症状はない。

酒を控え、野菜を多くとるようしっかり食べて、よく歩くようにして体重を抑えている。

自分にできることは体調管理をして、病気を治すと言う意思を強く持って望む事位であろう。

人間が持つ自然治癒力を維持し、現代の科学治療の助けを借りて完治を目指そう。

 

 

 

今日は一日することがない。
残りの抗がん剤がなくなるまで待つ、そして、夕方には薬が無くなって初めての針の抜去作業となる。
入院していると余り良いことは考えない。どうしてもネガティブな事ばかり考えてしまう。
ここは癌専門の病院であることから患者と言えば全員癌患者なのであろう。
初期の人、末期の人、若い人、年老いた人。それぞれだ。

食堂で、七十過ぎと思われる女性から話しかけられた。妹が末期がんだそうだ。
周りに誰もいなくて、誰かに聞いてほしかったのかいろんな話を話し始めた。
母親は百を過ぎるほどに長生きで、兄妹も含めて長生きの家計かなと思っていたのに、一番下の妹がこんな病気になって末期がんなんて。
「順番じゃないのよね。当たり前だけど」と言っていた。

夕方に輸液が終了した。
看護師に教えれられて自分で針を抜去した。少々力が必要だった。それとしっかりと針を固定するまで抜かないと装置の力で針が戻り再度肌を刺すことになる。それは危険だ。そうなったら痛いだろうな。
針を刺していた部分の上部に3㎝程の傷と縫った後が見えた。ポートを入れた場所らしい。
糸が黒く光っていた。一週間後に抜糸に来る予定だ。

夕方になっても少々の吐き気は治まらなかった。何となく気分がすぐれなかったので、六時にコンビニで食事を買ってきて食べた後で横になっていたら寝てしまった。気が付くと既に九時過ぎで消灯の時間だった。
その後しばらくして眠りに落ちたらしい。二時半ごろ再度目が覚めたが無理してまた寝た。
やはり寝るとすっきりする。人間、睡眠は重要なものだと思う。