手術後十二日目(1月31日) | 明日への轍

明日への轍

齢五十を過ぎて、ある日大腸がんが見つかる。
手術から回復したと思った一年後、肝臓と肺へがんが転移。
更に続くがんとの付き合いを記録します。

今日は土曜日。再入院して三回目の週末だ。
昨日の雪が噓のように晴れ渡った良い天気。お出かけにも宜しい日和だな。

この土日は検査もなく経過観察だけのようだ。
食事後に無事に便通まで行くか。ドレーンの廃液に異変はないか。痛みはどうか。
それらを観察して異常なければ月曜日にはドレーン外しとなるようだ。
そうなれば、その翌日か翌々日の退院かもしれない。


通常の点滴がなくなって少々身軽になった。
尿がたまって夜中に目が覚めてトイレに行くのが苦痛だった。
何せ、口から飲まなくても常時水分が供給されるわけなので、短時間で尿意がする。
二時間位毎に目が覚めてトイレに行っていた。

それとベッドの布団を取り除いてもらった。
本来はマットレスにカバーだけなのだが、寝返りが打てない時に柔らかい布団を重ねましょうと
言うことで今まできたが、どうも柔らかすぎて腰が沈んでしまい却って腰が痛いような気がした。
家でも煎餅布団が状態であり、それに近づいたと言うことか。


便の状況はといえば、この二日ほどで以前より変わってきた気がする。
まず色が黒っぽいこげ茶色から明るい茶色に変わってきた。
それにどろどろの軟便から通常の軟便に近い状況にも変わってきた気がする。
肛門括約筋もしっかり働いているようである。
経肛門ドレーンを外した後、一度だけ失敗してシーツや下着を汚すことがあったが、それ以降は
ない。
直腸がんと聞いて人工肛門の可能性も考えたことがあるが、結果的に自分の肛門を残す事となり
よかった。



午前十時 主治医のN医師の回診あり。

ドレーン袋と腹部のドレーン挿入部分を見て
「良いですね。腹部の状態も以前より良くなっていますので、今日一日は五分粥ですが、明日か
ら全粥にしましょう。抗生物質は経口でも可能ですが、もう少し続けます。
そして、状態が良ければ月曜日にはドレーンを外しましょう。退院は、前回の事があるので期
待されるでしょうが。でも水曜日位かも知れませんね。」


まあ、今回は二月四日(水)の退院見込みで大丈夫だろうと思う。
前回は手術から十日目と言う、想定外に早い退院見込みを告げられて舞い上がってしまった。
それでも、炎症がない等の条件が揃えば、通常は十日程度でも退院可能らしい。
これまでが順調だったが、世の中そう甘くはないと言うことだな。

ベッドにばかり居られないので病院内を散歩した。
A棟15階のエレベーターホールから青空に映えるスカイタワーが見えた。
玄関では見舞い客がひっきりなしに往来している。
七段の雛人形も飾ってあった。 そう言えば明日から二月だな。