Trainspotting - Soundtrack | ダッチワイフは電動コケシの夢を見るか?

ダッチワイフは電動コケシの夢を見るか?

残念ですが、貴方がお望みのエロエロな画像や動画などはありません・・・


 えーと、前回記事の続きです。
 使ってる曲は、当時ソコソコ当たったトレインスポッティングからのセレクトなんですが、インスト系の曲が多いんでCDとか買ってません。
 車の運転中とかに聴くならいいのでしょうが、音痴な私は一人で運転している時に熱唱したりする恥ずかしがり屋なので、ボーカルの入っていない物は殆ど買いません。えぇ・・・・ 信号待ちでよく見かける、大口開けて何やら歌ってるオヤジと一緒ですよ。


IGGY POP ( LUST FOR LIFE )


 少年達が何も知らずに落ちた穴は、品川区内に所在する山手線の某駅近くのゲームセンターだった。これは私からするとちょっと意外ではあった。確かにそのゲームセンターが所在する繁華街は有名な風俗街ではあったのだが、彼らのような若いゲイなら渋谷や新宿辺りで遊ぶであろうと推測していたからだ。まさかこんなにシブい街に来るとは思わなかった。またそんな余計な先入観のお陰で遠回りしてしまい、武士達と合流するのに多少時間が掛かった事は彼らには秘密にしている。訊かれてもいないことを態々こちらから話すことも無いだろ?

 余り大きくないそのゲームセンターの区画を確認してきた武士からは、周囲はビルに囲まれていて出入り口は一つだけだと返答された。後から戻ってきたコロンビアも同様の所見で、ここなら打って付けの場所かもしれないと言う。
「店内の人数と本人達の位置は確認できたか?」とコロンビアに尋ねると、「見える範囲では10人もいない筈。あいつ等は奥の方にいますね」と答えた。
 いい場所に思える。出入り口さえ抑えれば楽勝だな、やっぱり日頃の行いが(ry・・・・。そんな事や他の諸々のリスクを思い浮かべながら、私は調査会社に二報目の電話をして、今が絶好の機会だと思われるので至急所轄の警察を動かす手配をしてくれと頼んだ。

 その後、担当から九州の親元に連絡が行き、そこから捜索願を受理した地元警察へ発見した旨の連絡がいく。で、地元警察から私達の居る所轄警察署へ話が巡って、そこからまた調査会社に確認の連絡が帰ってきた・・・・ 筈。多分そんな順番なのだと思うが、現場の私達にはよく分からない。と言うか、私達は警察が遅れても何とかなるだろうと楽観視していたから、来る事さえ確かならどうでもいい事だった。


Elastica ( 2:1 )


 "いい計画"と言うのは、細部が複雑じゃない簡素なものが良いと聞いた事がある。まぁそりゃそうだ。だいたい流動的な状況なんだからそんなに綿密に決めても期待通りに物事は進まない。そう言う理由だか思い込みだかのお陰で、私達の計画もかなり適当だったのは言うまでもない。
「出入り口と他の客は・・・・武士、お前がやってくれ」
「OK、わかった。状況次第でそっちのバックアップも兼ねるわ」
「ああ、頼む。で、コロンビアは俺と共に行動して欲しい。もしあの二人に仲間がいたらそっちの対処も頼む」
「わかりました。その辺は臨機応変にね」
「警察も来るんだから余計な物は車に置いていけよコロンビア」

 とまぁ、映画のワンシーンのように格好よく書いたが、実際はもっとヘラヘラとした会話だったんだけどね。

 実施か否かの返答は30分位と見ていた。が、それよりも早く返ってきた。
 案件担当者は、所轄からはすぐ署員を向かわせるから、計画通りそのゲームセンターで少年を確保して欲しいとの事であった。さすが家出少年の発見と保護の手柄をタダで貰えるだけあって、警察もなかなか動きがいいな。
 私達は車を降りると少年達が興じているゲームセンターに向かった。
 先にコロンビアと私が店内に突入し、やや間を空けてから武士が入ってくる。武士は入ってすぐに立ち止まり店内を見回すすと、出入り口近くに置いてあったゲーム機の椅子に腰掛けた。コロンビアは少年達の居る奥の方に進み、好みのゲーム機を探している振りをしつつ近づいて行く。私も少年達の方に近づき、出入り口よりはやや少年達に近い所にあった椅子に座った。
 私はこの時に初めて、本来の調査対象者である実物の少年を目にした。ゲーム台に貼ってあった説明書きを見ている振りをしながら覗き見た少年の様相は、写真通りの幼い顔をした華奢な男の子だった。うん、楽に制圧できる・・・・ 誓って変な意味じゃ無いけどな。

 5分ほど様子を見てみたが彼等に仲間は居なかったようだ。
 両替機に札を突っ込んで硬貨を吐き出させていたコロンビアが私を見詰めている。私は振り向いて、出入り口の辺りに陣取る武士と目を合わせてから立ちあがった。さーて、とっとと済ませて金にしないとな。
 私は少年達が遊んでいるゲーム機の脇に立つと、手にしていた書類入れから捜索願と依頼書の控えを取り出し、少年をフルネームで呼びかけて注意をこちらに向けさせた。
「君の親御さんから依頼を受けている者だ。そのまま座っていてくれ、動くんじゃないぞ。そっちの××君!キミもだ!座っていろ!」と、さして効力も無い書類を彼らに掲示しつつ私は捲し立てた。
 何事も相手の虚を突き、考える隙も与えずに適当な話で威圧して誤魔化す、ロクデナシの使ういつもの手だ。まぁ相手は餓鬼んちょだから対応する術も無い訳なんだが。

 で、マイアミバイスが劣化したようなアクションの結果(脳内では「フリィィィィズ!」と叫んでいたのは内緒)、彼等は何の抵抗も無く大人しくその場に留まり、コロンビアは何事かと寄って来たゲームセンターの従業員を押し止め、やる事の無い武士が要らぬ状況写真をパチパチと写していた。
 そして余り楽しくない雰囲気の中に、思いのほか早く制服警察官が到着したのだが、どうやら先に近くの交番勤務の警官を寄こしたらしい。暫くしてから護送用のパトカーが到着したので、彼等はそのままドナドナ状態で車に乗せられて警察署に連れて行かれた。

 はぁー終わった・・・・ と思ったら、残念ながら終わらないんだコレが。


Underworld ( Born Slippy )


 警察に彼等を引き渡したら、私達に待っているのは調査会社に提出する報告書類の作成だ。
 取りあえず武士とコロンビアは放置している自分達のバイクを回収しに行き、私の方は会社に顔を出す事にした。まぁ経緯を多少なりとも担当に話しておけば、依頼人の親御さんにも説明しやすいだろうと思ったからなのだが、到着してみたら何だか変な方向に話が進んでいた。
 どうやら、依頼人の親御さん達に確保の問い合わせをした時点で、彼等は東京に向かう手配をしたらしい。勿論少年を引き取る為なのだが、ただ父親が仕事の都合上こちらには来れず、母親と伯母、それに少年と親しい従兄弟を含めた三人が引き取りに来ると聞かされた。

 で、「だから何?」と言う話なのだが、担当刑事の話では、大学生の彼氏に関しては親が迎えにきたらまず間違いなく当日中に釈放(余りよく覚えていないが確か彼もまだ未成年だったのだと思う)、少年の方は依頼主達が到着する翌日まで一時留置所で預かりとの話だった。そしてこれを聞いた案件担当者が依頼人に要らぬ事を吹き込んだ・・・・ あー、追加の営業をかけたと言い直そう、人聞き悪いし。
「大学生は釈放されてしまうので、彼がもし仲間でも連れて来て奪回しようと試みられたら、女性二人に男性一人では危ないのではないですか?」等と囁いたらしい・・・・ ねーよ!絶対ねーからそんな事は!
 それでも何故か依頼主は起きもしないようなそんなバカ話を信じて(催眠商法で高額羽毛布団を買うタイプだよなぁ)、担当の親爺に追加の仕事を頼んだのだった・・・・ 勿論やるのは私達だ。

「じゃあ警察署に引き取りに行っても、当日には帰らないんですか?」と私が担当者に聞き直すと、彼は「ああ、色々手続きしていると時間が読めないし、飛行機の予約の事もあるからな・・・・ それに来てすぐ帰るのは親御さん達も大変だろ?」と何だか至極当たり前のような言い方で返された。
「それだと・・・・私達は丸二日は拘束されますよね?」
「好きなだけ吹っ掛けてもとは言えないが、結構出すぞあの依頼人は・・・・それと今回の調査をまとめた君達を是非にって話だぞ?よかったなぁウヒヒヒヒ」

 なーるほどね・・・・ 浜フグの言う二番目のいい客か。金を持ってるまともな奴って事だな。確かに、これだけ長期間の調査料を払えるお客なんだから、望む結果さえ出してやれば惜しい金じゃないって事だよな・・・・。

 こうして、調査員として雇われた私が何故かボディガードのような事をやらされる羽目になった訳だが、ここから先の事を詳しく書くと更に話が長くなるし、また依頼人にも迷惑が掛かる。例え10年以上も昔の話とは言え、そこは職業倫理にもとる行為だと思うから。本当はホテルで少年やその従兄弟と語り合った面白い話が幾つかあるのだが、それこそ彼らの身元に関わる事なので語れない。私は立派なロクデナシだけど、一応筋を通すロクデナシなのだ・・・・。
(と言うのは真っ赤な嘘で、単に書くのが面倒臭くなっただけです)

 まぁそんな訳で私達三人は休む間も無く再び駆り出され、依頼人達と共に少年を引き取りにいった後は、某プリンスホテルの、ツインルームと偽称している狭い部屋で少年と従兄弟と共に夜を過ごし、翌朝早くにホテルを出て羽田空港に向かった。
 ホテル宿泊中にもふと思ったのだが、例の大学生が本当に私達を襲撃でもしてくれたら、人に聞かせられる大変楽しい逸話になったのだが、残念ながらそんな面白い事はやっぱり起こらない。私達は誰にも邪魔されず空港に到着した。そしてここから先の護衛要員は三人も必要ないので、九州まで同行する役は私とコロンビアが請け負う事になっていた。
 私達6人を乗せた飛行機は無事に羽田を飛び立ち(機長!やめてください!)、一路九州に向かって素っ飛んで行く。

 その数時間後、眼下には何やら椰子の木っぽいモノが見える。青い海、輝く太陽、ここは九州南方の魅惑の都市。ヒャッホォォォォォー!
「Babyさん、空港着いたらトンボ帰りですからね」
「・・・・・えーと二泊くらい大丈夫じゃないかい?コロンビア君は用があるなら帰ればいいさ。オラなんだかワクワクしてきたぞ!」
「イヤ~それはダメでしょ。報告書とか経費の精算があるし、それにサッサと調査料請求してもらわないとなぁ・・・・ 俺ちょうど欲しい物あるんですよねぇ」
「・・・・・・・」




お願いだから空港から出させてよ・・・・ チョッとでいいからさ・・・・

$ダッチワイフは電動コケシの夢を見るか?-がっくり








んー! 思い出したら何だか腹立ってきた。