前回のブログで、旦那の意識が戻った事を書きました。
コメントで心配してくれる方や、励ましのお言葉もたくさん頂き、感謝しております。
まだ、これからも入院リハビリ、治療など…あると思います。
皆様あたたかく見守っていただければ幸いです。
＋ ＋ ＋ ＋ ＋ ＋
旦那の笑顔、やさしい声、ぬくもり、握り返してくれる手…
普段は当たり前にそこにあったものですが
これすべて、奇跡なんだなと…。
「ぅふわぁあ〜…ぁあァァ…よかったぁぁ…」
半泣きになりながら、声にならない声で泣く私。
「どうしてこうなっちゃったんだろう…疲れがたまってたのかなぁ〜」
ボヤーッとしながら旦那がつぶやきます。
「会社で倒れて、救急車で運ばれて、心臓の手術をしたんだよ」
という一連の流れを何回も説明したのですが
そのたびに「ぇえっ！そうなの？」と毎回驚いています。
術後なので意識が混乱してるんでしょう。
「奥様、少しよろしいですか？」
その時、看護師さんに声をかけられました。
「こちら、患者様の診察券になるんですが、奥様がお持ちになられますか？」
差し出したのは旦那の診察券。
発行しておいてくれたのだろう。
「あ、私が、持っておきます」
受け取ろうとすると
「あ、じゃあ、俺が持っておきますよ」
旦那がスッと手を伸ばし、診察券を受け取ろうとしました。
会話してる時はポヤァーっとした様子だったのに、急にシャキッとしてるやんっ。
「それでしたら、こちらでお預かりしておきますね。一般病棟に移られる際にまたお返しします」
「そうしてください…」
小さい声で言う私。
手術直後の、少しもうろうとしてる患者に渡すのも、ちょっとねぇ。
「あと、奥様、こちらの説明書を渡しておきますね」
看護師さんは1枚のプリントを渡してきました。
そこに書かれていたのは「せん妄」という症状の説明でした。
「手術後という事で、せん妄のご説明をさせてください」
看護師さんは私にゆっくりと説明してくれました。
せん妄とは
せん妄とは…意識が混乱する状態のことをいいます。
入院環境や手術、治療がきっかけで発症するものです。
入院中10人に1人、手術後に2人に1人の確率でせん妄になりやすいと言われています。
せん妄の症状
・幻覚、幻聴が起こる
・今いる場所や時間がわからなくなる
・物忘れがひどくなる
・気分が不安定、怒りっぽくなったり暴力的になる
・集中力、やる気、食欲低下になり、うつっぽく見える
など…。
せん妄になって困ることは、治療していることが分からなくなり、点滴の針や治療のために体に入っている管を取ったり、転んで骨折をしたりと、命にかかわる事故につながることもあります。
せん妄の予防や改善には、適度な休養、睡眠、運動や音楽、会話など
普段の日常生活に近い刺激と安心感が必要です。
今の旦那、意識が混乱してる様子はまさに「せん妄」そのもの…。
「今は術後ということで、麻酔の影響もあっていつもよりぼーっとしてる様子かもしれません」
「はい」
「ICUという特別な空間というのもあります。せん妄を起こす可能性もあるので、頭に入れておいてください」
「はい…」
「せん妄」はじめて聞く言葉でした。
今後、どのくらい意識が回復してくるかは、これからが大事なのだ。
家族のサポートも重要になってくるのだろう。
看護師さんの説明を聞いて、改めて気が引き締まる感じがしました。
でも、きっと、これから少しづつ良くなっていく事を信じる。
私は振り返って、旦那の顔を見た。
…すると。
「スースー…zzz」寝とる！！！
ちょっ待て待て待て！
疲れ切ってるのはわかるけど、今は寝るな！
感動の再会中だぞ！！
「えっ！？」
驚く声を発する私。
「…ん？」
むにゃ…と重たそうにまぶたを開けました。
ま、まぁ…
今は本当に、とにかく療養するのが一番なのだから。
眠たきゃ寝たらいい…。
旦那が眠そうだったので、面会はここで終わりになりました。
「明日の面会は来られますか？」
出口まで案内してくれる看護師さんが聞いてきました。
「はいっ」
もっつろんですとも！
「明日は土曜なので、面会時間は10時半になります」
「わかりました」
「では、本日は以上になりますので、また明日お待ちしております」
「あ、あの…医師から術後の症状の説明とかはないんですか？」
てっきり、何かしら説明が今日あると思っていました。
「話が聞きたいのであれば、医師の空いてる時間があれば説明を聞くことはできますが…。明日は土曜なので、医師のスケジュールが合えば…ですが」
いや、誰だって聞きたいに決まってるよーっ。
「お願いします…」
「わかりました、伝えておきます」
たまに見せる、病院側の塩対応。
いや、忙しいんだよ…うん。
こうして、涙涙の感動的（？）な面会はおわりました。
私は上を見上げ、頭のてっぺんから足のつま先まで、
スーーッ…と何かが浄化される気持ちになりました。
想像していたよりも回復してる様子に、まさに奇跡がおきたと思いました。
こちらの気苦労など、たぶん分かっていないような旦那の様子も、
今は許してあげましょう…。
だって、元気そうに生きてたんだもん！
これ以上の幸せはないよっ！
私はすぐに下で待っている両親とあおちゃんのもとへ行きました。
笑顔でICUを出れて、心の底からホッとしています。
そして連絡を待っているすべての人達にひとつひとつメールをしました。
みんな、すぐに既読になり
待ちわびたと言わんばかりに返信が届きます。
旦那はしばらくICU（集中治療室）で様子を見るそうです。
入院はおそらく2、3週間ほどと言われました。
あんなに大変な手術をして
本人にしか分からない痛み、恐怖もあったでしょう。
だから今はとにかく、体を休めてほしい。
私も今夜はしっかりとご飯を食べれそうです！
ブログランキングに一応参加してます
応援していただけると励みになります
