高校の部活が一緒のN子ちゃんは、本当に綺麗な顔をしていた。
私とは受験のコースが違っていたから、どれくらいモテていたかは分からないが、成績では差があったことは分かっている。
赤点(欠点ともいって、テストで35点以下のこと)を取っては、追試に彼女の名前が張り出されていたからである。
(ちなみに、私は在学中に赤点を取ったことはない。エッヘン)
それなのに、それなのに、私が行きたくても行けなかった東京に、彼女は出て行ったのだ。
兄弟の多かった私と違い、彼女は一人娘だったのが勝因である。
私なら東京のどこかの大学に受かるかもしれないのに、彼女の成績でも専門学校と言う手があったのだ。
努力だけではどうしようもない理不尽と言うものを知った時だった。
でも、意外に悔しさよりも〝あーあ、良いなあ〟で済んだのは、彼女があまりに美人で、東京ならスカウトされるかも、なんて思ったせいもあるかもしれない。