お菓子を食べていたら、ふと高校生時代のことを思い出した。
私はマイナーな部活の部員で、ある日同じ部活の同級生と二人で先輩のお家に行った。
先輩は高校の近くのご実家で、ご主人と一緒に間借りしており、ちょくちょく部員が寄せてもらっていた。
一緒に訪問したN子ちゃんは、アイドル顔負けの美少女であった。
先輩が、菓子器にお煎餅を出してくれた。
私はお腹が空いていたこともあり、勧められるままパリパリと遠慮なく食べていた。
N子ちゃんは全く手を出さず、綺麗な子はお煎餅なんか食べないんだなと横目で見ていた。
ところが先輩が席を外すと、N子ちゃんは途端に煎餅を急いでパリパリと食べ始め、先輩が戻ってくるとピタッと食べ終る。
少しだけになった菓子器を見た先輩は、きっと私が全部食べたと思ったに違いない。
綺麗な子は油断できないと、気付いた出来事だった。