息子と夕食を食べていった孫が、またしても忘れ物をしていった。
孫の水筒の蓋が、テーブルに置いてある。
今日もである。
孫は、忘れ物をよくする。
正直に言えば、殆ど毎回何かが、忘れて残されている。
今まで、何度口を酸っぱく注意してきたことか。
「帰る前に、ぐるりと一回転して、忘れ物がないか確かめて」
「靴を脱いだ時、スリッパを脱いだ時、食べ終った時、きれいな形になっているか、必ず振り返って確かめるのよ。これを〝見返り美人〟というのよ」
何年越しかで、やっとお礼と挨拶が定着しつつあるが、一つ気を付ければ一つ抜けるのが孫である。
見れば、習字作品入れに使うよう渡したばかりのビニールケース二つも、そのまま置いてあった