昨今ディーププレーンフェイスリフト(切開リフト)が流行していますが、本当にここまでやる必要があるのか?
これについてはテクニカル的にSMASで止めるのか、Deep Planeまで入るのか。差は“引き上げる深さ”について理解している外科医選びが重要となります。まずスマスリフトとの比較をしてみたいと思います。
SMASとは何か
SMASは皮膚のすぐ下にある筋膜層で、表情筋と皮膚をつなぐ支持構造です。加齢でこの層が緩むと、頬が下がり、ほうれい線が深くなります。形成外科領域ではSMASの緊張低下が顔面下垂の主因の一つとされています。
SMASリフトの本質
SMAS層を露出し、縫縮や挙上で引き上げる方法です。
皮膚だけを引く昔のリフトよりはるかに理にかなっています。
強み
自然で安定。侵襲はDeep Planeより軽め。
文献では5年以上の持続例が多数報告されています。
限界
リガメントを広範囲に解除しないため、重度下垂では持ち上がりに限界があります。
Deep Planeリフトの本質
SMASの下、いわゆるDeep Planeで剥離し、皮膚・脂肪・SMASを一体で挙上します。
SMAS下層に 広範囲にretaining ligamentを解除するのが違いです。
強み
中顔面の持ち上げが強い。ほうれい線やゴルゴラインに効きやすい。
Aesthetic Surgery JournalやPRSでは、従来法より中顔面改善が強いとする報告があります。
リスク
顔面神経に近い層を扱うため難易度は高い。熟練度で差が出ます。
比較まとめ
| 項目 | SMASリフト | Deep Planeリフト |
|---|---|---|
| 剥離層 | SMAS上層 | SMAS下層 Deep Plane |
| リガメント解除 | 限定的 | 広範囲 |
| 中顔面改善 | 中程度 | 強い |
| 持続目安 | 5~10年 | 10年以上の報告あり |
| 神経リスク | 比較的低い | 理論上高い |
| 適応 | 軽~中等度下垂 | 中等度~重度下垂 |
術式名が同じでも術者ごとに処理範囲は違います。下の表は一般的傾向で絶対ではないですが参考になります。
| リガメント | SMASリフト | ディーププレーン |
|---|---|---|
| Zygomatic retaining ligament | 浅層線維を部分的に処理することあり | 深層まで広く解除することが多い |
| Masseteric retaining ligament | 一部解除することが多い | 広範囲に解除することが多い |
| Parotid cutaneous ligament | 多くは温存か軽度処理 | 症例により解除 |
| Mandibular retaining ligament | 多くは温存または軽度 | 症例により部分解除 |
| Malar septum | 通常は大きく触らない | 可動化のため処理することあり |
一言で言うと
・SMASは選択的部分解除
・ディーププレーンは中顔面ブロックを動かすための広範囲解除。
若い方でも輪郭3点や両顎手術後に切開リフトを行うケースがあります。
骨切りでリガメントを剥離している場合、支持が弱くなっていることがあります。
このケースではDeep Planeの方が理論上適合しやすい症例もあります。
切開リフトの執刀医選びの結論
オーダートリートメントを防ぐためにも、SNS美容外科医によるディーププレーンフェイスリフトのゴリ推しを避けてください。
軽~中等度ならSMASで十分な場合が多いです。
中顔面が落ちている、法令線が構造的に深いならDeep Planeが選択肢になります。
ただし、術式より重要なのは“その術式をどれくらいのクオリティで、何例やっているか”。
ディーププレーンフェイスリフトは流行りで選ぶ手術ではありません。流行より経験値が大切ですし、医師選びをする上でも技術差が露骨に出ます。



