乳房縮小術は、乳頭を生かしたまま乳房の形を再設計する形成外科手術です。
つまり単に組織を切るだけではなく、血流を残し、神経を守り、自然な形を作るという三つの要素を同時に成立させなければなりませんが、この三つのバランスが崩れると、乳頭壊死や感覚消失、形の崩れといった問題が起きる可能性があります。実際に美容外科では失敗例が相次いでいるので、厄介ですね。
| 図 | 術式の意味 | どんな時に使う |
|---|---|---|
| a 縦切開+上内側茎 | 上内側の組織で乳頭を生かす縦切開法 | 今いちばん主流 中等度肥大 |
| b 縦切開+上方茎 | 乳頭の真上の組織で血流維持する縦切開 | 軽度〜中等度 |
| c 逆T字+上内側茎 | 傷は多いが皮膚切除が多い方法 | 大きめの乳房 |
| d 逆T字+下方茎 | 下の組織で乳頭を生かす古典術式 | 巨大乳房 |
乳房の血流は内胸動脈の穿通枝、外側胸動脈、肋間動脈など複数の血管がネットワークを作っています。乳房縮小術では乳頭を含む組織を移動させるため、この血流をどの血管で保つかを設計しなければなりません。ここを理解していない手術は危険です。
さらに乳頭の感覚は肋間神経によって支配されています。特に第3〜5肋間神経が重要とされており、この神経を損傷すると乳頭の感覚が失われる可能性があります。見た目だけではなく、感覚まで守ることが求められる手術なのです。
ここで形成外科医が必ず考える概念があります。それがBreast footprintです。これは乳房が胸壁に接している範囲のことで、乳房の土台のようなものです。経験豊富な形成外科医はこのfootprintを基準に乳房の形を設計します。この基準を理解していない手術では、術後に乳房の位置が不自然になることがあります。
乳房縮小術のポイントを整理すると次のようになります。
| 重要ポイント | 意味 |
|---|---|
| 血管の理解 | 乳頭壊死を防ぐ |
| 神経の理解 | 乳頭の感覚を守る |
| Breast footprint | 乳房の位置を決める |
| 皮弁設計 | 血流と形を両立させる |
| 瘢痕設計 | 傷跡を最小限にする |
現在よく行われている方法の一つにvertical reductionがあります。これは傷跡を抑えながら乳房の形を整える術式として知られています。ただし乳房の大きさや下垂の程度によって適した方法は変わります。そのため一つの術式だけを行う医師より、患者ごとに術式を変える医師の方が信頼できます。
乳房縮小術が得意な医師にはどんな特徴をまとめます↓
| 特徴 | 理由 |
|---|---|
| 血管の走行を説明できる | 乳頭壊死のリスクを理解している |
| 神経の話ができる | 感覚を守る手術を考えている |
| Breast footprintを基準にする | 自然な乳房位置を設計できる |
| 術式の選択理由を説明できる | 患者ごとに設計している |
乳房縮小術は形成外科の中でも高度な手術です。見た目だけではなく、血流や感覚まで守る設計ができる医師なのかを見極めることが重要になります。手術を受ける前には必ず説明をよく聞き、執刀医選びには十分注意してほしいと思います。
乳房縮小で危ない医師はだいたい共通パターンがあるので、 見分けるポイントをまとめました。
| 危険サイン | 理由 |
|---|---|
| カップ数だけで説明 | 外科設計をしていない |
| 何g切るか言えない | 切除計画がない |
| 乳頭を何cm上げるか言えない | 壊死リスクを理解していない |
| 術式が1種類しかない | 症例ごとの設計が出来ない |
| 血流の話が出ない | 乳頭壊死リスクを理解していない |
| 神経の話が出ない | 乳頭感覚を考えていない |
どの術式を使いますか?という質問に対して、「 うちはこの方法だけです 」ならアウト。
乳頭壊死の確率はどれくらいですか ?と言う質問に対して明確に回答できるかどうか。
これらが見極める一つのポイントとなります。

