(本編の台詞に直接触れている所があります)



昨日は早稲田松竹で「夜明けまでバス停で」と「桐島です」の2本立てを。

前者はコロナ禍を舞台に描かれた作品で、主人公の姿や行いを観てると自分もこういう所あるから身近なリアルを感じながら観る事が出来て、とても面白かった。
「桐島です」は場内の寒さが少しきつくて、のめり込むまでに時間がかかったけど、所々で微笑ましかったり、思わずちょっと笑ってしまう所もあって良かった。
最後の一言という言い方で良いのかな?
あれが最高だったな。

「夜明けまでバス停で」を観ていて、社員とバイトの関係性というリアルさは思い当たる所があって、根底に流れている物は一緒だなと思って。
都合の良い時だけその役割を引き上げるかのように求めて、都合が悪くなるとその立場を切り捨てるような感じで言う。
ハラスメントの温床と化すその馬車で繰り広げられて行く、権力を使ってのやりたい放題と冷酷さの極悪ぶりには強く憤りを覚えずにはいられなかった。

女性同士で同じ時間を過ごして行く中での会話や空気感、その間合いがとても良い映画だった。
立場は違うけど、言葉じゃない所でその人をどう思っているのかよく分かる描き具合が素晴らしかったし、人を描く面白さ、社会を描く面白さ、俳優陣の演技と存在感を観る面白さが兼ね備えられていて、とても見応えのある映画だった。

これは直接台詞に触れてしまう事になるのだけれど、"正しいけどムカつく"、それがあるからこそなのか、色々と歯車が狂って行くのは遣る瀬無い物があった。

主人公が理不尽な仕打ちを受けざるを得ない現状は、自分は勿論、他の人でもリアルにあり得る事を丁寧に描いていたし、じわじわと追い詰められて行くその姿には、釘付けになりながらも、観ていて辛い物があった。

ふと思えば主人公の理念というか、生き様というか、その根っこの部分を感じていたからこそ、あの女性はああいうふうに動いたと思えたその姿にもまた釘付けにならずにはいられなかった。
良心を持ち合わせている人を見るのは心が洗われるし、揺らいだり翻弄されたりする事も当然あるだろうけど、あの姿と行いにグッと来る物があった。

とても印象的だったのは、政治を取り込みながらの描き方で。
そこが起点となってこの状況が生まれているのは確かだったし、政治家の理念や気骨への問いと言えば良いのかな?
それがとても良かった。

主人公がとある場所で人との関わりが出来て行く中で、粋な面白さを感じる所もあれば、その願いはあまりにも悲しすぎて、遣る瀬無い気持ちになったけど、あの人間模様を描く面白さはたまらない物があった。

自分の横暴ぶりを棚に上げて、正当化したら人は離れて行くよねと言う所でそこに向き合って行くその姿がとても良かったし、差別やハラスメントの醜さ、その醜悪さをリアルに実感する描き具合が素晴らしかったし、というか、あいつそこまでやったら完全に犯罪者じゃんって思った。

しかしながらあの再会には思わずグッと来た。
心が通ってるからこそ、理念があるからこその言葉がとても良かったし、映画を観て来てその最後に同じ考えを持っている人がここにいる事に嬉しくなった。

もしかしたら自分もああなるかもしれないし、でも仕事する以上、生きてる以上、そう思うんですという事が描かれていて。
老人達の粋な姿やその言葉に心を動かされる物があったし、今回この映画を観る事が出来て良かった。
とても遣る瀬無いけど、力強さを感じる映画だった。

「桐島です」は冒頭を見てる所でのカバンのガサゴソが続いたり、場内の寒さでなかなか集中出来ず、序盤は観るのに手こずった。

微笑ましくもあれば、笑える所もある些細な日常を観察するかのように観ていたので、その分あまり響かなかった所もある。
でも音楽の使い方がとても良かったり、音楽を通してその関係性が深まって行く所だったり、人と人の関わりや些細な日常を描いて行く所は身近な所に寄り添っていたから良かった。

差別という物がどういう事であるのか?という事をしっかりと差し込んで来たり、自助、共助、公助という自民党政治の酷さを改めて感じたり、社会の根底にある物を滲ませながらの描き具合がまた良かった。

やさしさを組織せよという所には、!!!となったし、とても良い言葉だなと思わずにはいられなかった。
ある意味、自助、共助、公助と対になる、現代社会に於いて必要な物だと言っても良いのではないかと思う。

2本観終えて、順番逆に観た方が良かったのかもしれないなとは思ったけど、人を描き、社会を描く気骨ある2本立て上映を楽しむ事が出来て良かったです。