今日は渋谷ユーロスペースで塚本晋也監督「野火」を。
東京フィルメックスのジャパンプレミアからずっと追いかけて続けているこの作品。近年は現代社会とより深く響き合うからこその映画の面白さと凄まじさが大爆発していて、シンプルに"戦争"がどういう物なのか?という所で徹底的に容赦無く描いていて、改めて素晴らしい作品だった。
先日観た「原爆資料館 語り継ぐものたち」を観た時に、「野火」がいかに政治性や立場に関係ない所での戦争が一体どういう物なのか?というその事をシンプルに容赦無く徹底的に描いている事を実感したけど、今回ユーロスペースで観て、改めてその事を実感せずにはいられなかった。
自然の美しさの元で行う人間の醜さと愚かさの対比の凄まじさは尋常じゃない物があったし、今回の上映はは光の差し込み具合や眩しさがとても印象的で、だからこそ戦争を通して汚れて行くその姿や行いに釘付けにならずにはいられなかった。
生きる事に切実だからこその切迫感だったり、愛おしく思えるからこそのやるせ無さや残酷さに思わず身が固まる程の凄まじさには言葉を失うしかなかったし、でも時に極限の中で感じられる良心には思わずグッと来る物があった。
いくつかの場面はコントとして成立する部分もあると思うし、ある種の喜劇と悲劇的な要素がありながらのその姿や行いにずっと釘付けになるしかなかった。
時に良心が感じられる場面で思わずグッと来る中で、これまでの塚本監督の脈々と流れ行く物を感じられたりしながら観れた所がたまらなく良かったなと。
塚本晋也監督演じる主人公の田村の存在感、塚本監督の演技の素晴らしさを実感出来るのと同時に、リリー・フランキーさん、中村達也さん、森優作さんをはじめとする俳優陣のその演技と存在感を存分に楽しめる映画でもあるのだと、観ていて改めて実感する。
極限を超えて行こうとするからこその暴力性だったり、その行いの愚かさの先で容赦無く襲いかかって来るあの描写の臨場感の凄まじさには思わず身が凍る恐ろしさしかなかったし、戦場を描いて行く所での容赦ない地獄をしっかりと描き切って魅せるからこその凄まじさには、もうどうする事も出来ない位に完全に打ちのめされた。
今回更に音響が素晴らしくなっていて、よりきめ細やかに生々しくその臨場感を体感する事が出来たし、特にリリーさん演じる安田が森君演じる永松に対して強く言う台詞がまるで突き刺すかのように鳴り響かせていて、有無を言わさぬ凄まじい物があった。
今回は東京フィルメックスでのジャパンプレミアの時から毎年観ているにも関わらず、リリーさん演じる安田と森君演じる永松の関係性に一段と釘付けにならずにはいられなかった。
リリーさん演じる安田と森君演じる永松の関係性は、時に戦友であり、時に擬似的な親子のようで、時に安田の容赦無い暴力的な支配ぶりに釘付けにならずにはいられなかった。
愛情や信頼関係を観ていて実感する反面、安田の暴力性はDV的な物を感じずにはいられなかったのも確かだった。
戦争の中で起きていた事、その一つを知って一気にクライマックスへと向かって行く中での凄まじい狂気と行いの果てに見る人間の残酷さと愚かさとその暴力性が極限に達するその瞬間には、思わず身も心も固まるしかなかったし、あまりにも容赦ない仕打ちに気が付けば涙が溢れてしまった...。
最後の所は戦場から帰って来ても終わらない戦争の姿がそこにあると実感せずにはいられなかったし、行って帰って来て終わりではない心の奥底にある物が溢れて行くその行いには、言葉を失ってしまうのと同時にひたすら釘付けにならずにはいられない物があった。
上映後に塚本監督が登壇してのトークがとても良かった。
改めて基本的な事を踏まえながらの質疑応答がとても濃い内容になっていたのがとても良かったし、初めて観る人達の多さにこの映画を体感する意義が毎年引き継がれているようにも感じられるのが嬉しいなと。
個人的には「野火」は、その時の社会情勢や自分の意識の持ち方によって、その響き具合が変わって来る映画なので、毎年劇場へ足を運んで観ていても全然飽きないし、むしろ映画の面白さや凄まじさがより強化されている素晴らしい作品だと改めて実感出来て、嬉しく思った。
上映後の質疑応答を聞いていたり、初見の人の多さを思うと、塚本監督の理念や想いが映画を通してちゃんと引き継がれているからこそ、ここまで上映出来ているのだと思う。
そこに希望や未来があるとも言えるので、また来年も8/15にユーロスペースで観れたらと思います。





