日曜日は恵比寿ガーデンシネマでデヴィッド・リンチ監督「ストレイト・ストーリー」を。
劇場で観るのは、公開当時に新潟は松竹で観た以来だったのだけれど、ゆっくりと進み行くロードムービーの味わい深さはたまらない物があったし、生きる苦さや後悔を滲ませながら、その視点はとても優しくて愛おしく思えた素晴らしい作品だった。

ある種田舎ならではの、ちょっぴりクセのある良い人達との関わりをとても魅力的に描きながら、旅先で出会う人達とのエピソードだったり、その中で起こる出来事が抜群の面白さだった。

所々でクスッと笑える所がありながら、ロードムービーとして描く面白さと、人を描く面白さとその深さというか、生きる上での細やかな喜びと苦しみと悲しみと後悔が程良く入り混じるあの苦さは、生きる上での人生の味わい深さが映画を通して熟成されて行くかのようでもあって。

シンプルに真っ直ぐにその生き様を丁寧に描いて来たからこそ、あの終わり方にはグッと来る物があるし、感情的にはしないあの描き方だからこそ、より深く響く物があった。

例えば悪夢だったり、物語の難解さを言われるイメージが強い監督だとは思うけど、こうやって久し振りにこの映画を観ると、他の作品でも人を描く事の面白さ、その魅力を丁寧に描く事が出来ているからこそなんだろうなと思う。
人を描く事、その基本に立ち返った映画のように感じた。

シンプルで優しさと苦さが絶妙な形で溶け合いながら描いて行くロードムービーは、物語の気骨と強度をしっかりと感じられる素晴らしい作品でした。