いつぞや
近所を歩いていたら
前方から
ハーイレイディー!
ハーーローー!
という声が。
え
顔を上げてみると
そこにはシワッシワよぼよぼ(言葉を慎め)の中華系シンガポリアンらしきじいさんが。
へ?
なにごとかと思いつつも、珍しく中国語で話しかけられなかったことに人知れず感動を覚える自分。
とりあえず礼儀として挨拶は返してみる。
ハ、ハロー…?
ユーフロムウェア?
ジャ、ジャペン…。
オー!ジャペーン!アベサンイズマイフレーンド!
アベさん…?
プライムミニスターアベー!
…ʕʘ‿ʘʔ
ま
とりあえず
オー!リーリー?!
とか言ってみる。
それより両方の鼻からヴァッサヴァサに飛び出たスーパーロング鼻毛が気になる。
こういった状況をうまく回避できないペルナンド、例により炎天下に立ったまましばらく話を聞くはめに。
ここからは感情込めて、日本語訳にて会話をお送り致します。
唐突に話を始めるじいさん。まずは戦時中のストーリーから。
わしは第2次世界大戦の時に日本軍と戦ったんじゃ。これがその時の傷跡じゃよ。
確かにじいさんのふくらはぎには縦にぱっくり20センチほどの深い傷跡が。
あいつらは銃剣でわしの心臓も狙ってきよったんじゃ。こんな風にな。
お、おおおお。
バっ!と急にシャツをめくってその傷も見せてくれたじいさん。
お、おおおおおおお。
でも幸運なことに心臓には刺さらんかった。もしその時刺されていたら今日あんたに会うこともできんかったよ。今頃あっちの世界にいたな!カッカッカッ!
明るく高らかに笑うじいさん。しかしその話がリアルなのだとしたら、本当に生きていてよかったね。
他にも日本軍による悪行の数々をその目で見たんだそうな。
そんな話をとてつもなく愉快に話すじいさんに反して、同じ国の人間としてとてもとても申し訳ない気持ちに。
その話全然笑えないよじいさん。
なんだか息苦しくなってきたので話題を変えようと
ところでおいくつですか?
と聞いてみると
いくつに見えるかの?♪
女子か。
えー…そうだなー…えーとー…戦争の時に戦ってたということは…
104歳じゃよ。
え、ええええ?!
だとしたら元気過ぎ。ちょっと盛ってるのではと疑うほど。
というか異国の道端でじいさんの歳当てクイズに向き合う自分テラワロス。
太極拳とか何か運動はされているんですか?
おう、もちろんじゃ!わしは太極拳マスターだからな!毎朝新聞を読む時は2時間空気イスじゃ!
じいさん盛りグセありと見た。
もうひとつの健康法は英語がよく理解できませんでしたが
手の甲で毎日何かを殴るだか何だか。
もし暴漢にあったら犯人の顔をこうしてこうしてこうじゃ!
その有事に備えての修行のせいなのか右手の甲が傷跡だらけ。
ここまで長生きしたんだから体大事にせぇ。
続きましては金持っとるぞアピール。
わしはよく大金を寄付しとるんじゃよ。オーチャードにビルを3棟も持っておる。家はすぐそこじゃよ。このへんに住もうと思ったらなかなか金がいるぞ…(一部割愛)…それからロータリークラブの会員にもなっておる。今度あんたもパーティーに呼んでやろう。
だから
どうやって連絡をとればええかの?
…
はい
連絡はノーニー。
はは…まー、あのー、私もチョンバルに住んでいるので連絡をとらなくともそのうちまた会えると思いますよ。
ほう、それもそうじゃの。わしはいつもあの公園におるぞ。
では見かけたら声をかけますね、ね!
ハッハッハッ!それじゃそうしてくれ。
よ、よかった…連絡先交換だけは回避したぞ。
それでは私はもう行かねばなりませ…
ベーリベリハッピートゥシーユー!
食い気味且つ120デシベルくらいの締めのご挨拶を頂戴し
かたい握手を交わしてお別れ。
切り替えの早いじいさんは振り返りもせずそそくさと去って行きました。
…
つ
疲れた…。
あらいやだ
20分もしゃべってしまったわ。
それにしてもお昼時で周りにも結構人がいたにも関わらずわざわざ選ばれる私って一体…。笑
とはいえ
不思議と嫌な気はしませんでした。
じいさんの話はおもしろかったし、ローカルのシニアとお話しできる機会なんてなかなかないし
人生において無駄な時間などないのです。
なんつって。
ブッダみたいな発言してもた。
そんな陽気なチョンバルの昼下がりでした。
明日はどんな人に話しかけられるのだろう。爆
それでは今日はこのへんで。
毎度お読み頂きありがとうございます。
シーユースーン。