毎日毎日同じ風景、同じ空間、同じ生活…。
でも不思議と退屈だと考えたことはない。
死ぬほど勉強して、両親に認めて貰わなければならない。そして、大好きな音楽をやるということを伝えて応援してもらうんだ。
いつもの窓際の席について、ノートと参考書を広げる。
iPodを出して曲を選ぶ。
「今日はどれにしよーかな…」
なんて独り言を言ってみる。
やっぱりクリスブラウンだなとお気入りの1曲からスタート。
参考書には、もう書ききれないくらいの文字。
だいたい1回である程度は覚えられるのが僕の自慢でもあるけど、なかなか細部までは覚えきれない。周りの人は、そんなところ試験には出ないから大丈夫というけれど、完璧主義の僕にはそれは許されない。
ふと、足元に消しゴムが転がってきた。集中して勉強していると周りに誰がいるのかも全く気が付かない。
拾おうとすると、視界に女性の足元が目に入った。
華奢な足首、上品なデザインのハイヒール…
顔をあげると女性が申し訳なさそうにこっちを見ていた。
『勉強の邪魔をしてしまってごめんなさい。拾ってもらえますか?』
ウソだ…
こんなに美しい人が世の中にいるなんて。こんな事ってあるんだ。
映画のような出逢い。
一目惚れってこの事を言うんだ。。。
僕はその美しい顔を見つめてしまう。
『あの…消しゴム…』
「あ、え、あの…あぁ!これ!」
『はい…ありがとうございます』
「いえ。あの…いつもいるんですか?」
『え?あ、はい。だいたいそこに座ってます』
「あぁ…そうなんですね…」
僕は思い切って聞いてみた。
「あの!明日も来ますか?」
『え?あー…その予定です。』
やった!明日も会える。
僕は頬が緩むのを止められず、彼女に会釈をして図書館の外へ出た。
図書館に戻るのはなんとなく気まずくて、あとは家で勉強しようと決め帰路につく。
しばらくしても嬉しさが込み上げてくる。
僕の顔はずっとニヤニヤしっぱなし。
明日も会える。それだけで身体がフワフワしている。
軽くスキップをしていると後ろから自転車に乗ったおじさんにベルを鳴らされた。それすら何とも思わない。気分良く謝ったらおじさんは不思議そうな顔をしていた。
続く。