日本共産党100周年あたりから党に関する文献を読みまくり、読書予定が狂ってしまったおかげで共産党のことはしばらくご免こうむりたいと思いつつ、いちおう最低限の追跡はしてきた。ただ第29回党大会後、党の動向について論評しようとする私の熱意が氷点下まで下がったことが、このブログを更新しなかった理由である。

 

 沈黙してきたこの間のできごとを一つ。

 去年の総選挙後、とある大企業に勤める20代男性に投票先をどうやって決めたのか聞いたところ、ネットのマッチングサイトを使って自分の考えに近い候補者に投票したという答えが返ってきた。それによって彼は、選挙区は立憲民主党の候補者に、比例区は国民民主党に投票したということだった。

 そこで今回、私がそのマッチングを試してみたところ、一致度が一番高かったのが共産党候補者だったが、二番目のれいわ候補者との差はわずか2ポイントだった。私がもし共産党員でなければ、共産党とれいわ、差がないのだったられいわを選んでいたかもしれない。そう考えると結局、他の野党と差は潜在的支持者の組織化の差だという当たり前のことの再確認となる。日本の政界が多党化しつつあるなら、なおさら支持者の組織化が重要課題となろう。

 前提として日常的な党の活動や運動があって、そこで接点のできた支持者を運動団体なり党の後援会なりに加入してもらい、党員・支持者のコミュニティを確立する――その仕組みが破綻しているなら、再構築しなければならない。党員の圧倒的多数である高齢党員たちのコミュニティはそれなりにあるだろう(それも衰退していく一方だ)が、現役世代以下の党員のコミュニティはほぼなく、高齢党員コミュニティの添え物になっているのが党の末端の実状ではないか。

 

 そして参院選投票日。私が聞いた範囲では、一部で比例は「山下よしき」に投票せよとの通達があったようだが、私は迷わず「白川ようこ」に投票した。私のような投票行動をとった党員は少なからずいたはずである。

 他党の動向で注目したのは、維新がなしえなかった右翼保守政党の全国政党化を参政党が実現しつつあるという点だ。彼らが長期的に勢力を保持する可能性がでてきたように思われる。一方の(共産党が獲得してもおかしくない層による)国民民主党への支持は流動的とみた。

 総選挙に続き、参院選挙でも与党を惨敗に追い込んだ国民の不満は何よりもインフレであろう。過去のインフレ時は共産党を押しあげたが、今回は惨敗である。過去に打ち出した政策との対比で、今回の敗因を見出すこともできるかもしれない(が、私は検討するつもりはない)。

 政策面での要因を除けば、野党に追い風があるなかでの共産党の惨敗は、組織強化という課題を直視せず、もっぱら入党者数を追求しながら異論派を追放するという第29回党大会路線の当然の帰結だと言える。党指導部の刷新を含めた大転換が必要だ。その場合は早急に次期党大会の準備としてそれを開始しなければならないが、長老たちは手にした権力を自ら手放しはしないだろう。というわけで、このブログの次の更新もいつになるかはわからない。