【共創】安売り投げ売りは誰も幸せにしない 自分自身のサービスに対する価格の決め方

 

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共創メンバーから、ご質問をいただきました。

 

「こんにちは。高萩さんのYouTubeを拝見して、サービスに対する本質とは何かを考えるきっかけになりました。ご意見を伺いたいのは、自身のサービスの価格の決め方です。」

「仕事をしていると、『あまり手当は払えないのだけど』と言った依頼が来ます。私は価格交渉が苦手なのです。自分が提供できることを、誠実にやっていく。それに見合う適切な対価を設定して、一応、ギリギリでも生活するようにする!と言うのが私の目標です。」

「個人事業主である以上、きちんと本業で成り立つようにしたいです」

 

頂いた質問を熟読して、私なりの考え方を改めてお伝えします。少し長くなりますが、良かったらお読みください。

思いつくまま箇条書きにします。

 

 

(1)鶏口となるとも牛後となる勿れ

(2)他社(同業者)が面倒くさくてやりたがらない

(3)やりたいことより、やるべきこと

(4)料金表を作る

(5)割に合わない仕事を引き受ける基準を決めておく

(6)体良く利用されているケース

 

 

(1)鶏口となるとも牛後となる勿れ

>個人事業主である以上、きちんと本業で成り立つようにしたいです

 

これはまさにその通りです。世の中に個人事業主は何千万人といます。

本業で成り立っている人はどれくらいいるのでしょうか。

 

私がベルテンポを25年前に創立した時、事業計画書もなければ売り上げ目標もありませんでした。あったのは「お客様はどこかにいるはず」との強い信念です。

 

日本に旅行会社は1万社以上あると言われていますが、私が1万1社目を創業しても、

別に誰も振り向いてもくれないし、そもそも、必要とされてもいません。

だって、すでに旅行会社は星の数ほどあるのですから。

 

私は思いつきで障害者の旅を始めた訳ではなく、ふと出会った障害者の方の

「旅に行きたいけれど、行けない現実」を耳にして、

「ここにはとてつもないニーズが埋もれているのではないか」と考えたのです。

 

(2)他社(同業者)が面倒くさくてやりたがらない

 

・ニーズが顕在化していない(けれど需要はとてつもなく大きい)
・誰もやっていない、気づいてもいない
・気づいていても、ビジネスになると思っていない

・他社(同業者)が面倒くさくてやりたがらない

 

要するに、これからの時代、他の人と同じことをやっていてはダメだと25年前に気づいたのです。大手のレッドオーシャンでの戦いに疲れていたのもありました。

 

マーケットリサーチは、ボランティアで出会った障害者当事者の人たちです。

3人か5人くらいにヒアリングして、「これはとてつもないニーズだ」と感じました。

 

マーケティングはお金を出して人に頼んだりせず、自分でフィールドワークをすることをお勧めします。1万人のモニターより、目の前の3人の生の声です。

 

(3)やりたいことより、やるべきこと

 

好きを仕事にと言いますが、好きと仕事がイコールになる確率は低いです。

私も旅を仕事にするべきではなかったと、今でも思いますが、「それしかできなかった」から消去法で始めたみたいなところもあります。

 

ましてや、介護福祉系の仕事に興味も関心もありませんでした。

今でもよくわかりません)

 

でも、「やるべき」とは思いました。やりたいのではなく、誰かがやるべきだと。気づいてしまったのだから、やろうと考えました。

 

やりたいことをやっても良いのですが、別カテゴリーで「神様からやれと言われたからやっている仕事」みたいなフィールドがあると良いです。ライスワークとはまた違います。食べるためにやるのではなく、神様に言われてやっている感覚。

 

さて、

 

「神様からやれと言われた」仕事。

割に合わないかも知れませんが、あなたならできると、神様に任命されたのです。
(注:私、宗教とかはやっていません、念の為)

もちろん、体良く利用されているケースも多々ありますが、それは後で話します。


(4)料金表を作る

私は一応、仕事の料金表があります。講演やセミナーに関する基準みたいなものです。

作っておくのは、依頼者への親切でもあります。目安がないとわからないのです。

その上で「柔軟に対応します」とするか「定価から一円足りとも値引きません」と明示するかはあなた次第です。どちらでも良いのです。

 

ちなみに私は「柔軟に対応する」派です。間口は広く開けておきたいからです。手弁当で引き受けることもあります。

 

ある講演活動家の方が「僕は1時間40万円、飛行機はANAのスーパーシートのみ、新幹線はグリーン車、送迎はタクシーではなくハイヤー」と豪語していました。最近、お見かけしませんが、元気かなあ。いいのですよ、それでもお願いしたいと思うかは依頼者が決めること。

その方は「1万円のしょぼい仕事を受けるとブランドが毀損する。1万円を40本受けるより、40万円を1本受ける」ともおっしゃっていましたから、立派な価値観です。

 

私は個人的には九州ベンチャーの栢野さんの考え方が好きです。

移動は格安LCC、新幹線は自由席、カプセルホテルは贅沢、サウナで充分。

素晴らしいですよね。

講師の先生が高級ホテルに泊まるか、サウナで過ごすかは、講演の質とは関係ありません。

 

 

(5)割に合わない仕事を引き受ける基準を決めておく

 

それでも割に合わない仕事は延々とやって来ます。多いときは週に何件も来ます。

この「割に合わないと思う仕事」を今まで何百と打診されて、感じたことがあります。

 

割に合わないの定義

 

それは、「結局のところ、依頼者との関係性」に尽きると。

あと、相手の本気度や誠実さですね。

 

お金の話を後回しにして依頼してくる人って、結構多いです。

講演料や謝礼の話がいつまでも出てこない。

 

なので、依頼する側に回る際は、予算が少なくても良いので、最初の依頼メールで

「謝礼は幾ら」交通費のことも最初に伝えましょう。これだけで好感度が上がります。受けてくれる可能性がグンと高まります。

ANAスーパーシートのブランド先生は秒で断るでしょうが、「それで、いいのです。お互いに」。

 

たとえ手弁当でも受けたいと思う講演会もあれば、

お金を積まれても嫌だ、と思ってしまう主催者もあります。

 

「割に合わない」と思ってしまう心理は、言ってみれば、依頼者への不信感です。

自分が安く見られているのではないかというモヤモヤ。

 

だから、それらは断れば良いのです。

リスペクトを感じられないから、モヤモヤするのです。

 

とは言え、

開業して最初の3年くらいは量稽古も必要です。まずはお金をいただくに値する仕事をしているか、謙虚に研鑽することも大切です。

 

さちさちさんの場合、すでにプロとして活動されていますから、もちろん量稽古は不要です。

地に足をつけて、次のステージに進みましょう。

 

 

(6)体良く利用されているケース

 

あくまで、私の経験です。毎週、毎月、常に講演会や講話を開催している団体は「話をしてくれる人」を探しています。

とにかく、交通費にもならない謝礼で喜んで話をしてくれる人が、もういないのです。

こう言ったケースでは、「お付き合いで、まあいいか」と思った瞬間、利用されます。

連鎖して、あちこちから声がかかります。「逆にこっちが利用してやる」と言う気概がないと時間とノウハウを吸い取られるだけになります

 

 

 

長くなりそうなので、前半はこれくらいにします。

後半は、「さて、自分にいくらの値札を貼るか」です。

 

 

高萩徳宗

 

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