2泊3日で、毎年恒例の
京都送り火の旅にお客様とご一緒しました。


送り火の当日は朝から大雨警報が出る
豪雨と雷で、鴨川も氾濫寸前。

京都市内もあちこちで道路が冠水する
事態になりました。

送り火の保存会の方々は
どんな想いで準備されたか
考えただけで頭が下がります。

花火のような観光行事であれば
中止を決めるところですが、
送り火は仏様の魂をあちらへ
帰す宗教行事。

雨だからと言って、中止する訳には
行きません。

過去、送り火が中止になったのは
50年以上前にどうしても火が
着かなかった時だけだと聴きました。

午後からも降ったり止んだりの
落ち着かない天候でしたが、
点火の20時には雨がピタリと止み、
五山に火が灯りました。

市民の方々と一緒に手を合わせ、
先に仏様になられたお客様や
ご家族、恩師友人の魂を送りました。

保存会の方々の想いが天に通じた
のだと思います。

合掌。



●表具店の社長さん


今回、到着日にお客様と共に表具店の
工房を見学させて頂きました。


掛け軸の修繕だけではなく、
お寺から持ち込まれる重要文化財
などの絵画も修復するそうです。

私がお邪魔した時に床に置かれて
いたのは京都市内のある寺院さんから
依頼されているお釈迦様の涅槃図。

400年前に書かれたものを
100年に一度、修復するそうです。

次の100年の為に修復をする時、
100年後の職人さんが直しやすい
ように考えながら直すのだと
おっしゃいます。

そのいちばん大切なポイントは、

「どこを直したかが判るように直す」

ことだそうです。

修繕に使う和紙が酸化すると絵を
痛めるので、使う和紙は石灰を
交ぜた特殊な和紙。

奈良の宇陀から取り寄せるそうですが、
「ひと束で500万くらいするんですよ」
とさらりとおっしゃる。

昨日、漉いた和紙をすぐには使えない。

「だいたい30年位置いたものが
 修繕にちょうど良いのですわ。」


糊も手作り。

糊は6~7年寝かします。
カビが生えたら取り除きます。
そのカビに栄養を吸わせることで
100年に耐える修繕が出来るのです。


京都に来ると、話しの最少単位が
10年、100年です。

400年級の文化財がごろごろ
置いてある作業場を丹念に案内して
下さり、2時間以上、お邪魔して
しまいました。

・送り火の京都を旅しました。