1月末から、
私が20年以上前に在籍していた小田急電鉄に、
サービスマインド研修の講師としてお世話になっています。
今日はその第5回。
世田谷の研修センターにお邪魔させて頂きました。
この研修では104社ある小田急グループの若手社員のサービス
マインドの育成を承っています。
350名の参加者が10回に分かれて参加されます。
今日は、
電車の運転士さん
車掌さん
駅員さん
踏切保守担当の方
工場で車両整備担当の方
磨耗したパンタグラフを交換する方
保線担当の方
経理業務担当の方
バス会社事務担当の方
バスの運転士さん
シティホテルマン、ホテルウーマン
レストランで働く方
ロマンスカーの車内販売担当の方
スーパーのお惣菜売り場の方
駅前再開発担当の方
などなど、多彩なメンバーが集まりました。
グループの総力を結集して「サービス力」を高めるセミナーです。
我ながら、
踏切の点検をしている方とお惣菜担当の方が
一緒に研修を受けているのが、すごいと思います。
研修の雰囲気をちょっとだけ。
朝9時半から5時半までぶっ通しのセミナー。
とにかく皆さん、熱心です。
目力が違います。本気です。
議論白熱ですが、笑顔も溢れます。
何を話し合ったかは、企業秘密
です。
すんごい話し合いが持たれています。
ホントウにすごいです。
どの会社にもマネできない、
日本のどこにもない「サービス」の形がここから生まれる・・・
はずです。
私は昭和58年から63年まで小田急電鉄に勤務していました。
今、20年の時を経て、
出身会社にご恩返しができることを本当に嬉しく思います。
蛇足ですが、鉄道会社さんの研修は時間に正確です。
9時30分からの研修は、9時30分00秒
に始まります。
ホントです。
なので、元鉄道員の私も今回は久しぶりに、
しっかりと時計の秒針
を合わせて講師をやっています。
「はい、発表の持ち時間は6分です。」
と発表担当の車掌さんに伝えると、
車掌さん、ぴたりと6分00秒で発表を終えました。
「す、すごい」
と私が感服していると、
「いや、普通です。」
恐れ入りました。
今日の研修でとても印象に残ったのが「台車担当」の方。
電車には車体の下に車輪を支える台車があります。
この台車は列車が走るうちに汚れるのは当然ですが、
車輪も磨耗していくので調整が必要になるのだそうです。
ところで電車の車輪の直径をご存知ですか。
車両により多少異なりますが、彼の説明によるとある通勤型電車は
車輪の直径が860ミリ(86センチですね)。
これが走るうちに磨耗して行き、
また電車がブレーキをかけたりするとまん丸ではなくなるために
乗り心地を良くする為に車輪を削ることもするそうです。
最大で70ミリ位削るそうです。
すると何がおきるか。
車輪の直径が小さくなると当然、車体が沈みます。
7センチも沈んでしまうと、
電車の車体がホームよりも低くなってしまう恐れがあります。
これは絶対に避けなければいけません。
なので、
彼の仕事はその削った車輪の直径に合わせて、
車体の床の高さを調整するべく、台車と床の間に鉄板を挟んで行き、
すべての車両の床の高さを均一にするのだそうです。
私は鉄道業に勤めていましたが、車掌業務をしている時も
そんなすごい仕事をしている人がいることを知りませんでした。
彼が自分がどんな仕事をしているか、参加者全員に話すと、
誰ともなく拍手
が沸き起こりました。
彼は、はにかんでいましたが、まさにプロの仕事です。
こう言った人の目に触れない仕事を世間では「裏方(うらかた)」と言います。
でも私は、
裏なんてとんでもない、
彼こそが鉄道の安全輸送のサービスの軸を担う
「軸方(じくかた)」
だと思いました。
裏方と呼ばれる人たちは、
実はサービスのストライクゾーン、
つまりその仕事がないとサービスの前提条件が成り立たないような、
ど真ん中の仕事をしているのです。
だから、「軸方」なのです。
彼には誇りを持って、明日からも車輪を削り、
台車の高さを調整して欲しいと思います。
まだまだ知らないことがたくさんあります。
知るは楽しみなり。


