続けられない仕事に未来はない。


私の友人(旅行会社経営)が現役添乗員さんと食事に行きました。

この添乗員さんは友人が10年前の春に「添乗員養成講座」講師として育てた生徒の一人。


当時の受講生で今も添乗員として頑張っている現役はその方ただ一人だけです。


現在、海外添乗員さんとして一年間で約220日程度添乗されているとのこと。
正真正銘のベテラン添乗員さんです。


そのベテラン添乗員さんも、現場でツライ思いをしていると話されていたそうです。

以下、友人の話です。


------------------------


例えば、飛行機が少し遅延したことで、お客様からお叱りを受けたことや、
お客様が滞在ホテルの朝食会場で日本から持参したペットボトルに、
周囲の目を盗んでビュッフェの飲物をつめていて、ホテルのマネージャーからお叱りを受けたりと。


あまりの「あり得なさ」に爆笑ものな内容なのではあるのですが。
いくら節約が日本人の美徳といわれていても、朝食場所でその日の
飲物を調達(これって窃盗行為では?)って、どうなんでしょ?


14万円(このうち燃油付加運賃と空港税で7万円程度が含まれる)程度の
4泊6日のオランダ・ベルギーを訪れるツアーでは食事がついていないので、
日本から持参したカップヌードルを部屋で食べるためにお湯をもらって
来いと要求されてしまうそうです。

もう何でもありで、絶句してしまいました。


これでは、
夢を持って添乗員になった方も、プロとしての力を発揮することもなく、
その職業に見切りをつけてしまいます。

主催旅行会社はと、誤解を恐れずに言えば、
現場の現実とは掛け離れた文言でお客さまを誘因し、
日照時間などをまったく考慮していないツアーの多いこと。

冬のヨーロッパは日没が早いのです。


無責任商品も良くないのですが、どうせ「派遣添乗員でしょ」的なことを
二言目には口にするお客さまの側にも問題ありなのでは、と思う訳です。
(ここまで友人からのコメント)

------------------------


他人を思いやる優しい日本人。
礼節を重んじる日本人。


私達には、忘れてはいけない、大切な何かがあるはずです。

それはプロとしての誇りであると共に、一生懸命頑張る人が報われる社会、
一生懸命頑張る人を尊敬する気持ちが持てる社会。


ましては業界構造として、「この待遇じゃ、家庭が持てない」などという
労働力に依存した業界は、とてもまともとは言えないはずです。


私の故郷でも、精密機器メーカーが1,100人の大量解雇。
これを日本最大の経済新聞は「雇用調整」という言葉を使って
記事を配信しています。


確かにメーカーから見れば「雇用」を「調整」しているのでしょうが、
働く人の生活や人生はどこへ行ってしまうのでしょう。


私達、旅行業界も、そろそろ現場の最前線で汗して働いている
「派遣」添乗員さんやカウンターで頑張る「契約社員」スタッフを
「ひとりの人間=人材」として見て行かなければ、未来はないはずです。

働く人の犠牲を前提とした「格安」は、誰を幸せにするのでしょうか。