九州の仕事から戻った翌日、福井で講演の仕事を頂きました。


福井は初めての訪問。


福井商工会議所さんの主催で、顧客感動実践クラブの講師として
サービスに関するお話をさせて頂きました。


製造業や小売り、飲食から観光関連の方まで多種多彩なメンバーが
いらっしゃって下さったのですが、福井駅前でビジネスホテルを
されている経営者の方も参加されていました。


今回の福井の出張は日帰りにするか、宿泊するかを決めないまま
出かけてしまったのですが、福井の街が一瞬で気に入り、
「よし、今日は泊まろう。」と考えました。


せっかくのご縁です。駅前のこのホテルにお世話になることにして、
予約、チェックインさせて頂いたのです。


ビジネスホテルと言うと、皆さんもある程度決まった「イメージ」が
あるのではないかと思います。


このホテルも決して新しいホテルではありませんし、構造自体は
私たちがイメージしている「ビジネスホテル」の印象から大きく
外れてはいませんでした。


しかし、とても「居心地」が良いのです。よく眠れました。


居心地は主観的なものですから、人により受け取る印象は異なると
思いますが、高級ホテルや高級旅館だから必ずしも居心地が良い
とは言い切れないこともあります。



私は出張が多く、恐らく1年に200日以上をホテルや旅館」で
過ごしています。なのでこの居心地にはとても敏感です。


1泊5,000円のこのビジネスホテルは、私にとっては
今年の宿泊「居心地の良さベスト5」に入る快適さでした。


「お客さまに快適に滞在して欲しい」との想いがあちこちから
伝わってくる「心配り」が感じられました、たとえば、





(1)部屋にある枕。


「低反発枕をご希望の方は、棚に入れてありますので、どうぞ。」


枕が変わると眠れないなどと良く言いますが、それは神経質なのではなく、
枕の高さや堅さなど、微妙な具合によるところが大きいのです。


最近では低反発枕を貸し出し備品にしているところも増えていますが、
浴衣に着替えてしまった後「フロントへどうぞ」と言われても、
「面倒くさいから、まあいいか」となってしまいます。


すべての部屋に替わりの枕を置くのはコストも掛かるでしょうが、
このちょっとした違いは大きいのです。



(2)パソコンが使える光ケーブルも設置されていました。


LANケーブルがデスクの上に伸びていて、パソコンを差し込むだけで
すぐに使える。これは嬉しい。


LAN完備と言うだけでなく、ケーブルがひょろひょろとデスクに伸びている。
何が違うのか。


ある時、別のホテルで「パソコン接続無料」と書かれていて、
部屋に入ったら、LANケーブルがどうしても見つからない。
フロントに電話したら


「フロントでお貸ししますので、どうぞ。」


この時もすでに浴衣に着替えていましたが、仕方なくもう一度洋服を
着て、フロントまでケーブルを取りに行きました。


この違い、判りますか。



(3)コンセントで携帯を充電したい時


ホテルに入ったら、まずはパソコンを設置。
さて、次に携帯電話を充電しようとしたら、

あれ、コンセントが1口しかない。


部屋中を探しても、空いているコンセント口がないので、
仕方なく、電気スタンドをコンセントからひとつ抜く・・・。


こんな“プチストレス”、みっともないので黙っていたのですが、
先日、経営者の友人とビジネスホテルの話になったとき、

「部屋備え付けのLANケーブルとコンセント2口は基本だよね。」


と意気投合して嬉しくなりました。


この「ちょっとした違い」判りますか。



もしかしたら私だけかも知れませんが、恐らくビジネスマンが
常に感じている“プチストレス”がホテルにはたくさんあるのです。


スリッパを突っかけてホテル館内の自動販売機に缶ジュースを買いに
行ったら「150円」の表示。


「こんなところで30円儲けるなよ、さっきコンビニで買ってくれば良かった。」


これもプチストレスです。


こんな小さな課題は、宿泊客はわざわざ言い残してくれません。
アンケートにも書かれないことがほとんどです。
だから、問題に気がつかないのです。


み~んな黙って、立ち去って行きます。
そして絶対、リピーターにはなりません。



私が講演やセミナーでいつもお話させて頂いていることに被せて見ます。



 1.お客さまの軸を決める


 このホテルは1泊5,000円でした。恐らく平日はビジネスユースの
 ひとりでの宿泊がほとんどでしょう。

 この人達がお客さまのドメインだと決めると、サービスの展開が
 ハッキリとイメージできるようになります。

 もちろんそれが「女性」でも「小さな子供のいる家族」でも良いのです。
 ここがぼやけていると、サービスがキリッと引き締まりません。



 2.大きな感動は必要ない、小さな心配りの積み重ねが大切


 誕生日のサプライズもいいですが、コンセントを2口、のように、
 お客さま自身も気がつかないような「ストレス」を軽減してみましょう。

 お金を掛ける必要はありません。設備投資ゼロでできることが
 必ずあります。まずはリピーターのお客さまに「何が気がついたことは
 ありませんか?」と直接伺ってみましょう。


 3.何より基本が大切


 私はこのホテルをチェックアウトするとき、
 「次もここにお世話になろう」と決めていました。それはなぜか。

 館内全体に人の温かみを感じたからです。


 最近のビジネスホテルはあえて人間的サービスを遠ざけることで
 経済合理性を追求しています。でもビジネスマンは疲れているので
 人の温かみほど嬉しいものはありません。


 このホテルはチェックイン時「いらっしゃいませ」ではなく、
 「お帰りなさいませ」でした。これが経営姿勢と言うものです。

 社長さんが「うちは建物も古くて直さなければならないところばかりで」
 とおっしゃっていましたが、私はこのホテルの財産を一つあげると
 するなら、構造建築物としてのホテルではなく、ここで働いている人が
 “財産”だと感じました。


 自社のサービスにどうしても自信が持てない方もいるかも知れませんが、
 働いている人こそが財産だと、再度認識されることをお勧めします。


高級ホテルや旅館を見てサービスを感じるのも悪くありませんが、
客単価が高ければ、ある意味「出来て当たり前」ですし、事前期待が
高い分、がっかりすることも多いのです。


私はこれからも庶民派サービスを応援したいと考えます。


・福井でお世話になった庶民派サービスのホテル
 http://www.terminalhotel-fukui.co.jp/



明日からお遍路です。お足元の悪いお客さまとご一緒します。