今、ある旅行の手配を行っています。

お客さまは10名ほどの小グループ。


自然にふれあいたいということで、信州地方のある有名な

観光地への手配依頼を受けました。


宿泊するのは誰もが知っている、著名な観光ホテルです。


ここのホテルは「1泊2食付料金」と「宿泊のみ料金」の設定が
あるのですが、当社のお客さまはご高齢の方も多く、
ご病気でたくさんの食事が召し上がれない方もいらっしゃいます。



そこで「宿泊」のみの予約をベースにお客さまそれぞれが、
ご自分の食べられる料理を選んで貰えるようなプランを計画しました。

しかし、ホテルからは


「グループの場合は全員同じメニューを食べて欲しい」と言われ、
あげくに


「グループの場合は、14,700円のコースのみとさせて頂きます」
とのこと。



1泊の料金ではなく、“夕食”が14,700円です。



お客さまには

「ピークシーズンでホテルが強気なので、こう言われてしまいました」
と説明するしかありません。



今日、グループの中のお客さまのひとりが


「うちの主人は舌がんで食事がたくさん食べられないから、
 何とかアラカルトに出来ないかしら」


と再度相談を頂きました。


ホテルに個別の事情を話し、ひとりだけでもアラカルトにして

貰えないかと打診したら


「出来ません。」


とつれない返事。


その言い方がとても高級ホテルとは思えない投げやりな

対応だったので、

「高齢の方で食事がたくさん食べられないお客さまには

 日頃どのようにご案内をしていらっしゃるのですか。」


と聞いたところ、本当に嫌そうに、めんどくさそうに

うるさいなあ、と顔に書いてある声で、


「あ~、そうですか。はい、判りました。それでは対応します。ガチャン。」


一流ホテル(だと、自他共に認めているはず)が「ガチャン」です。



先日、NHKのニュースでこの地域がガソリン高騰のあおりをうけて
予約客が激減しているとの特集をやっていました。


ガソリン高騰も理由のひとつでしょう。


でも、このような「粗雑」な対応のひとつひとつがボディーブローの
ように効いて来て、「悪い評判」を広げていっている事実に
気がついていないとしたら、気の毒なことです。


「有名な観光地」「有名なホテル」ほど、顕著にこの傾向があります。

昭和の時代。

今まではほって置いてもお客さんが押し寄せて来たのでしょう。
その「黄金時代」のうまみが忘れられないのも判ります。


昭和の時代は終わっているのに、昭和スタイルのビジネス。



「高級ホテル」なのであれば、お金は払います。


でも、お客さまひとりひとりの「個別のリクエスト」に対応出来ない
(したくない)スタンスが、ここまではっきり判ってしまうと、
間に入ってコーディネートしている私たちは、


「もう、このホテルを紹介するのはよそう」


と思いますし、実際、来年はもう使わないでしょう。


そして、こう言った微妙に「お客さま想いではない」対応は、
お客さまに伝わってしまうものなのです。


お客さまは、敏感です。


何十年もの歴史を持つこう言った高級ホテルが、
サービス崩壊していくのを目の当たりにするのは、悲しいものです。



それはサービス崩壊というほどではないのでは?

と思うかも知れません。



でも、当社のスタッフはこうも伝えました。



「私たちがお世話させて頂いているご高齢の方は、

食べ物を残すことにとても敏感です。
戦時中のことを思うと、食べ物を残すことに想像以上の
罪悪感を持たれているのです。

だから、コースを食べなければいけないので
あれば、そのルールにはしたがいますから、もう少し量の
少ないコースを選ばせては貰えないのでしょうか。」



こう言った「正論」を言われるのは、嫌だと思います。
本当に嫌そうな電話口での態度だったようです。


夏のピークだから客単価を上げたい気持ちは判ります。
スキー場と一緒で、何ヶ月かの間に1年分のウリを立てる
必要があるのでしょう。

だったら、「お金が欲しい」「売上を確保したい」とはっきり
明示すれば良いと思います。


コース料理もホームページ上は8,000円からあるのですが、
グループの場合は14,700円を一方的に指定。


高齢者と言っても、舌がんと言っても14,700円のコース。
お客さまはこんなに食べられないと言ったら、嫌な顔をする。



観光客が減っているのはガソリン代高騰が理由でしょうか?


このホテルは極端ですが、観光(特に旅館などの宿泊産業)が
衰退している理由は、どう考えても不況やガソリン代が理由では
ないと、私は体感しています。



でも、変われないのですよね。


サービス提供者側が変われないのであれば、

消費者側が意識を変えるしかありません。



十把一絡げにしかお客さまを扱えないサービス業に「NO」と

言えるのは、お金を払う、お客さま自身です。