今日は8・9……や・きゅうの日です。まさにそれに相応しい野球日和。そして今日は我がCrazy9が大蔵リーグで常に優勝を争う強豪MJB戦。甲子園も始まったばかり。例えていえば、甲子園初戦でPL学園と戦うような気持ちなのだ。
 昨日寝る段階からすでに緊張している。そして朝起きても緊張は続いている。今日一日はこれをテーマにしてみようと思った。緊張するなと言われても、どっちみち、するのである。ならば緊張を維持した状態で、どれだけプレーできるのか。それに挑戦したかったのだ。

 まずは今日スタメンで出場できたことが嬉しい。7番セカンド。今日はうちの中心メンバーもほぼ揃い、総勢14名。いい選手が大勢いるなかで先発させてもらったことに感謝し、一球一球を大切にする。

 1-1で迎えた4回裏、Crazy9の攻撃。ここで4番岡崎遼選手をランナーに置き、左の大砲・5番佐藤選手が右中間を深々と破るタイムリー三塁打。一死となり、僕に打順が廻ってきた。
 うちのクリーンアップは安定している。大切なのは「そのあとの打者で、もう1点獲ることができるかどうか」……それができるチームは確実に強い。僕は6番や7番を打つことが多いから、まさにそういう打順であり、役割なのだ。といってもそう簡単にはいかない。相手投手だって、ランナーがいる場面では絶対に打たせまいと投げてくるし、打者にはプレッシャーがかかるし。
 でもここで朝の課題を思い出した。バリバリに緊張した場面でどういう打撃ができるのか……。場面は一死三塁である。とにかくゴロを打つ。ヒットなら言うことないが、内野ゴロでも、いいところに転がせば点は入る。常に投手戦となるこのカードで、2-1から3-1とリードを広げる1点はものすごく大きい。当然、ベンチもその重みを知っている。
 初球は内角球をフルスイング。少し大振りになってしまった。空振り。2球目も山本投手の球威に負けないようにスイングするがファール。やはり腕がまだ緊張している。僕はバットを2センチ短く持った。狙いは一二塁間。その方向にゴロを打つ。3球目は外角だったが、少し内に入ってきた。ボールを呼び込んで、またフルスイング。……イメージとは少しズレた。打球はピッチャーの左足許を抜き、そのまま二塁手の左を抜け、センター前ヒット。タイムリーとなり、スコアは3-1に!
 僕は一塁ベース上にいる。打ったあとは、ランナーとして得点に絡まなければならない。しかし相手捕手は強肩の田辺選手。そう簡単には走れない。そんな場面で吉高監督のアドバイスが僕の気持ちを楽にさせてくれた。内容は企業秘密だが、あの一言で、盗塁を試みようと前向きな心境になったのだ。思い切って走る。その時、坂原選手がフルスイング。打球はレフトを越えた。結果的にヒットエンドランとなり、僕は二塁、三塁を廻り、ホームイン。チームは4-1とリードを広げる。

 この日の気温はまさに真夏。しかも世田谷球場は人口芝。蒸し返しはものすごい。守備につく選手の疲労度、消耗度は激しい。でもこれは皆同じ条件。誰ひとり顔には出さないが、全員必死で気象条件とも闘いながら1点を与えないために守備についている。それは両チーム同じだ。
 回は進む。そして最終回の7回表へ。スコアは4-1のまま。坂原投手から尾崎投手へのリレーで、Crazy9は3点差を守りきり、勝利した。

 強豪MJBを相手にがっぷり四つの末、勝利できたことは、とても自信になる。何より、全員がひとつの気持ちになり、声を出し合い、チーム一丸で勝ちを手にした価値は大きい。このチームワークの良さこそが、僕がCrazy9を好きな一番の理由だ。元々ベンチ組の実力しかなかった僕が、良き仲間に恵まれ、試合でも少しずつチームに貢献できるようになってきた。だから野球は辞められない。

 野球の日に、まるで甲子園の初戦を突破したような気持ちになれたのは、やはり野球の神様がどこかで微笑んでいるからに違いない。
 普段はこのブログは野球をテーマにしていますが、今回は号外ということで、「アメノクサリ」という芝居を観た感想を記したいと思います。しばし野球を離れ、ティータイムとしてお付き合いください。

 劇団ELEGY KING STORE所属の鳥越夕幾子さんが出演された「アメノクサリ」を高田馬場ラビネストで観ました。当初は、最終日の6月26日に観劇する予定でしたが、23日も時間が空いたので、急遽お願いして初日も観に行くことに。

 予備知識はタイトルの「アメノクサリ」だけ。どんなお芝居なのか、いろいろ想像しながら劇場に入りました。梅雨時期の6月が公演日、そしてタイトルの響き……きっと雨にまつわる透明感のある物語なのだろうと思いつつ、幕開けを待ちます。
 半分は当たっていて、半分は想像以上の展開を見せていただきました。
 最もシンプルに言えば、姉妹の絆の物語。しかしそこには複雑な背景が絡み合い、ひとことでは語り尽くせないお話でした。

 今回、注目して観たのは、劇団で唯一面識のある鳥越夕幾子さん(メインの姉妹の妹役)の演技。そして物書きの立場から、脚本にも注目していました。どちらも素晴らしかったです。

 特に鳥越さんの声が印象に残りました。話の設定上、子供の頃の声と大人になってからの声を使い分けなければなりません。雨の音とともに暗闇から聴こえてきた女の子の声……鳥越さんの姿がライトアップされるまで、ご本人とはわからなかったほど、少女そのものの声の響きでした。
 このお芝居は雨音とともに話が進んでいきます。ですから“響き”はとても大切な要素になります。ちひろ(鳥越さん)が幼き日より背負った過酷な十字架――彼女の成長する過程が、物語の進行と同期します。そこに姉あきこ(平田絵里子さん)のちひろへの想いが重なり合い……。観客の立場からはもちろん視覚は重要ですが、この話は聴覚が重要な鍵を握っています。ちひろはある理由によって視力を失ったのです。だからこそ、私は出演者の声に反応したのかもしれません。

 公演時間1時間30分。最初から最後まで集中して観ることができました。そこには脚本の力があったと思います。探偵役・伊智生士冶さんの動きが進行役を兼ね、丁寧に人物の背景を説明していきます。そう、この物語の大きな要素は謎解き。姉妹の複雑な関係の謎、そこにまつわる人々の謎……さまざまな伏線が用意され、意外な展開が待ち受け、聴衆は休む暇がありません。実は私も話の難解さに自分が最後までついていけるか不安になりました(きちんと展開を理解できているか、と)。でも終熄に近づくにしたがい、物語も収束へと向かい、多くの謎が解き明かされ、納得させられることになります。
 ちひろの周りに現れた人々は、姉そのものだった……そこには姉妹の深い絆が隠されていた。最後に、姉と妹が背中合わせで語るシーンは特に印象深かったです。

 物語の後半で明かされる、姉の乖離性同一障害。それが多重人格を作り出し、一人ひとりが妹の前に現れ、さまざまな接点、関係を持っていく。中盤における多くの謎が、この要因によって、クサリのように連鎖し、必然性を形作ります。つまり乖離性同一障害という病は、観客を納得させるためにも、この話においては無くてはならない存在なのですが、もし違う要因で、ちひろの前に現れる人物たちを説明できたなら……そんな想像もしてしまいました。物書きのひとりごとです。

 それにしても、6月という雨の季節とこの作品世界はよく似合っていました。アメノクサリとは、姉妹をつなぐ切っても切れない鎖であり、それは同時に絆、縁をも表しています。
 初日と千秋楽、そのどちらも観劇できたことは贅沢であり、幸せでした。

 最後に野球らしく。最終回、二死満塁。雨のグラウンドに放たれた「アメノクサリ」選手の打球は、奇跡的な軌跡を描き、内野と外野の間に落ちるテキサスヒット。サヨナラ勝ちに観衆の心は雨の鎖でつながれ、ひとつになった。
 いやあ、長いこと野球をやっていると、こんなこともあるんですね。

 僕のホームチームはCrazy9だが、今年の春から仕事関係の野球チームにも顔を出すようになった。若手主体のCrazy9に比べて、こちらのS球団(とでも呼ぼう)は選手の年齢層も高く、レベルもまだまだ。ただ、みんな野球好きという点はどちらのチームにも共通している。
 常勝を目標とするCrazy9に対し、S球団は1勝することが夢のようなチーム。ある種、対極に位置する二球団だが、このS球団の野球レベルが僕にはある幸せをもたらした。
 ポジションは花形のサード。打順も上位を打たせてもらえる。ポジション争いの烈しいCrazy9では、そう簡単にはいかない。

 迎えた6月18日(土)、天候は生憎の雨模様。既にぱらついていたが、何とか試合はできることに。この日、我がチームは集まったメンバーが6人だけ。相手から3人をお借りして守備につくという寂しいスタート。1回表に3点を先制された。そしてこの日は審判を呼んでいなかったので、攻撃側が主審を務めるという状況。

 1回裏、S球団の攻撃。僕はスタメンでは六番に座る予定だった。主審を買って出たのは我がチームの四番N嶋さん。さすがチームの支柱。そして打順は三番まで進んだ。しかしこの時点でまだN嶋さんはホームベース後方でジャッジに専念している。次には打席に入らなければならない。ここでN嶋さんから僕に声が飛んだ。
「横井さん、よろしくお願いします!」
 てっきり、審判を代わってというサインだと思った。しかしN嶋さんは審判マスクを外すそぶりがない。そこでようやくN嶋さんの言葉の意味を知る。自分はこのまま主審を続けるから、先に打席に入って――そういうことである。
 この時、僕の野球人生で初めて、四番打者としてのスタメン出場が実現したのだ。しかもポジションはサード。
 ウグイス嬢がいたなら、「四番サード横井くん!」……そうアナウンスされることになる。
 心の準備などできていないから、何も考えることができないまま右打席に入った。ボールをよく見て、勝負どころのカウントで投じられたのは、内角低目のストレート。見逃せば確実にボールだった。打ちにいっているからバットは止まらない。左脳では「バットを止めなきゃ」、右脳では「ええい、このまま打ってしまえ」……良い自分と悪い自分がコンマ3秒の間に闘いを繰り広げ、ほんの少しの差で右脳が勝利した。何とかボールを捉えたその軌道は、三遊間を痛烈に抜けるレフト前ヒット。一死二塁の場面だったから、一死一三塁とチャンスを広げる打席になった。この回、3点を返し、試合はふりだしに。

 つづく2回裏、今度は一死満塁で四番の僕に。ここは何としてもランナーを返すことが要求される場面。無心だった。内角球をフルスイング。レフトの左後方を襲う強烈なライナーで走者一掃の3点タイムリー二塁打! 自分でも信じられないくらいの四番デビューとなった。この回、計4点で7-3とリードを奪う。

 冒頭でも触れたように、S球団は1勝が“遠い夢”のチーム。順調すぎる序盤だ。この日のマウンドに上がったのは、僕に四番の座を与えてくれたN嶋さん。彼のピッチングが冴えわたる。サイドスローからの奪三振ショーで、初回以降、相手のスコアボードに0を並べていく。S球団は3回裏にも4点を加え、試合はそのまま11-3で勝利! ここ2試合、大敗を繰り返してきたチームが覚醒・変身したかのような奇跡的な大勝。

 雨は降ったり止んだりを繰り返し、グラブもびしょ濡れになってしまったが、これ以上ない、心地好い野球日和になった。
 やはりジンクスは生きていた。僕は生粋の雨男なのである。

横井聡:背番号6 初四番の成績
3打数2安打1死球 打点3 得点3 盗塁1
 我らが草野球チーム・東京Crazy9は普段、世田谷の大蔵リーグに所属している。それと並行して、今年からストロングリーグにも参戦することになった。その初戦、つまり開幕戦が本日6月14日に行われた。
 対戦相手のストロング野球部は、昨年のストロングリーグを全勝で優勝したという強豪。名前も強そうだ。そして対戦場所は町田市民球場。僕らにとっては遠征にあたる。相手は強い。そしてこちらはビジター。この2つの要素だけで、緊張感は2倍になる。

 しかしこの町田での対戦は、僕個人にとっては、ありがたいことだった。球場がここだったおかげで、妹が姪を連れて観に来てくれることになったのだ。妹の家族は町田在住なのである。しかも、たまたま母が妹の家に来ていた関係で、母も含めた三人が球場に足を運ぶことに。普段、家族が自分の野球を観る機会なんてなかなかない。しかし今日は一気にそれが実現してしまったのだ。

 モチベーションは上がる。もしこんな日にかぎってスタメン落ちでもしたら何ともいえない気持ちになるが、幸い6番ライトで先発出場できた。ここ最近、バッティングの感じは良い。守備の感覚も良くなっている。普段の僕は試合でかなり緊張するタイプなのだが、この日はそこまでの緊張を感じなかった。それは今日一日で形作られたものではなく、試合出場の回数が増えるにつれ、徐々に身体に染み込んできた感覚なのだと思う。

 今日の打撃成績。ヒットは出なかった。でも第1打席は満塁となる四球。第2打席はランナーを一塁に置いて進塁打。第3打席は会心の当たりのレフト線ファール(結果はスライダーに三振)。自分の中での満足度は70%くらいと比較的、高かった。やはりチームの得点チャンスを広げる働きこそが重要度のバロメーターなのだ。

 守備ではあまり打球が飛んでこず、目に見える貢献はなかったが、打球への準備・バックアップという点ではしっかりできたと思う。それにはチームメイトの力が大きい。ベンチから、各守備位置から、ポジショニングの指示を場面ごとにたくさんもらう。それだけ各メンバーが試合に集中している証拠だ。

 試合はなんと3-0の完封でCrazy9が勝利を収めた。昨年の覇者相手に、互角以上の闘いをすることができたのだ。確実にチーム力が上がっていることを感じる。そう、個人プレーに頼るのではなく、チーム一丸で1点を取り、1点を防ぐ試合運びができるようになりつつある。これはチームがさらに強くなる前兆であると思うし、素直に喜びたい。

 妹と姪をチームメイトに紹介できたのも収穫。勝利の女神が二人いたな……いや正確には三人だ。うちの母もスタンドで観戦してくれた。あとはやはり野球好きの父にも、選手としての僕の姿を見てもらいたい。小学生時代に野球を教えてくれて、僕が野球好きになるきっかけを与えてくれたのは他の誰でもなく父親だからだ。

 最後に、名カメラマン?の妹が撮ってくれた背番号6の僕を一枚。

$野球日和-背番号6
 Crazy9の大蔵リーグ公式第6戦(vsしゃぁしいず)が、6月7日、羽根木球場で行われた。
 しゃぁしいずさんは普段から球場でよく会うことがあり、野球に対してとても熱心なチームという印象を持っている。通常、球場は1コマ(2時間)を押さえることが多いのだが、しゃぁしいずは2コマ確保していることが多く、試合後さらに練習をしたりと、いつも真剣さが伝わってくる。実をいうと我らがCrazy9も今年は2コマ通しで野球をすることが多く、この日々の積み重ねがチーム力アップにつながっている気もするのだ。

 この日は負けられない試合。強敵・しゃぁしいずに勝つことができれば、今後のリーグ戦も優位に進めることができる。もともと打撃がいいチームと思っているが、昨年の補強で投手力も強化され、攻守ともに高いレベルの相手だ。
 予想通り、試合は投手戦になった。初回にうちが1点を先制するも、その後は要所を押さえられゼロ行進。一方、こちらの先発・坂原投手も安定感ある投球で、相手を1点に抑えている。ちなみに坂原さんには、いつも野球の基礎からいろいろ教えてもらい、そのおかげで僕の実力は少しずつアップしてきた。何とかピッチングを盛り立てたい。
 しゃぁしいずは先発和田からエース砂川へスイッチ。Crazy9もエース坂原から、ダブルエース尾崎に万全の継投。試合は最終回まで1-1のまま。この試合、Crazy9は先攻。つまり7回表に無得点だと、この試合の勝ちがなくなってしまうのだ。しかし既に二死無走者。あと一人で、まずい展開だ。
 ここで打席に入ったのは、1番バッターの怪童・尾崎。そう、尾崎選手が投手の場合、ピッチャーが1番を打つことになるのだ。普通の野球ではほとんど例がない(投手は走塁の負担を減らすため、下位もしくはクリーンアップなどが多いもの)。ドカベンの岩鬼(投手時)クラスの劇画的な夢の打順なわけだ。そんな打順を組む、吉高監督の采配ぶりに僕はいつも感心している。適材適所を考え、なおかつセオリーとはひと味違う、独特の趣きある野球観の持ち主なのだ。
 そして監督の慧眼がここでスバリ当たることに。尾崎選手はチーム一の選球眼の持ち主であるとともに、最も体格がよい。出塁率の高さと長打力を兼ね備えた男なのだ。彼のバットが速球を一閃すると、打球は左中間を大きく破る大飛球。巨体を揺らし、尾崎が走る! 走る、走る!! 彼は一気にダイヤモンドを一周し、ホームへ豪快に滑り込む……セーフ!!! まさかまさかの最終回二死からの勝ち越しランニングホームラン!!!! まるでサヨナラ勝ちを収めたかのようにベンチから全選手が飛び出す。みんな尾崎君に飛びつく。彼に比べて身体も大きくない僕は、まるで子供が「お父さ~ん!」と叫びながら抱きつくような構図になっていたのではないだろうか。
 引き分けも覚悟した展開から、奇跡的な勝ち越し。この日はワンマンショーの尾崎。7回裏を今度はピッチングで締め、チームに貴重な勝利をもたらした。

 そうそう、自分のことを書き忘れていた。この日の僕は9番セカンドで先発出場。打撃では2打席目に粘ったもののヒットは出ず。守りでは全ての守備機会を無難にこなす。成績としては特筆することはないが、この日の緊張感は今年の試合の中で最高だったと思う。そして、それは心地好い疲労感へと姿を変えた。

 最高の勝利のあとに、さらに素晴らしい時間が待っていた。
 この日の夜はチーム恒例の飲み会。毎年、シーズンの真ん中あたり(プロ野球でいえばオールスター期間?)に1回、納会も兼ねて年末に1回、催される。選手十数名に、初代マネージャーも合流してくれて、そして名監督・吉高ネットワークの力により、どういうわけか女の子も十人以上参加。総勢30名近くの大盛り上がりで、楽しいひとときをすごすことができましたとさ。

 めでたし、めでたし……。