皆様、ご無事でしょうか?


時間の経過とともに、現実とは容易に認識できないような


甚大な被害の様子が次々に明らかになっています



私は阪神淡路大震災で被災しましたが、


今回は帰宅困難者としてサバイバルを経験しました。


何かのお役に立てれば・・・と体験を記すことにしました。




レッスンの帰り、表参道駅の地下ホームで大きな揺れを感じました。


長い階段をなんとか登り切り外界に脱出。ほっとしたのも束の間、


長い横揺れ。船の甲板にいるようでした。



家族との連絡もつかぬまま、ワンセグの情報を頼りにメトロ復旧を願い、


余震で倒壊する恐れの少ない場所で、茫然としながら、しばらく待機していました。


メトロ、私鉄とも終日復旧見込みなし!


タクシー、バスとの幸運な遭遇、私鉄早期復旧のわずかな望みを胸に


線路に沿った幹線道路を自宅に向かって歩き出す事にしました。



古傷の膝と腰の調子が悪かったため、たまたま今日はスニーカー。


私はなんてラッキー!自らを奮い立たせ、


初めての道を、何度も人に尋ねながら進みました。




空はだんだん暗くなり、風も冷たい・・・。


(今度、道沿いにカフェを見つけたら、カフェオレで温まろう・・・。)


いざ見つかると、


(もうちょっと先まで頑張ろう・・・。)


と、おあずけを繰り返しながら3時間歩き、念願のカフェタイム。


この先、トイレに困るのも嫌だったので、一杯で我慢。




その後、2時間半歩き、寒さで指先と顔面の感覚が麻痺してきたので、


和食屋さんで温かい雑炊とお味噌汁!


食べ終わる頃になっても、かじかんだ指先は元には戻らず、


お箸がうまく使えない程、冷え切っていました。



タクシーは尽く満車。いつ来るかわからないバス停には乗り切れない程の列。


疲れて道端にへたり込む若いスーツ姿、杖を突きながらとぼとぼ歩くお婆さん、


ベビーバギーを懸命に押し進むお母さん・・・。


どこまで歩いて行けるのだろう?


その横をタクシーに乗れたラッキーマンが一人一台で悠々と過ぎて行きます。


人生の縮図だ・・・。


そういう私も自分の事で精一杯。どなたかを助けたり、励ます余裕もなく、


黙々と歩き続けました。



岐路では、沢山の方々に道を教えて頂きました。


派出所のベテラン警官はさすがに的確。


若い私鉄女性職員、自転車通勤のビジネスマン、ビルの警備員・・・、


煌々と明かりを灯し、道案内をかってでたかのような八百屋のおばさん。


見ず知らずの私に親身になって、最良と思われるコースを示して下さいました。


身も心も凍りつきそうだった私が、どれだけ救われた事か!


非常時こそ、その人間の本質が如実に現れるものですね・・・。


皆さん、どうもありがとうございました。



結局、7時間かけて、およそ14駅間を歩き、22時過ぎに無事帰宅しました。


こんなに、自分が歩けるとは思いませんでした・・・。



サバイバルの教訓


・携帯、ワンセグは貴重な情報源。


 (電池の消耗を考え、ご使用は計画的に)


・履物は重要。職場にはスニーカーを常備できる方は是非!


 (余震の恐れのあるこの一か月間、私はスニーカーしか履かないでしょう)


・自転車を手に入れる。

 

 (自転車店前で、迷ったあげく買いませんでした。決断すべきでした。)


・線路沿いの幹線道路を歩く。


 (道を知らなくても迷わない。バス、タクシーとの遭遇の可能性も残せる。)


・宿泊できる施設等があれば無理に帰らず泊まる。


 (女性一人で安心できそうなホテルは今回は見当たりませんでした。)


・防寒必須!


 (手袋、マフラーしていても堪えました。コンビニで軍手、タオルを購入し代用できそう。)


 (大きなゴミ袋に頭だけ出せる穴を開けポンチョに。雨具にも可。)


 (ついでにガムを購入し噛んで歩くと口呼吸、喉の乾燥が防止できる。)


・身体へのダメージを最小限にする。ボディコンディショニングの観点から・・・


 (荷物は左右交互に持つ。時々肩の上げ下げ、肩甲骨を動かし上体をほぐす。)


 (つま先、膝をまっすぐ前方に出し、踵から着地。左右にブレの少ない歩行フォームで。


  これは普段から心がけないと難しいですね・・。)


・休憩は短時間で軽く。

 

 (長居し過ぎると身も心も緩み過ぎ、歩みが重くなります。


  雑炊は食べ過ぎでした!温かい飲み物とチョコで十分。)



思いつくままに書き綴りました。


こうしている間にも、家族の安否を気遣いながら、極限の避難生活を送っている方々が


いらっしゃいます。


原発の影響も心配です。


被災の復興(経済も生活も心も)までの道のりは、気が遠くなる程、


遠く険しいものと思われます。


逆境時こそ真価が問われ、新しいエネルギーが生まれる。


今後の災害に想定し得るあらゆる備えを進めながら、情報交換し、


節電をはじめ各々ができるところから、


人間の底力を信じて、心を合わせて乗り越えて行きましょう。