BAR.ブログ -9ページ目

さてさて

まぁ、今、このブログで一つの企画をやっています。


いきなり足止め中…


そのまま放置もどうかと思い、とりあえず、何か書いておこうかな、と。



いつだったかな、先週だったかな?あるワークショップに参加しました。

今時珍しく、「座学」でした。


これがとても新鮮で、面白かったんですよ。


で、どういうわけか、そのワークショップに参加されてたほとんどの人が、私が4月に客演した公演を観に来ていただいてたようで、ほとんど私のことを知っているという…


なんとも恥ずかしい感じでした。



で、今日。

そこで知り合った方で、THE TRICKTOPS さんという劇団の主宰さんがおりまして、そこでもワークショップをやっているということでお誘いを受け、行って参りました。


やはり、数人の方が、4月に私を観たと。


もう、どう反応してよいか、分かりませんね。


なんだろう?なんか恥ずかしいですね。


そんな歳でもないんですが…



中々楽しかったですよ。

ゲーム・エチュード中心のもので、どこまで内容を漏らしてよいものか分からないので、これくらいにしておきますが、要するに、楽しかったってことですよ。


また行こうっと。



私たちもワークショップを行っています。


座学1、エチュード1、台本8みたいな感じで。


参加してくれた人達に、「また来たい!」と言われるように、そこそこ頑張ってます。


次は26日の土曜日。

その日用の台本も、もう書きました。


うわぁ~、この台本、みんな楽しんでくれるかなぁ~


毎回、台本渡す度に、ドキドキ…


れっつら、ごー



林 里容でした。



ハプニングだらけ

今晩は。

深夜3時半を過ぎ、頭がぼーっとしてます、どうも僕です。


このブログで、何か企画物をやろうということになり、先ず手始めに、テーマを決めて何か書こうじゃないかということになりました。 


何を書くか。

まぁ、詩だったり、小説だったり、俳句だったり、短歌だったり。


なんでもいいわけですよ、表現の世界なら。


で、一発目のテーマは、「月火水木金土日」。


これらの一文字を、順番にテーマとしていく。


トップバッターは、私でした。


最初の「月」をテーマに、ちょっとした小説を書いてみました。

「月」だからと言って、タイトルが「月」じゃないといけないわけではないのです。


「月」という文字が入っていればいいのです。


なんというユルさ。


しかし、これが初めての小説です。


はい、処女作です。


所詮、素人の書いた小説です。

ごちゃごちゃ言わずに、暖かく読んであげてください。

そして優しい、甘やかすような声を掛けてあげてください。


いろいろ大変でした。


途中まで書いたものが、誤って消去されてしまったり。


なぜか、このアメブロのページだけがフリーズし、全然保存もアップも出来なかったり。


仕方ないから、一度前のページに戻ってから、再び戻ると、また消えていたり…



もうひっちゃかめっちゃかで、全てを捨てて旅に出ようかと思いました。


しかし、頑張ったかいあって、なんとか処女作をアップすることが出来ました。


旅に出なくて良かったです。


まぁ、そんな感じで書き上げたので、ひょっとしたら誤字脱字があるかもしれません。

えぇ、見直してませんから…


だって、もう4時近いんだもん。


ま、これで一安心です。


次は照屋君の番。

次のテーマは「火」。


さぁ、一体どんな表現をしてくれるのか。


お楽しみに。


私は、10月公演の台本と、今月のワークショップ用の台本に取りかかろうと思います。


では、また「木」でお会いしましょう。



林 里容



その1「月」 『香月~かげつ~』

 香月とはいつも一緒に遊んでいた。

 男とも、女ともとれるその風貌は、幼い僕ですら時折見入ってしまうほどだった。

 遊ぶ場所はいつも、僕の家の僕の部屋で、僕の持ってる玩具で遊んでいて、香月は親から玩具を買ってもらえないのか、全ての物を珍しそうに、そして一つ一つを大事に扱っていた。

 一度だけ香月に、何か玩具を持ってないのか聞いたことがある。その時香月は笑いながら「持ってないよ。」と答えた。

「ここにある物は、全てが初めてだ。」

 香月はそう言って、とても楽しそうに僕の玩具で遊んだ。そして僕にこれはどうやって遊ぶものかと、よく聞いてきた。その時の香月の顔が、本当に楽しそうで、僕は一つ一つ丁寧に教えてあげた。

 丸い満月のような輝きを持つその大きな眼を、更に大きく見開いて、うんうんと顔を大きく上下に動かしながら、今にも食いつきそうな勢いで僕の説明を聞いてくれた。

 小学校に上がってからも、香月とは一緒に遊んでいた。だが、今思うと、香月が教室にいた記憶が全くない。実は身体が弱くて、ずっと保健室で授業を受けていたのか。実は周りからいじめられていて、どこか別の教室で特別に授業を受けていたのか。とにかく、香月と一緒に教室で過ごした記憶は無いのだ。

 しかし、家に帰ると必ず香月がいて、僕の部屋で一緒に遊んでいた。

 やがて僕にも香月以外の友達ができ、その友達と遊ぶことも頻繁になってきた。すると香月は、今度は学校の門を出た、すぐのところで僕のことを待っていた。

「帰って正太のお部屋で遊ぼう。」

「ごめん、今日は成瀬君たちとサッカーする約束してるんだ。」

 そう応えると香月は、じゃあ仕方ないね、少し微笑んで去って行った。その時微笑んだ顔は、寂しそうにもみえたけど、当時の僕はそんなこと気にもせずに、白い六角形と黒い五角形を規則的に縫いこんだ、当時の僕たちの頭の大きさとさほど変わらない球体を、泥まみれになりながら、必死に追いかけていた。

 それからも香月は、毎日僕のことを、学校の門の外で待っていた。

「正太、一緒に遊ぼう。」

「今日は、ニノ君の家で、皆でゲームをするんだ。」

「ゲームなら、正太の家にもあるよ。」

「ニノ君の家には、うちには無いゲームがあるんだよ。」

「うちに無いゲームって。」

「とにかく、今日はニノ君の家に行くから遊べない。」

 僕はそう言って、香月から逃げるようにその場から去った。

 香月はいつまでたっても、何も知らなかった。クラスの中で流行っている遊び、漫画、ゲーム。それらを知らないことは、小学生にとっては正に致命的だったし、それらを1から説明することは、苦痛以外の何物でもなかった。

 いつしか僕は香月のことを避けるようになり、やがて香月は僕の前に姿を見せなくなった。

 その後、香月とは会うことなく小学校を卒業し、そして更に二十年が過ぎた。





 僕は今、大手の出版社に勤めている。僕の世代の就職活動シーズンは、それは悲惨なものだった。就職率は過去最低を記録し、フリーターや、中には就職浪人という名のニートが大量に溢れ出た。そんな中、こんな大手の出版社に就職できたのは、正に奇跡だったとしか言いようがない。その年にこの会社から内定を受けたのは、僕一人だけだった。なぜ僕だったのか。上司からは、運が良かったんだよという、まるで抽選で選ばれたかのような返事しか返ってこなかった。

 今日もいつも通り、朝9時に出社。1時間ほど内勤を行い、担当作家の元へ。思いのほか打合せに時間がかかってしまい、少し遅めの昼食をとって、二件目。

 僕は児童書の担当で、主に絵本作家を担当している。二件目に伺ったのは、横溝先生といって、この業界ではお局様である。入社当時、上司に連れられて挨拶に行った際、なぜか僕のことを気に入ってくれた。それ以来、僕の担当作家の一人となった。

 先生のお宅に到着すると、アシスタントの方が出迎えてくれ、書斎へと案内してくれた。先生は執筆中だった。

 僕は邪魔にならないように、来客用のソファーに座り、アシスタントの方が運んでくれたお茶を、音を立てないよう、静かにすすっていた。

「ごめんなさいね、いつもぎりぎりになってしまって。」

 突然の先生の言葉に、危うく口に含んだばかりのお茶を、吐き出しそうになった。

「いえ、気にせずに進めてください。焦って良くない作品が出来るよりは、遅くなっても素晴らしい作品が生まれる方が、読者は喜びますから。」

「あなたの娘さんのように。」

 僕には、今年四歳になる娘がいる。娘は横溝先生の絵本が大好きなのだ。僕は静かに、はいと答え、またお茶をすすった。

 先生が筆を置き、出来上がった作品を僕に手渡してくれたのは、それから約2時間が経ってからだった。僕はアシスタントの方が気を使って出してくれた、2杯目のお茶を飲み終わったところだった。

「すっかりお待たせしてしまったわね。」

「いいえ、大丈夫です。」

 僕は先生の手から受け取った、出来立てほやほやの作品に目を通した。

「どうかしら。」

「素敵な作品ですね。きっと子供たちも、そしてこれを子供たちに読んであげる親御さんたちも、引き込まれると思います。」

「ありがとう。」

「それでは、確かにお預かりしました。」

「よかったら、ご一緒にお食事でもいかが。」

「ありがとうございます。しかしせっかくですが、今日はこの後、小学校の同窓会がありまして。」

 すいませんと頭を下げ玄関に向かうと、後ろから先生に呼び止められた。振り返ると、先生が一冊の絵本を持ってきた。

「これ娘さんに。相当昔のものだから、気に入っていただけるか分からないけど。」

 丁重にお礼を言い、そのまま会社に向かった。そして編集長に横溝先生の新作を渡し、会社を出た。

 大通りに出てタクシーを拾い、同窓会の会場へと向かうタクシーの中で、先生から頂いた絵本を開いた。

 それは座敷わらしの話だった。その座敷わらしは、満月の夜にだけ主人公の男の子の前に現れる。そして男の子と友情を育んでいくのだが、やがてその男の子も大人へと成長し、座敷わらしの姿が見えなくなって、忘れていく。しかし座敷わらしは、大人になった主人公の側に実はずっといて、幸せに導いていくというお話だった。

 僕は静かに本を閉じ、傷つけないよう大事に鞄の中にしまった。そしてゆっくり目を閉じ、旧友たちとの再会を心待ちにした。

 

 ―香月―


 ふとその名前が、頭の中を過った。

 もう二十年以上も、記憶から消えていた名前だ。そして徐々に当時の記憶が蘇る。やがてその記憶は鮮明な映像と化した。

 罪悪感が生まれた。香月に会いたい、会って謝りたい。そしてまた一緒に―

 僕は運転手に急ぐように頼んだ。今日のこの同窓会が、その最後のチャンスなのだ。僕の心臓の鼓動は、いつになく高鳴っていった。



 会場に着くと、どうやら僕が最後だったらしい。皆乾杯用のグラスを目の前に、僕の到着を今か今かと待っていた。時間を気にしていなかったわけではないのだが、横溝先生のお宅で予想以上に時間を取ってしまっていたようだ。

 当時の担任だった先生の乾杯の挨拶が済み、僕の元に来たのは少し小太りの、頭こそ薄くはなってないものの、典型的な日本人と言われそうな感じの男だった。

「正太だろ。久しぶりだな。」

「成瀬か。」

「そんなに驚くことないだろ。」

 驚かないわけがないだろ。当時サッカー大好き人間とは、到底思えない風貌なのだ。成瀬には悪いが、年を重ねるということの重みを、改めて知った気がする。

「よう。」

 ふらっと僕たちの前に現れたのは、ニノこと二宮だった。細身の長身で、照明に反射するような光沢のあるスーツ、今時のシャレた眼鏡、いかにもイタリア製を思わせるような革靴。彼曰く、ゲーム好きが高じて、その道をひたすら突き進み、今やゲーム開発の重要なポストを与えられているらしい。

「正太は、今何やってんの。」

 僕は、運の良さで出版社に勤めていることを伝えた。

「おまえらは、運と努力であの就職氷河期を乗り越えたんだな。」

 成瀬がぼそりと呟いた。成瀬はあの就職氷河期を超えられず、二年の就職浪人を経て、やっとの思いで小さな健康器具を扱う会社で、営業職を見つけたらしい。

「ところで、香月は来てないのか。」

 僕は本題に入った。当時、男とも女とも見える顔立ちだった香月、恐らく今はそれはそれは美少年、いや、美青年になっているだろうと思っている。しかし成瀬を見た後だ、あまり期待をしてしまうと、それを裏切られた時のショックは、それはとても言葉では表現できないものだろう。そう思いながらも、やはり過去の蘇った記憶を頼りに、美しい顔立ちの人間を探してしまう。


 青年―


 香月は男だったのか。確かに仲良かったし、いつも一緒にいた。当時の子供は、男の子は男の子と、女の子は女の子と遊ぶというのが、常識であり、暗黙のうちに決められていたことだった。

 だからか、僕は香月のことを、心のどこかでずっと男だと思っていたことに気付いた。だが、今思うと本当に男だったのかどうか、はっきりとした確信が持てないでいた。


「香月、そんな奴いたっけ。」

 ニノが意外な答えを言った。

「いや、覚えてないな。」

 成瀬がそれに続く。

「聞いたことない名前だな。中学か高校の同級生じゃないのか。」

 ニノはそう言うが、そんなはずはない。僕は小学校に上がる前から、香月と遊んでいたのだ。しかしここで一つの考えが浮かんだ。香月とは学校の中では一度も会ったことがない。ひょっとしたら香月は、別の学校に通っていたのではないだろうか。

 そう思ってしまうと、なんだか急に気が抜けてしまった。もう香月とは会えないのだ。

 気のせいだったと二人に告げ、昔話に花を咲かせた。




 帰りのタクシーの中で、僕はぐったりしていた。同窓会という集まりは、なんとも言えない疲れが、終わってから押し寄せてくる。

 結婚できない人、頭が薄くなってしまった人、太ってしまった人、恋した相手の大幅な変わりよう、僕たちの時代の就職氷河期を乗り越えられなかった人。それらの人達への、妙な気遣い。当時のままならいくらでも、なんでも言えたかもしれないが、さすがに二十年も経ってしまうと、そうもいかない。

 そんな中ニノは、出世街道を進んでいたし、見た目も華やかでオシャレだったせいか、いろんな人達から声をかけられていた。ニノはそれをうっとうしく思っていたらしく、結局最後には僕と成瀬の元へと戻ってきた。そして二人と連絡先を交換して、次は三人だけで会うことを約束して別れた。

「おかえり。思ったより早かったわね。」

 僕の帰りを迎えてくれたのは、二つ下の妻、明日香だ。明日香とは会社で知り合った。僕の二年下の後輩で、そのさばさばした性格のせいで、割とすぐに仲良くなり、気がつくと恋人と呼ばれる関係になっていた。そして五年前に結婚した。結婚してからは、明日香は専業主婦をしてくれている。

「穂ノ香は。」

「部屋で多分絵本読んでる。」

「まだ起きてるのか。」

「誰に似たのかしらね。」

 いたずらに明日香が言う。僕はそんな明日香の言葉を聞き流し、鞄から横溝先生から貰った絵本を取り出し、子供部屋に向かって歩いた。

「何、それ。」

「横溝先生が、穂ノ香にってくれたんだ。」

「じゃあ今度、何かお礼しなきゃね。」

 子供部屋の扉を二回、軽くノックする。もう0時前だ、四歳の子供ならとっくに寝ててもおかしくない時間だ。だがそんな考えとは裏腹に、元気な声でどうぞと言う声が聞こえた。

「ただいま。」

「おかえりなさい。」

「まだ起きてたのか。」

「絵本読んでたの。」

 子供部屋の中は、いつもいい匂いがする。明日香が何かしているのか、部屋が日光を取り込みやすい位置にあるせいなのか。まるで身体全体を優しく包み込んでくれるような、全てを受け入れてくれるような、なんとも言えない落ち着きがあった。

 穂ノ香は床に寝そべって、両腕で上半身だけを起こした状態で、その腕の側には一冊の絵本があった。両親の血をしっかりと受け継いだようで、我が娘は大の絵本好きだ。

「お土産だよ。」

 僕はそう言って、横溝先生から貰った絵本を穂ノ香に渡してあげた。穂ノ香は僕の予想を上回る喜びを見せた。そして早速先生から貰った絵本を床に置いて、最初のページをめくった。それを見て、僕は子供部屋を後にしようとした。

「じゃあ次は、穂ノ香が香月に絵本読んであげるね。」

 僕は立ち止り、瞬間的に穂ノ香の方を見た。そこには確かに、穂ノ香しかいない。そして穂ノ香は声を出して絵本を読んでいる。誰かに読み聞かせるように。


「香月って、月の香って書くんだ。」

「月の香。」

「うん。月の匂い。」

「月に匂いってあるの。」

「月は優しい匂いがするんだよ。」

「優しい匂いって。」

「例えば正太が落ち込んでいる時や、哀しい気持ちになってる時、そういうのを忘れさせてくれる匂いだよ。そしたら正太は、元気になれるんだ。」

「元気に。」

「うん、元気になると、前向きになれる。」

「前向き。」

「強くなるってことだよ。」

「じゃあ僕は、香月と一緒にいると強くなれるんだね。」

「うん、だからずっと正太の近くにいるよ。」


 目の前で、穂ノ香が絵本を読んでいる。部屋の窓から黄金色に輝く満月が見える。

「早く寝るんだよ。」

 僕はそう言って子供部屋を出て、扉をそっと静かに閉めた。

 閉まる直前に中から、穂ノ香の元気な返事と一緒に、聞き覚えのある懐かしい声が僕の耳に届いた。




おわり





BAR.企画ブログその1「月」

『香月~かげつ~』


著・林 里容