思い知らされた。
眼中に無いんだ。
彼女の瞳に俺は映っていない。

当然だと言えばそれまでだ。
彼女にしてみれば俺は子どもなんだ。
心も年齢もその他の全ても。
日に一度会話があるかないかの俺なんて、
好き嫌いの対象として見ることさえ馬鹿げてる。

諦めることが出来ればどれほどに楽だろう。
嫌うことが出来ればこの苦しみからは逃げられる。

でも、俺は、
彼女が笑いかけてくれる度、また明日に期待してしまう。

正直、彼女の第一印象は「おばさん」だった。
たった6歳しか違わないのに随分失礼な話。

死んでも彼女には聞かせられない。

今でも「好みか?」と聞かれれば「No」だ。

だけど。
今、たまらなく彼女を抱きたい。

彼女が誰にも見せない表情を見てみたい。

彼女の中に入りたい。

彼女の全てに触れたい。

彼女を一瞬でいいから独占したい。

僕の一番醜い部分を受け入れて欲しい。

そして、出来るなら彼女との子どもが欲しい。

彼女を知るたび、惹かれていく。

今日は昨日まで知らなかった魅力を見つけ、明日には明日気付く魅力がある。

深く、深く嵌っていく。

もっと近くに居たい。

触れることが出来るほど近く。
でも、彼女は保育対象の母親だ。
誰も許すわけがない。

人を好きになることにこんなに覚悟が必要だなんて誰も教えてくれなかった。

彼女の一生を請け負う覚悟。
彼女の息子の父親になる覚悟。
道義に背く覚悟。
決して引かない覚悟。
一生、彼女一人を想い続ける覚悟。

どれほどに強くなればその全てを背負えるのだろうか?
口約束で誓うことは容易いけど、「頑張ったけどダメでした」は通じない。
ベット台にのってるのは三人分の人生だから。
いつでもやじろべえのようにふらつき、確かなものなんて何一つ無い未来に『絶対』なんて誓う勇気は無い。
1%でも彼女に悲しい顔をさせるくらいなら、初めからなにもしない方がいい。なんて考える僕はやっぱり臆病なんだろう。

強くなりたい。
せめて自分くらい信じれるぐらい。