「放棄地の復活」-2(田んぼの生態系)
 
千葉県千葉市の谷津田と呼ばれる田んぼにやってきました。
谷津とは大地に形成された細長い谷で、大地に降った雨があちこちで湧水となって流れだし、
湿地となっているところです。
谷津は2000年も前から田んぼとして利用されてきました。ここで生き物たちを観察してみます。
 
「ここは川からメダカなどが自由に出入りできるところです。
  普通メダカなどは、冬の間は深いところで過ごし、
  温かくなると田んぼなどに入ってきては卵を産みます。
  田んぼの中には生き物がたくさんいて、メダカなどのエサがたくさんいるから、
  それを食べて大きくなって親になり、また卵を産みます。この田んぼの水温かいね~、
  こっちの川はどうだろう。」
「あ、冷たい。」
「冷たいでしょ~、こんなに違うんだよ。では何で違うんだろう。
  日が当たって水が同じ場所にじっとしているからだね。そうするといろんな生き物が出てくるんだよ。
  だから田んぼには小さな生き物がたくさんいて、そこで人々はお米を作っていたんだね。
  だから田んぼはお米を作るだけではなく、たくさんの生き物も同時に作っていたんだよ。」
 
田んぼの水を顕微鏡でのぞいてみると、肉眼では見えなかった多種多様な生き物が
活動しているのが分かります。これらの微生物は、メダカやタニシ、水生昆虫たちの大事な食料になります。
田んぼの生態系の一番下を支える存在です。
メダカはヤゴやザリガニのエサになり、ヤゴやザリガニはサギや水鳥のエサになり、
小さな水鳥は、タカなどの大型の鳥たちのエサになり、田んぼの生き物たちは、食べたり食べられたり、
食物連鎖によってつながり生態系を形作っています。
 
「つまり結局は水があるんです。水辺には生き物がいて、最初のところではプランクトンが湧きます。
  この小さなエサにメダカなどの小魚が繁殖し、それをもっと大きな生き物が来て、
  サギやカワセミもやってきます。そうした生き物に捕食者である猛禽類の仲間である
  ノスリとかサシバやって来るんです。まだまだ豊かな環境が残っているんです。
  生き物を見ると大体そこの環境が分かるんで楽しいですよ。」

 

「放棄地の復活」-1(今も生きるダーウインの理論)
 
3000万種ともいわれる多様な生命が存在する星地球。
多様な生命の中で、環境に適した生命が生き延びるという進化の法則を唱えた
イギリスの自然科学者ダーウイン。有名な種の起源を現したのは、今からおよそ150年前のことです。
当時の社会や思想に大きな影響を与えました。
実験や観察をもとにした自然全体を有機的にとられた彼の主張は、今も輝きを失っていません。
ダーウインの生誕から200年。生物をめぐる科学は著しく発展しましたが、
多様な生き物が互いに関わり合いながら作り合う自然の仕組みを、
私たちはまだ解明したわけではありません。生態系の複雑さと見事さを見つめ直してみましょう。
 
早春の田んぼ、レンゲソウの花が満開です。ミツバチがミツを吸いに来ました。
よく見るとミツバチが止まると花弁が下がり、花の中にももぐり込めるようになりました。
花の形はミツバチのためにあつらえたようです。
 
こちらは夏の終わりころに咲くキツリフネです。マルハナバチが頭を潜らせてミツを吸っています。
これもピッタリの形で、花の後ろの方に少しとがった拒(きょ)というものがあり、ここにミツがあります。
マルハナバチが頭を潜らせるとミツが流れてくるのです。彼らにミツをあげる仕組みです。
花から花へ飛び移りミツを求めるハナバチは、同じ花の花粉を運んでもらうための大事なパートナーです。
ハナバチにミツをあげる代わりに受粉してもらい、タネを作り子孫を残すためのキツリフネの戦略です。
この素晴らしい不思議な仕組みにダーウインも気づいていました。
 
「同じ地域で互いが戦わなければならないものの間では、複雑で想像もつかない抑制作用や相互作用がある。
  アカツメクサを訪れるのはマルハナバチだけで、他のハチはミツのある場所までは届かない。
  そこで次のように推論できる。イギリスでマルハナバチや同じ属のハチが絶滅したり希少種になると、
  野生のパンジーやアカツメクサも非常に少なくなってしまい、姿を消してしまうこともある。」
 
これはダーウインの「種の起源」の一節ですが、このように生き物は深くつながって生きているのです。

 

「白鳥伝説と壮大なドラマ」-5(終)(磁場が渡り鳥とナビ)
 
宇宙から降ってきた鉄分を含んだ隕石をもとに鉄器を作った。
つまり宇宙から落ちてきた隕石こそが古代初期の鉄器の原料であったようです。
ではなぜそこに白鳥伝説がからむのでしょうか。
鉄は磁場を生みだします。白鳥は渡り鳥で遠い距離を渡ります。
その時の渡りのレーダーがどうも磁気らしいのです。日本国中に白鳥が飛来する場所があります。
この飛来ルートを調べると必ずあるものがある。それは鉄鉱山の後とか鉄鉱の採掘が行われているところ。
九州の最先端にツルが飛来するので、金八先生は現地の人にたずねると、
「むかし鉄鉱石の取れる山がありました」と答えたそうです。鳥は磁気をたよりに渡りを行うのでしょうか。
 
この話はもっと壮大になります。ヒッタイトの人たちは大きな隕鉄が落ちたところを火でぐるっと囲み、
傾斜を作って隕鉄を溶かします。その幾筋もの鉄の流れをくみ、棒状にして運んだのでしょう。
火を何日間も燃やし続け、幾筋にも流れ降りた。夜になると火の川が山の斜面を這います。
それはまさしくヤマタノオロチ伝説です。
スサノウノミコトがオロチをやっつけたとき、ヘビの尻尾を切ったら草薙剣が出てきて、
天皇家を指し示す三種の神器の一つになりました。つまり、製鉄業の手法をスサノウが獲得した。
そのことを暗に表したいがために神話に残したのではないかと宗像教授は言います。
 
「どんどんリンクしていくのが面白いですね~」
 
仮説ですから専門家が加わったら話は切れてしまうかもしれないけれど、
この星野さんの勉強の仕方がものすごいです。
白鳥伝説、鉄器伝説、星伝説、それらを一つに結ぶ。最初、鉄鉱石を採掘する能力がないから隕鉄。
ヒッタイトが出てきて宇宙から地面に落ちてきた鉄の塊を溶かす。
補足ですが、鉄鉱石、砂鉄は、磁気を帯びるんですが、
日本の砂鉄は、磁鉄鉱といって磁性が凄く強いそうです。
この磁気に関して渡り鳥がナビとして利用していることは分かっているんです。
仮説なんですが、こういう動物学的なことを組み合わせるわけでから、
宗像教授の説が正しいような気がしてきます。本当に面白くてたまらない。
 
「白鳥伝説と壮大なドラマ」は、このようなものです。金八先生の話を聞いていて、
ドキドキワクワクでした。この「宗像教授伝奇考」を随時追ってみることにいたします。
 
(おわり)