「白鳥伝説と壮大なドラマ」-5(終)(磁場が渡り鳥とナビ)
 
宇宙から降ってきた鉄分を含んだ隕石をもとに鉄器を作った。
つまり宇宙から落ちてきた隕石こそが古代初期の鉄器の原料であったようです。
ではなぜそこに白鳥伝説がからむのでしょうか。
鉄は磁場を生みだします。白鳥は渡り鳥で遠い距離を渡ります。
その時の渡りのレーダーがどうも磁気らしいのです。日本国中に白鳥が飛来する場所があります。
この飛来ルートを調べると必ずあるものがある。それは鉄鉱山の後とか鉄鉱の採掘が行われているところ。
九州の最先端にツルが飛来するので、金八先生は現地の人にたずねると、
「むかし鉄鉱石の取れる山がありました」と答えたそうです。鳥は磁気をたよりに渡りを行うのでしょうか。
 
この話はもっと壮大になります。ヒッタイトの人たちは大きな隕鉄が落ちたところを火でぐるっと囲み、
傾斜を作って隕鉄を溶かします。その幾筋もの鉄の流れをくみ、棒状にして運んだのでしょう。
火を何日間も燃やし続け、幾筋にも流れ降りた。夜になると火の川が山の斜面を這います。
それはまさしくヤマタノオロチ伝説です。
スサノウノミコトがオロチをやっつけたとき、ヘビの尻尾を切ったら草薙剣が出てきて、
天皇家を指し示す三種の神器の一つになりました。つまり、製鉄業の手法をスサノウが獲得した。
そのことを暗に表したいがために神話に残したのではないかと宗像教授は言います。
 
「どんどんリンクしていくのが面白いですね~」
 
仮説ですから専門家が加わったら話は切れてしまうかもしれないけれど、
この星野さんの勉強の仕方がものすごいです。
白鳥伝説、鉄器伝説、星伝説、それらを一つに結ぶ。最初、鉄鉱石を採掘する能力がないから隕鉄。
ヒッタイトが出てきて宇宙から地面に落ちてきた鉄の塊を溶かす。
補足ですが、鉄鉱石、砂鉄は、磁気を帯びるんですが、
日本の砂鉄は、磁鉄鉱といって磁性が凄く強いそうです。
この磁気に関して渡り鳥がナビとして利用していることは分かっているんです。
仮説なんですが、こういう動物学的なことを組み合わせるわけでから、
宗像教授の説が正しいような気がしてきます。本当に面白くてたまらない。
 
「白鳥伝説と壮大なドラマ」は、このようなものです。金八先生の話を聞いていて、
ドキドキワクワクでした。この「宗像教授伝奇考」を随時追ってみることにいたします。
 
(おわり)