「白鳥伝説と壮大なドラマ」-4(ヤマトタケルと羽衣伝説)
 
宗像教授は干上がった沼を歩きながら、また次の仮説を打ち出します。
白鳥と剣の関係で思い出すことはありませんか?。ヤマトタケルです。
記紀神話におけるヤマトタケルは、西のクマソやイズモ、東のエニシを平定したとする英雄です。
ヤマトに戻りますが政略に敗れます。政略に敗れたヤマトタケルは何に化身したか?。
そうです、白鳥になって昇天します。そしてヤマトタケルが敵をやっつけてきたところには、
ことごとく羽衣伝説があるんです。なぜ征服ルートと重なるのか。
なぜヤマトタケルは、ヤマトの代表としてクマソとかイズモとかエニシを滅ぼしに行ったのでしょうか。
おそらくそれは鉄がとれたからではないか。
それをつなぎ合わせ、征服伝説、羽衣伝説をたどっていくと鉄鉱石、砂鉄の産地とぴたりと重なるのです。
しかも、この出雲地方に関しては、何回も征服しています。
ヤマトタケルの前にはスサノウノミコトがヤマタノオロチというヘビを退治しました。
そして尻尾から出てきたのが草薙剣です。鉄という求めるものを奪いに行ったのが征服ルートではないか。
それは鉄剣、鉄でできた剣。宗像教授はじっと考えます。そして劇画の中で白鳥沼の乾いた土地に、
さびた石を見つけます。その石を分析すると鉄の塊である隕鉄だったのです。
それは隕石となって地球に降り注ぎました。その一つが島根県の白鳥沼に降ってきた。
鉄の成分を大量に残した流星の跡だというのです。
 
ヒッタイト帝国は、それまで青銅器しか作れなかった時代に、高度な製鉄技術を開発します。
つまり鉄の文明を起こしたのですが、最初に作った鉄器は紀元前2300年に作りましたが、
それを分析すると隕鉄でできていたそうです。
鉄鉱石を掘る能力がなかったから隕石を運んできて、それを溶かして鉄を取り出しました。
中国で発見された紀元前13世紀のマサカリも隕鉄からできていたそうです。

 

「白鳥伝説と壮大なドラマ」-3(7人の美しい姉妹)
 
宗像教授は、女学生の案内で島根県へやってきました。
島根県は伝説の県で、斐伊川はヤマタノオロチがのたうち回っているうちに川となったという川です。
その川の上流に多々良村という不思議な地名の村があります。
タタラは古くから砂鉄による製鉄が行われていたところです。
 
宗像教授は夜空を仰ぎながらスバルを見つめます。現在のスバルは6連星で6つ星ですが、
宗像教授の仮説ですが、むかしは7つ星ではなかったのかと想像します。
現に中国の古代の記述のスバル星団(昴宿)は7つ星、またアッシリア帝国が刻んだ粘土板にも、
スバル星団は7つ星と刻まれているのです。しかし、現在は6つ星しか見えません。
 
そこで宗像教授は、何で7つあった星が6つになったのかを考えているうちに、
それによく似た話を思い出します。
 
むかしプレアデスという星に美しい7人の姉妹がいましたが、ある日狩人オリオンと猟犬に追われます。
6人は鳥になって逃げるんですが、1人はオリオンに恋をして結ばれてしまったというのです。
ギリシャ神話にも羽衣伝説とまったく似た話があり、
宗像教授は、7人のうち1人が逃げられなかったのは、本当の天体現象ではなかったのかという
仮説を立てます。この物語はマンガなんですがものすごくこっているんです。
 
宗像教授は、古代人が見たままの7つあったスバルの星団は、ある日突然に6つになっていた。
それを世界中の人が目撃した。6つになったその時、すい星が地球に衝突したのではないか。
それを古代人たちはあの星が落ちてきたのではないかと…。すい星が激突する大事件。
それは地球上にたくさんの星がばらまかれた。
そしてその星の1つが落ちてきたのだというのが白鳥伝説となった。
白鳥が7羽舞い降りてきて、1つだけ天に戻れなかった。そうした説話になって世界中に広がった。
宗像教授は、そう説くのです。
 
島根県には今は干上がってはいるけど、むかしは白鳥がやってきた沼でした。
そこで古代消えてしまった星をめぐる宗像教授の推理は、さらに古代への旅となって続きます。

 

「白鳥伝説と壮大なドラマ」-2(世界共通の白鳥伝説)
 
第一巻第一話「白き翼、黒鉄の星」があります。宗像教授は仮説と前置きして物語は進んでいきます。
宗像教授の着目点が凄い。白鳥処女説話、白鳥処女伝説とというのは、
世界中どこも白鳥伝説というのは決まっています。
 
白鳥の湖もそう、白鳥が湖に舞い降りる物語は、大概7羽と決まっています。
そして湖に降りた白鳥は、美しい乙女になり、そして裸になって水浴びをします。
それは世界どこでも一緒です。そのとき必ず薄衣を脱いで木の枝にかけます。
それを狩人とか漁師が必ず裸をじっと見入っている。
そしてその薄衣を奪ったり、白鳥になる前の乙女をさらって妊娠させてしまう。
この話は世界中どこでも同じなんです。
 
この白鳥処女伝説がどこから来たのかというと、原形は中央アジアにあり、北欧圏、ロシア、
東西アジア、アメリカ、太平洋の島々まで全部同じ話が広がっています。
なぜこんな似た話が、交通機関もなかった遠い昔に世界中にばらまかれたかというのが、
宗像教授が訪ねる謎なんです。
 
宗像教授のもとに伊香真奈さんという女学生が相談に来ます。
偶然自宅の裏庭から珍しい鉄剣を見つ、それを鑑定してもらえないかと宗像教授にお願いします。
宗像教授はそれを見るなり奇怪な剣であることを知ります。
両刃の古代剣で、ヤマトタケルが持っているような剣です。
宗像教授は剣をじっと見ていて不思議なことに気付きます。
その剣の片面には7つ星が刻まれています。そして裏返すと6つ星が刻まれている。
6つ星というのは、中国ではプレアデス星団を指す言葉、昴宿と昔呼んでいたようですが、
スバル(昴)のことです。この6つ星が刻まれていました。
宗像教授も見たことがないという変わった形をしています。
そして、宗像は伊香真奈という女学生にたずねます。
「あなたの故郷に羽衣伝説はないか、あるいは白鳥伝説はありませんか」と。
その女学生は恐る恐る言います。「今は干上がっていますが、白鳥沼というのがあります」と。