「住吉大社と三星」-1(海の3神)
 
「白鳥伝説と壮大なドラマ」に引き続き、今回も金八先生の星野之宣著「宗像教授伝奇考」に関するお話、
「住吉大社と三星」です。
 
大阪に住吉大社というのがありますが、こちらの神社には3人の神様が祀られています。
主祭神は底筒男命(ソコツツノウ)、中筒男命(ナカツツノウ)、表筒男命(ウワツツノウ)、
そして神功皇后(ジングウコウゴウ)が祀られています。
底筒男命、中筒男命、表筒男命はどういう神様かというと、ソコツツノウは海の底に住んでいる神様です。
次のナカツツノウは、海の中間。そしてウワツツノウは海面近くを守る神様です。
すごいのは海を三つに分けてそれぞれ神様がいたと思いつくことです。
古代の人は海を三つに分けてみていたのですね。
 
このソコツツノウは、竜宮城のオトヒメサマのお父さんです。そして浦島太郎はその後ウワツツノウ、
海面の神様になった人です。この方たちは神様の中でも位置づけは上の方で、
イザナギ、イザナミの子供を生みますが、長男ぽく産みます。
この3人の神様の兄弟が、アマテラスオオミカミであり、ツキヨミノミコトであり、スサノウノミコトです。
 
このワタツミの3神、ソコツツノウ、ナカツツノウ、ウワツツノウというのは、神功皇后の物語で出てきます。
神功皇后は朝鮮半島へ戦闘のためにでかくて行き、大勝利を収めた伝説の女性です。
この神功皇后が半島に攻め入ったときに途中で海路が分からなくなってしまいます。
その時に現れたのが、このソコツツノウ、ナカツツノウ、ウワツツノウの住吉3神で、
この船団を半島に導いたのです。
この戦勝のお祝いに建立したのが住吉大社で、海上に現れた3人の海神でした。

 

「放棄地の復活」-7(終)(ボランティアの力)
 
千葉の谷津田を支えているのもNPOを中心としたボランティアの力です。
主に週末に集まり、農作業や自然観察をみんなで楽しんでいます。
 
「ここは私がほれ込んだところなんですけど、ここには湧水がたくさんあっていいなと思ったら、
  開発計画があるということを聞きました。
  開発反対ではなく開発と自然保護を共存させて行けないかと思いまして。
  ここはちょうど調整池を作る予定だったんです。
  そういう予定はあるんですけど、コンクリートで掘り込むのではなく、普段は田んぼにしておいて、
  雨が降ったら水を貯めるとか、そういう使い方ができないかと思っているんです。
  最初田んぼをやるときは結構反対者が多く、田んぼなんかやれないだろうということでした。
  でもやり始めたらみんなはまっちゃって面白いということで…。
  大仰な理念ではなくて、田んぼがやりたいとか、
  自然観察が好きという人たちが来るようになりまして…。」
 
この辺りでは農家の高齢化で放棄される田んぼが増えるばかりだといいます。
 
「ご覧になると草がぼうぼうとしているところが広くて、
  その向こうの田んぼもおじい様が1人でやられていたんです。
  もう2年前からできないからやって欲しいと。
  それで会でお受けして。私たちNPOの都会者には何もできないだろうといわれていた人たちに、
  よかったらやってくれないかといわれるまでになってしまったというのが、実は日本の農業の一面です。
  それが私たちの団体だけかと思っていたら、県内で同じようなことをおっしゃる団体が結構いて、
  うちもそうだって言われるんです。こういう条件の悪い田んぼは、
  生き物にとっては非常にいいんですけど、耕作していく人がいなくなって、
  NPOが将来の担い手になっていくというのが見えてきています。
  将来は関心を持ってくれる人がもっと増えて、もっと広い面積を耕せたらというのが私の夢です。」
 
多様な生き物が暮らしている谷津田は、子供たちが自然と触れ合う貴重な場にもなっています。
 
「食べ物はスーパーに売っていますし、蛇口をひねれば水も出ます。もちろんむかしはそうではなく、
  まさに山の豊かさ、海の豊かさが食卓に乗っていたわけですが、
  それが海外からどんどん輸入されてきて、中々生物の多様性の恩恵というものを実感できない。
  我々の命は自然の恩恵に支えられているんだということを、重要ではないと考えがちですが、
  この命というものは、繋がり合って、お互い支え合っていることを実感しあい、分かち合いたいですね。」
 
さまざまな生命や環境に出会える生態系。私たちの科学技術は、汚れた水をきれいにできても、
絶滅してしまった種を取り戻すことはできません。
生物の多様性を守ることは、私たち自身を守ることでもあるのです。
 
(おわり)

 

「放棄地の復活」-6(里山の復元)
 
失われた里山を復元し、生き物たちを取り戻そうという試みがありました。
埼玉県所沢市に耕されたばかりに見える田んぼがあります。実は長い間放棄されていたところでした。
 
「収穫的にはイネはあまりとれなかったので、放置されたんだと思いますが、
  放置されて40年近くたっているということで、こうして田んぼを作ってイネを植えた景観を、
  そして、水を引くことでいろいろな生き物が戻ってきてくれることを期待しています。」
 
この田んぼの復元プロジェクトを立ち上げたのは、トトロの郷里財団です。
この団体は、10年以上にわたって狭山丘陵の雑木林をナショナルトラスト活動によって守ってきました。
 
「里山というのは、農地と一体化していますので、農業は林から出た落ち葉を肥料に戻すとか、
  農地との関連も追及しています。」
 
ただ田んぼを復元するのではなく、土の中に眠っているむかしの植物の種をよみがえらせるという実験も
行われていました。
 
「昨年この片隅に4畳ほどの田んぼを作って、そこにどのような植物が出てくるか調べました。
  ここを水田に戻した時どんな植物が出てくるか、特に僕らが考えているのは、放棄されて40年、
  その40年ほど前にここに生えていた雑草の種が地下に眠っていて、実験水田としてよみがえらすことで、
  むかしの水田雑草が出てくるかをここで調べました。
  オオアブノメという絶滅危惧種が出てきました。その結果を受けて、この水田を拡張し、
  稲作もやりながら、こういう絶滅危惧種が生える、生育できるような環境を取り戻そうと思っています。」
 
40年の間に固くなった土を掘り返すのに、大人から子供までのボランティア会員が汗を流しました。
 
「大勢の人が寄って、むかしもそうだったけれどみんなが協力して草を刈ったり稲作をやったりして、
  結果としていろいろな生き物が生活していたと思うんです。
  ある特定の人たちがこういう保全をするのではなく、いろんな人が集まって、
  機械を使ってさっとやるのではなく、手作業でこの場所を我々が耕したんだという満足感を得ながら
  やってもらいたいと思っています。」
 
オオアブノメのほかにヤマトクロスジヘビトンボの昆虫や絶滅危惧種のフラスコモも見られました。
カエルの声も聞こえてきました。今年の本格的な稲作に向けて夢が広がります。
 
「植物だけでなく、昆虫やトウキョウサンショウウオなどが戻ってきてくれればいいなと、
  それからホタルも戻ってくれればいいなと思っています。」