映画感想「武士の献立」 | 大TOKYOしみじみ散歩日記

大TOKYOしみじみ散歩日記

お独り様となった50路男の、ぶらぶらノンビリンの東京物語

映画・マンガ・小説・芝居・テレビに動物
そして大切な母ちゃんとの想い出も時おり混ぜ合わせて

書き留めてゆきたいなと、思います

『武士の献立』(2013)



二年前に成功した「武士の家計簿」にあやかり
藩の役職に光を当てた第二弾は
算盤よりもチョイと物騒な(包丁侍)の物語

武張った青年料理番と、腕は確かな奥女中のカップルがぶつかりながら
やがて調理師として夫婦として成長してゆく様をオーソドックスに、それでも大袈裟さや古めかしさを感じさせずに描けたのは
上戸彩と高良健吾の新鮮さと(釣りバカ日誌シリーズ)の後半全ての監督を任されていた、朝原雄三監督の手腕に依る処、大ではないでしょうか
父親を演じた西田敏行の飄々とした味わいも、長らくコンビを組んでいた信頼からかもしれません

ただ、とても残念なのは
物語の時代背景を加賀騒動にしてあるので中盤以降の展開がやや陰気になり、人の出入りも目まぐるしく
全容をナレーションだけで済ませようとした無理が、そのまま映画に残っているという事

高校の時、神保町の古書店で橋本忍さんが村上元三の原作を脚色した「加賀騒動」の載ったキネマ旬報を買い、何度も読み返した事を思い出します
佐伯清監督、大友柳太朗主演「加賀騒動」は昭和28年の作品。未見ですが話は語れるほど読み返しました

以後、本作まで加賀騒動は映画では描かれていませんでしたから
極めて個人的な感情ですが、そんな事もあって気になる「武士の献立」なのです