売れないままいつか都内の施設慰問などで、子どもや老人に一人芝居を見せていた私
そんな私を面白がったある毒舌キャラのタレントが自分の番組の1コーナーに起用してくれ
私が毎回、世間から嫌われる身分の高い人物に扮し威張っているのを、威張られている立場の彼が逆襲に転じるコントを演じさせてもらっていた
ある日ディレクターが(おっちゃん、やったよ!遂に捕まえた♫)と嬉しそうに話しかけて来たので愛想よく訊き返すと
(いかりや長介、捕まえたんだ。出てもイイって…これで大御所漫才を皮肉るコント出来るわぁ)
イヤな汗が背中を伝う
その日、実年齢より更に老けたメイクを施した私といかりや長介さんは同じ楽屋で出番を待っていた
私に一人芝居や施設慰問に対する質問を尋ねてくる彼は大ベテランのコメディアンでありミュージシャンなどという態は少しもなく、頷いたり感心して見せてくれていた
その姿を見るに、今日の収録は気持ちが重かった
すると彼が
「貴方、いけませんよ」
「……えっ?」
「いけません。私が今日の仕事を受けたのは生活の為ではないんですから。勘違いしないように」
「そうですか」
「そうです。いやぁ、こんな僕でもファンレターなんて今でも来ましてね(またテレビで見たいです)なんてね、書いてくれるんですよ」
若いアシスタントが部屋に入ってきた。帽子も取らずに首だけカクカク曲げる様に挨拶し
「時間なんでお願いしま〜す」
ほぼ同時にヨッコイショと掛け声を掛けて立ち上がって顔を見合わせ笑い合い
「じゃ、存分に」私が言うと
「勿論、貴方も彼も容赦なしです」と、いかりやさん
廊下に出ると、彼は私の肩をポンと叩き
「歳をとると同情されます。でもね、同情も人気と一緒です」
私の事を優しい眼で見つめ、廊下を先に歩き出した彼の背中を見つめていて
……目が覚めた
いかりや長介さんを自分がどう見ていたのかが分かる様な夢でした
笑いに飢えているのかもしれません
(^ω^)