映画感想「仁義なき戦い 頂上作戦」 | 大TOKYOしみじみ散歩日記

大TOKYOしみじみ散歩日記

お独り様となった50路男の、ぶらぶらノンビリンの東京物語

映画・マンガ・小説・芝居・テレビに動物
そして大切な母ちゃんとの想い出も時おり混ぜ合わせて

書き留めてゆきたいなと、思います

『仁義なき戦い 頂上作戦』(1974)


東京オリンピックを翌年にひかえた昭和38年、広島
神戸で勢力争いを続ける明石・神和の抗争が飛び火した形で代理戦争が繰り広げられた、広能・打本の連合勢力と山守組の争いもまた歯止めの効かない泥沼の様相を呈していて
中立を公言していた義西会の岡島を広能らが説得に成功した辺りから
バランスの崩れた広島の覇権争いは血の雨が降らない日がないほどの暴力に明け暮れる悲惨な状況に陥ります
1973年1月に公開された1作目から4月、9月と間を置かずに矢継ぎ早に続編を公開して耳目を集めた(実録ヤクザ映画)の4作目は
そのタイトルに警察側が銘打った作戦名を附して、広島ヤクザ戦争の終焉を描きました

若者の暴走

それを黙認する形になってしまう幹部たちの駆け引き
卑怯未練と蔑まされても平気な者もいれば
若者たちの惨状を心中穏やかならざる気持ちで傍観する事になる者もいる

その哀れ、その滑稽

4作を手掛けた笠原和夫の見事なシナリオは、この(頂上作戦)に於いて愈々そのヤクザ渡世の無様さ哀れさ、いい気なものぶりの滑稽さを炙り出し
死にゆく者への哀れみを市民が嘆くその姿に矛盾という怒りをぶつけて
重喜劇の幕を降ろします

名場面と呼ばれる、広能・武田が懲役を食い抗争を回顧してため息をつくその時さえ
口が肥え寒さがこたえる身になって、懲役は体力が要だなと嘯くその気取りに

男ぶりを感じるか
空威張りを読むかは、見方次第

間違いなきは
シリーズ物として、この4作目まではギラギラと輝き煮えたぎる
喜劇としてアクションとして
名作と呼ぶに相応しいシリーズです


昭和49年・東映
監督〜深作欣二
脚本〜笠原和夫
原作〜飯干晃一
音楽〜津島利章
出演
菅原文太
松方弘樹
曽根晴美/山城新伍
八名信夫/三上真一郎
志賀勝/夏八木勲
福本清三/田中邦衛
金子信雄
小池朝雄
内田朝雄
加藤武
遠藤太津朗/室田日出男
小倉一郎/小林稔侍
黒沢年男/長谷川明男
鈴木瑞穂/吉田義男
汐路章/渚まゆみ
中原早苗/丹波哲郎
梅宮辰夫
小林旭
(2021.4.6より転載)