ー愛知公演に向けて〜ピアノの良さと共に〜ー


一昨年の11月から始動した愛知公演においては、“初心を思い出させてもらえる場”です。



・舞台芝居
・ドラマ
・映画
・紙芝居
・絵本や小説
・朗読
・絵画
等は、初見さんや子どもにも分かりやすい(=作品の良さに触れやすい)。
おそらく言葉or視覚的要素のどちらが入っているからだと考えています。


音楽の中でも、合唱を含む“歌曲”であれば、歌詞があり、歌い手の表情も付随する分、比較的伝わりやすいです。しかし、ピアノの公演は・・・?







他の楽器にはない長所は、“80以上もある弦の集合体”が、あらゆる感情の波を表現することだと私は考えています。1台のみで、“言葉で表しきれない”
・爆発的な感情
・深い悲しみ
・ため息のような自然な感情
・喜び
等を奏者が表すor観客が受け取るには、適している楽器だと思います。



一方、一番最初に他の芸術の魅力として書いた“説明的要素”がない分、“分かりやすさ”には欠けることは確かです。
これは過去の久野久シリーズやヴォーリズ公演の際にも感じたことでもあり、
・題材人物について予備知識があるお客様
・題材人物や楽曲について知らないが、日本史や世界史を理解しているor国語力が一定以上あり、公演中にパンフレット内容を把握できるお客様
が、スムーズに楽しまれた、という共通点があります。




主催した過去の南吉シリーズ(半田2回、安城2回)を振り返ると、“音楽で日記の内容を追体験する”という趣旨に辿り着く客層というのは、
①作家の人生について予備知識がある
②作家の日記内容をスムーズに読みこめる
のいずれかに該当する方々でした。



つまり、音楽に精通している必要性はないのだと思います。一方で、“面白い”と思える観客層は、良くも悪くも“元々、勉強好きな人”や、“日常、勉強する習性がある人(※学力の問題ではない)”に限られてしまう面はあるようです。


では、どうするかと考えた部分はありましたが・・・。
視覚的要素・言葉を持たないデメリットを打ち消すことに必死になりすぎると、多少は短絡的にわかりやすくはなるかもしれない。しかし今、お楽しみいただいている観客層には、逆にお楽しみいただけなくなると思います。
“ピアノコンサートにしかない良さ(=静けさ、解釈の多様性や深み)”が、消えるからです。



勿論、全ての人にお楽しみいただければベストですが、残念ながら演奏会にせよ、教育にせよ、飲食店にせよ、そのものを“面白い”と思える対象は限られます。
ピアノでの南吉シリーズに関しては、南吉さんの人生を理解し、日記を少し読んだ経験のある方々のほうが、お楽しみいただきやすいことは確かなのでしょう。
しかし、だからといって、「鑑賞を希望してくださる方々には、全員にお楽しみいただけることが望ましい」と私は思っているので、今後も観客を特定化することはしないと思います。




その公演を楽しみにきてくださるお客様にとって「面白い」と思えることが一番であり、同じく、出演者やスタッフにとっても、「また行きたい」と思えない限り、持続不可能です。
そういった意味で、3月、お客様もスタッフも私も、素敵な時間が過ごせるような、良い公演にしたいと思います。



安城公演
「君もそこに坐って聴きたまえ」


半田公演
宮沢賢治✕新美南吉



次回のブログでは、年末の打合わせのときのぶらり旅についてまとめます。






今後の演奏会予定


2024年3月2日
1公演目
ピアノリサイタルⅫ「日本の礎を築いた神戸のピアニスト小倉末子没後80年記念 後世に託された最後の希望」
@グッゲンハイム邸(神戸市塩屋)


イープラスで販売中。

同日2公演目
ピアノリサイタルⅩⅢ「ソナタ最終章」

こちらの2公演目は、チケット販売はありません。1公演目(小倉末子さん)のチケットをご購入されたお客様のみが、無料でそのままご鑑賞いただけるシステムです。その他のお客様はご入場いただけません。


2024年3月23日
久間あゆみピアノコンサート「君もそこに坐って聴きたまえ〜南吉先生と音楽の空間〜」番外編「虚無と衝動」
@アンフォーレ(愛知県安城市)
チケットぴあで販売中




3月23日
久間あゆみピアノコンサート「東の賢治 西の南吉〜春と修羅・銀河鉄道の夜〜」
@半田空の科学館プラネタリウム(愛知県半田市)
チケットぴあで2024年1月11日販売開始



5月25日
ピアノリサイタルⅩⅣ「かの名はホーゼンフェルト “将校になっても人で在りたい”〜戦場のピアニスト〜」
@奏美ホール(滋賀県大津市)
最寄り駅は大津駅。京都駅より大津駅まで約9分なので、他府県からご来場いただきやすい場所です。

映画「戦場のピアニスト」より。音楽鑑賞だけではなく、人権教育をテーマにした題材です。イープラスにて販売中。



5月25日
ピアノリサイタルⅩⅤ「滋賀の魅力に触れるvol.3巖谷小波と紫式部」
@奏美ホール(滋賀県大津市)
最寄り駅は大津駅。京都駅より大津駅まで約9分なので、他府県からご来場いただきやすい場所です。



イープラスにて販売中。