維新・都構想の危険性   5 | 社会の裏を晒すブログ

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営繕堂(奈良)・ジェイマップスの悪質度を晒す
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長周新聞より

■小野田正利(大阪大学・名誉教授)教育学

2012年3月に維新の会が中心となって成立させた「教育基本条例」以後、大阪の教育は危機的状況に直面している目の前の課題に黙々と取り組んできた優秀な教師たちが大阪を離れていった。残った教師・新しい教師たちは、踏ん張りながらも疲弊の局地にある。中1から中3まで府独自の「チャレンジテスト」実施が高校入試に大きな影響を与え、大阪市の統一テスト、定期試験や実力試験も加わることで、中3生は平均で年間21日もテスト漬け(授業日の1割)の日々を過ごす羽目になって追いつめられ、学校から躍動感が失われ続けている。


「大阪都」になれば、政令指定都市として有していた独自財源の多くが府=都に吸い上げられる中で、政令指定都市が有していた優秀な教員確保のための採用や研修の権限は喪失し(「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」第58条)、学校設置運営に関わる学校の条件整備も、四つの特別区ごとで大きな差異が生まれ、より劣化し貧弱になっていくことは明確である。市の教育委員会を四つに分割すれば、教員採用事務も学校建築・修繕事務も給食事務も分散化して質が低下する。


 コロナ禍による不況で財政収入は激減し、向こう5年近くは改善の見通しが立たない。説明会資料には「国が補助金をくれるから大丈夫」と書いてあるが、市の来年度は500億円の減収であり、国からの交付税は4000億円削減(マイナス2・4%)すると総務省が発表している。収支不足は確定的であり、都構想の根幹となる最も重要な根拠が崩れた。大阪市を廃止してしまえば「成長戦略」ではなく「破滅戦略」としかいいようがない。