長周新聞より
■西澤 信善(神戸大学・名誉教授)アジア経済論
2015年の住民投票の結果は、たとえ僅差であってもそれを受け入れなければならない。英国のEU離脱の国民投票は一度きりで、それが正しいやり方である。2回目の住民投票にかかる膨大な費用(58億円)は、税金の全くの無駄遣いである。経費の削減を声高に叫ぶ維新の主張と矛盾する。
府市重複の無駄というが、例えば大阪府大と大阪市大の二つの大学が存在しても直ちに重複の無駄とはいえない。大阪府大は獣医学、農学、教育学、法学等を伝統的な強みとしている。大阪市立大学はかつての大阪商科大学であり、東京一橋大、神戸大と並び日本の三大商業大学といわれ、商都・大阪の伝統を一身に背負った大学である。それゆえ商学部や経済学部が強みだ。それぞれ建学の精神も専門分野も異なる大学が二つあることが「無駄」というのは筋の通らない暴論である。