長周新聞より
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/18698
■冨田宏治(関西学院大学・教授)政治学
民主主義の本質は熟議であり、数の力で押し切る多数決ではない。熟議を尽くして合意を形成することのなく、政治的取り引きや密約によって数を確保して多数決で押し切ることは、究極の反民主主義でしかない。
政令市である大阪市を廃止して、村以下の権限と財源しか有しない特別区に分割するという「都構想」は、そもそも熟議による合意形成の対象と成りうる代物ではない。
今回も、維新と公明の密約暴露、禁じ手とも言うべき府市クロス選、公明の不可解な方針転換という熟議を欠いた政治過程の末の住民投票だ。背後には維新、首相官邸、創価学会本部の間のパワーゲームの影が見え隠れしている。
歴史ある政令市である大阪市の命運をこのような形で尽きさせる訳にはいかない。