長周新聞より
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/18698
■河田惠昭(京都大学・名誉教授)防災学
防災・減災は選挙の票につながらないと素人政治家は判断し、今回の大阪都構想における大阪市の区割りや大阪府との役割分担において、防災・減災は全く考慮されていない。しかし、南海トラフ巨大地震は今にも起きかねないほど危険である。それだけでなく、もし谷町筋に沿って南北に走る上町断層帯地震が起これば、現状では、大阪市だけでなく大阪府全域が壊滅する。市民の安全・安心を守るのは大阪市行政の最重要課題である。
地震と津波で大阪市営地下鉄や水道が壊滅すれば、大阪市の繁栄どころか、津波や火災で多くの市民が犠牲となり、復旧・復興もままならず、これが致命傷となり大阪市はさらに没落する。民営化の前にもっと地下鉄と水道をはじめ、社会インフラの防災対策を進めなければならない。大阪市がバラバラになれば防災はできなくなる。
福祉・教育・医療などサービスを切り詰めていくのではなく、維持し、拡充していかなければならない。銭金勘定ではなく、第一に住民の生命を守るために行政があることを忘れてはならない。