長周新聞より
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/18698
藤井聡(京都大学大学院・教授)公共政策論、国土・都市計画
『大阪都構想』と呼ばれる過激な行政改革は、あらゆる学術的視点から考えて「論外」としか言いようがない。
第一に、市の廃止は「大阪市」という一つの社会有機体の「死」を意味し、柳田国男が徹底批判したいわゆる「家殺し」に他ならない。第二に、それに伴って大阪市民が税の支払いを通して享受している厚生水準が大きく毀損する。第三に、大阪市という大きな活力を携えた共同体の解体によって支えられていた大阪、関西、そして日本の活力と強靱性が毀損し、大きく国益が損なわれる。
最後に特定公政治権力がこうした危険性についての議論を隠蔽し、弾圧したままに、特定の政治的意図の下、直接住民投票でそれを強烈に推進しようとしている。つまり、それはその中身も推進手続きも論外中の論外の代物なのである。