奇しくも「男はつらいよ、フーテンの寅さん」役の渥美清は、松本清張と同じ、8月4日に亡くなりました。そしてまた、寅さんこと車寅次郎にも2つの生年月日があるのです。といっても寅さんは物語上の人物ですので、作品を通してしかその人物像に迫ることができません。テレビや映画、小説などの登場人物の生年月日が明示されることはよくあります。実在の人物ではなくてもその作品の中でなるほどと思わせる生年月日もあれば、「?」と首をかしげることもある中、おそらく東洋や西洋の占いに精通している人にお願いして設定することもあるのではと思います。
車寅次郎の2つの生年月日を紹介します。一つ目は1940年11月29日です。時間は不明ですが、正午で作成したフラットチャートです。
太陽と月がいて、水星、金星、火星がさそり、木星、土星、天王星がおうしで、カーディナル無し、フィックスト7で多く、風がゼロ、+3-7です。いての太陽と月は、冒険家、パイオニア的、世俗性と精神性を併せ持つ、明るい性格・気質のイメージですが、マイナスが多く、逆行が4なので、内向的でやや否定的に物事を考える傾向があるかもしれません。また木星と土星のコンジャンクションは、時代のリーダーになり得る素質を持っていると言われます。例えばジョン・レノンが1940年10月生まれでこの組み合わせがあります。アスペクトでは、太陽と冥王星がトラインなので、カリスマ性があり、大きなことを成し遂げるパワフルな人でもあるでしょう。金星と火星のコンジャンクションは、異性には困らない、恋愛には恵まれていますが、さそりなので自分の気持ちを出さないこともあるのでは。確かに、いての太陽と月は、自由を求めて外に出ていくこと大いにあるでしょうが、木星、土星、天王星が地のサインのおうしや、水星、金星、火星のさそりは、大変頑固で、安定性、保守性を好むとも言えます。
それではもう一つの生年月日、1936年2月26日の場合を見てみましょう。CFMのバランスはやや女性的、火地風水と+-はバランスが取れていて、逆行が2、太陽と土星がうお、月と火星がおひつじ、水星と金星がみずがめ、そのほかの天体もサインが異なり、11月29日のようにオーバーロードのサインはないので、極端ではない人柄が想像できます。うおの太陽は、内向的、ミュータブル、水で、海王星が支配星です。性格、人格、意志、理想の太陽が、ロマンチスト、優しい、感性豊か、優柔不断、あきらめが悪い、理屈が通らない、などに結びつきます。アスペクトでは、先ず太陽と土星のコンジャンクションが目立ちます。この組み合わせは、厳しい父親、努力家、責任感が強い、悲観的などの特徴があり、人生には限界があると自覚し生きていく姿が浮かびます。また健康が問題になることも。寅さんは実の父親には邪険にされたのですが、妹さくらの母親が愛情たっぷりに育ててくれたおかげで、根性は腐らずに成長することができました。身体は丈夫そうですね。でも「うお」なので、父親はお酒が好き、怠け者のマイナス面もあるかもしれません。月と火星のおひつじは、うおとは違い、積極的でエネルギッシュ、前向き、スピーディにせっかちが加わり、日常生活では活発な姿があります。水星と金星のみずがめコンジャンクションからは理性的、芸術性センスの持ち主が連想できます。
渥美清は、1928年3月10日です。彼のホロスコープは太陽がうお、水星と金星がみずがめでコンジャンクション、木星と天王星もややコンジャンクション。そして太陽と冥王星がトラインで、カリスマ性、パワフルな指導者、大きなことを成し遂げる可能性が示唆できます。月は時間が不明ですが、寅さん像を壊さないために、私生活は謎に包まれていたとのことから、さそりではないかと考えます。
寅さんの生年月日は果たしてどちらがぴったりでしょうか? 渥美清がうおなので、単純にうおにしたい気持ちが強いですが、そればかりではなく、うおのロマンチスト、惚れっぽい特徴のおひつじ、あっさりしたみずがめから、2月26日が寅さんの誕生日ではないかと私は、思います。