太平洋戦争の末期、広島、長崎、新潟に核爆弾を落とされた日本は、戦後のポツダム宣言を受諾せず壁によって東西に分断され、民主主義の西日本共和国と社会主義の東日本連邦皇国の2つの独立国家となった日本。
同じ国民でありながら、経済格差や思想の違いからお互いを憎みあい、発展していった終戦から70年後、両国のトップが密かに統一を目指す日本が舞台。
まるで東西に分断された以前のドイツや朝鮮半島のようなでした。
そんな西日本で高校生をしている彰人は、両親を亡くし子供の頃からの憧れである死を手に入れるため、学校の屋上から飛び降りようとしていたところを、不登校のクラスメート沙希によって自殺を止められ、「バイトをしてくれたら、労働の対価で殺してあげる」と言った沙希と契約を結び、知らないうちに日本を壊すと言う、沙希の壮大なテロ計画に巻き込まれて行きます。
大企業の会長でありながら、お小遣い稼ぎと称して現金輸送車を襲撃するところから始まった沙希のテロ計画。
核爆弾を搭載したと思わせたロケットや、天然痘ウィルスを利用して両国のトップや軍を巻き込んで翻弄する、沙希の手腕がとても見事で、まるでテロ計画というよりマジックを見ているようでした。
沙希のテロ計画、実際には日本統一を目指すブラフで、現金輸送車を襲撃、ロケットは日本統一を祝う祝砲、天然痘ウィルスは無害なものでただの脅しと時間稼ぎ。
全て沙希が事前に仕組んだもので、廻りも周知の計画だったのですが、何度も騙されながら読み進めました。
(ロケットに関しては、花火師が出てきたところでちょっと、予想がついてしまいましたけど(^^;;))
戦争を起こすわけでもなく、偽テロ計画で平和的に日本統一を果たした沙希たちの物語の終わりは、爽やかでとても粋なものでした。
知念先生というと医療ミステリーのイメージが強く、この本は社会派エンターテインメント小説と言った感じでしたが、楽しんで読み進めることができました。
この本を読んでいて思ったのが。
戦後の日本がポツダム宣言を受諾していなかったら、終戦を先延ばしにしていたら、この本のように東西を壁で分断されたり、核爆弾の被害をさらに受けていた可能性もあったのかと思うとゾッとしました。
この本のような日本になくて本当によかったと思います。
内容(「BOOK」データベースより)
一九四五年八月十五日、ポツダム宣言を受諾しなかった日本はその後、東西に分断された。そして七十数年後の今。「バイトする気ない?」学校の屋上で出会った不思議な少女・沙希の誘いに応え契約を結んだ彰人は、少女の仕組んだ壮大なテロ計画に巻き込まれていく!鮮やかな展開、待ち受ける衝撃と感動のラスト。世界をひっくり返す、超傑作エンターテインメント!
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