郁くんに振られてからふさぎ込む毎日だった。


そんなときに千鶴ちゃんからよく連絡が来るようになった。


綾乃 「久しぶりだね」

千鶴 「元気だった?」

綾乃 「うん」

千鶴 「綾乃に紹介したい人がいるんだけど」

綾乃 「え?」

千鶴 「遊ばない?」

綾乃 「んー・・・」

千鶴 「とりあえず遊ぶだけ」

綾乃 「・・・うん」


久しぶりに千鶴ちゃんに会うことになった。


夜に千鶴ちゃんは男の子3人と一緒に来た。


綾乃 「こんばんは」

千鶴 「久しぶり~」

綾乃 「すごい久しぶりだね」

千鶴 「慶太と、貴史くんと、康史くんだよ」

慶太 「おじゃましま~す」


慶太くんはとても明るくてすごく話しかけてくれた。


千鶴ちゃんが私に紹介したいと言っていたのが

貴史くんだった。


貴史くんはあまり喋る人ではなく

たまに笑ったりはしたけど、ほとんど話すことはなかった。


その日以来、千鶴ちゃんは

慶太くんと貴史くんとよく遊びにくるようになった。


そんなとき、美香の友達の男の子とも

遊ぶようになった。


美香の友達の男の子で1人とてもおもしろくて

優しそうな男の子がいた。

永井くんという名前だった。


永井くんとだんだん仲がよくなり

メール交換もするようになった。

永井くんは今まで誰とも付き合ったことがないと言っていた。


そんなところが少しかわいくて

だんだん、永井くんの優しさに惹かれていった。


永井 「今度遊ばない?」

綾乃 「ん?いいよ」

永井 「二人でだよ?」

綾乃 「あはは、いいよ」

永井 「やった」


そんなことで喜ぶ永井くんにとても癒された。


それから数日後、

永井くんから付き合ってと言われ

永井くんと付き合い始めた。





龍介 「週末遊ばない?」


龍介くんのこの一言にすごく救われた。


綾乃 「うんいいよ」

龍介 「じゃあ、和樹も誘っておくね」

綾乃 「あいよ~」


龍介くんと遊ぶのは楽しいから

少しでも郁くんのことを忘れたかった。


その日は3人でカラオケに行った。

長くいたので、私の家の方のバスがなくなってしまった。


綾乃 「あ~もうバスない。今日はオールだね」

龍介 「は?俺達は帰るけど」

綾乃 「女の子を1人にする気?」

龍介 「女の子って誰それ?」

綾乃 「・・・和樹くんはそんなこと言わないよね?」

和樹 「あはは」

綾乃 「・・・」

龍介 「ウソだって!もちろん付き合いますよ」

綾乃 「当たり前です」


でも、お金もあまりなく、行く場所がなかった。

そんなときにいつも行っていた場所は

龍介くんの家のマンションのロビーみたいな場所だった。

よく、そこでタバコを吸って怒られていた。


綾乃 「今日はあのおじさんいないかな?」

龍介 「もう、夜中だからね」


いつもの場所で3人で話していると

もう、朝方になっていた。


龍介 「お腹すいた」

綾乃 「うん」

和樹 「コンビニ行く?」


3人で龍介くんの家の近くのコンビニに行った。


龍介くんの家は繁華街にあり、郁くんのお店から近かった。


コンビニで立ち読みをしているとき

ふと、外を見ると見たことのある人が見えた。


誰だっけ?そう思い考えると

郁くんのお店で働いていた男の子だった。


その後ろに見えたのが郁くんだった。


やばい!そう思い、コンビニの奥の方に移動した。


郁くん達はコンビニに入ってきて

私の方に歩いてくる。


私は奥にあったパン売り場にしゃがんでしまった。

なるべく顔を見せないようにしながら

どうしよう!とパニックになった。


龍介 「どうしたの?」


龍介くんが声をかけてくれてホッとした。


綾乃 「パン・・・見てるの」

龍介 「パン食べるの?」

綾乃 「・・・うん」


そんな会話をしているとき

郁くんたちは私たちの後ろを通り過ぎ

レジに行ってお店から出て行った。


はぁ・・・見つからなかったかな。


その日の私の服装は、いつも郁くんのお店に行くときの服とは

まったく違う服装をしていたので、たぶんバレていないと思う。


ビックリしたけど、最後に郁くんを見て、声を聞けてよかったと思った。





郁くんと遊ぶことになった前の日。


私の緊張はピークに達していた。


なんて言えばいいんだろう・・・。

すぐに、東京に行っちゃうんだから

付き合ってとは言えないな。


そんなことを考えているだけで

どんどん時間は過ぎていく。


あ~もう無理!明日考えよう。


そう思っていたとき、郁くんから連絡がきた。


郁 「明日さ、遊べないかも」

綾乃 「えっ?なんで?」

郁 「絶対に出るスロットの台があるんだよね」

綾乃 「は?」

郁 「絶対に出るのさ!」


またか・・・

祐介くんと付き合っているときも

カイくんを好きだったときも、

いつもスロットに行くと言う言葉を何回も聞いた。


どんなに一緒にいてほしいときも

彼らは行ってしまう。


スロットよりも下なのかぁ・・・

そう思うととても悲しくなった。


綾乃 「じゃあ、何時になってもいいから

     遊べそうだったら連絡ちょうだい」

郁 「わかったよ」


そう言って電話を切った。


私って何なんだろう・・・

でも、行かないでとは言えない。

私にそんなことを言う権利はないんだ。


次の日、ひたすら郁くんからの連絡を待った。


それでも、何時になっても電話が鳴ることはなかった。


寂しくて、私は1人でお酒を飲み始めた。

お酒を飲んで考えているうちに

きっと、もう二度と会うこともないんだから

メールで好きだったと言おうと決めた。


酔ってるせいもあり、勢いでメールを入れてしまった。


ずっと郁くんのことが好きだったの。

東京に行く間でいいから付き合ってもらえませんか?


東京に行くまでといっても、あと二週間もないくらいだった。


無理だとわかっていても、言わずにはいられなかった。


いくら待っても返事は来ない。

私は泣きながら眠りについた。


次の日、朝起きて携帯を見ると郁くんからメールが来ていた。


ドキドキしながらメールを見ると


すごく嬉しいけど

やることもたくさんあって、付き合うのは無理です。

ごめんなさい。


読みながら涙が出た。

振られたんだなぁ。もう二度と会えないんだ。


もう、二度と声も聞けない・・・


言わないでいたら、あと二週間でも連絡を取っていられたのかな。


・・・でも、これでよかったんだ。

好きって言えただけ、よかったんだ。


後悔しない為に言ったんだから、

好きって言ったことを後悔するのは止めよう。


そう思い、私はただ泣くことしか出来なかった。