龍介くんがゲームを始めてから

私はドキドキしながら見ていた。


龍介 「あ~、やっぱり難しいね」


一回目はクリア出来ずに終わり

私はホッした。


龍介 「でも、なんかコツつかんだかも」

綾乃 「えっ?またぁ~」

龍介 「次、クリア出来るかも」


そう言い、龍介くんはゲームをし始めた。


綾乃 「あっ!」

龍介 「クリアしちゃった」

綾乃 「・・・」

龍介 「・・・奴隷?」

綾乃 「・・・誰が?」

龍介 「綾乃」

綾乃 「・・・」

龍介 「あはは!何してもらおう!」

綾乃 「やだ~!」

龍介 「まだ何も言ってないから」

綾乃 「だって、絶対イヤなことに決まってるもん」

龍介 「そんなことないって」

綾乃 「じゃあ、なに?」

龍介 「ねぇねぇ、一個だけ?」

綾乃 「なにが?」

龍介 「言うこと聞いてもらえるの」

綾乃 「・・・そうだよ」

龍介 「そんなこと最初に言ってなかった!」

綾乃 「言い忘れた!」

龍介 「ずるいなぁ。じゃあねぇ・・・」


本当にクリアしちゃった。どうしよう!

本当にものまねって言われたら

土下座して謝ろうと考えていたとき


龍介 「決めた」

綾乃 「えっ!なに?」

龍介 「キス」

綾乃 「は?」

龍介 「キスしたい~」

綾乃 「・・なんだ」

龍介 「なんだってなにさ~」

綾乃 「いや・・・ものまねって言われると思ってたから」

龍介 「はぁ?そんなこと言わないよ。

     どうせ似てないってわかるから」

綾乃 「失礼だね!」

龍介 「じゃあ、ものまねにする?」

綾乃 「いや、それは無理」

龍介 「じゃあ、キス~」


まさか、龍介くんがそんなことを言うとは思ってなかった。


千鶴ちゃんのことを考えた。

でも、千鶴ちゃんも浮気している。

でも、千鶴ちゃんを裏切ることになる・・・


そればかりが頭から離れない。


千鶴ちゃんも大切だけど、龍介くんも大切。


龍介くんが私に何かしてほしいって

言って来たのは初めてだった。


いつも、私のお願いを聞いてくれてるのに。


離婚するならいいのかな・・・


龍介 「ダメ?」

綾乃 「・・・いいよ」


どうしても、イヤとは言えなかった。

イヤじゃないから・・・。


龍介 「じゃあ・・・」


そう言い、龍介くんは近くにきた。

顔がだんだん近寄って最高に緊張したとき


綾乃 「ぶっ!あはは、やめてよそれ」

龍介 「なにが?」

綾乃 「口!タコみたいになってる!」

龍介 「あぁ、ごめん」

綾乃 「本当にそんな口する人初めて見た!」

龍介 「あはは」


二人して笑い転げた。

でも、このおかげで緊張が解けた。


そうして、私たちはキスをした。


一度してしまうと止まらなくなり、何度も何度もキスをした。


このことが悲しい結果への始まりだと知らずに

ただ、私は龍介くんのキスに夢中になっていた。






その頃の私は永井くんのことを考えるよりも

千鶴ちゃんと龍介くんのことばかり考えていた。


千鶴ちゃんに話を聞いて二週間くらい経った頃

龍介くんから電話がきた。


龍介 「綾乃、週末ヒマじゃない?」

綾乃 「ん~、ヒマだよ」

龍介 「遊ぼうよ」

綾乃 「いいよ」


初めて龍介くんと二人で遊ぶことになった。

まさか、龍介くんとは何もないと思っていたので

特に気にはしていなかった。


私の家で普通にゲームをして遊んだ。


綾乃 「これ、どうしてもクリアできないとこあるんだよね」

龍介 「え~、綾乃下手そうだからね」

綾乃 「何言ってんの!私ゲーム大好きなんだからね」

龍介 「どれ?やってみたい」


そう言い、龍介くんはその場面をやってみたけど

やっぱりクリア出来ずに終わった。


綾乃 「ねっ!難しいしょ?」

龍介 「うん・・・」

綾乃 「どうしたの?」

龍介 「まさか、綾乃と同じレベルだったなんて」

綾乃 「なんですかそれ?」

龍介 「ウソです」


こんな感じで、とても楽しく遊んだ。


夜中になり、龍介くんは自転車で帰っていった。


楽しかったなぁ・・・

そんなことを考えていたけど、まさかこのゲームで

龍介くんと私の関係が変わるなんて夢にも思っていなかった。


龍介くんと遊んだ何日か後、電話がきた。


龍介 「あのゲームまたやりたいんだけど」

綾乃 「あれハマるよね」

龍介 「絶対クリアしたい」

綾乃 「無理無理」

龍介 「いや、次は絶対クリア出来る」

綾乃 「龍介くんには絶対無理だって」

龍介 「じゃあ、もしクリア出来たらどうする?」

綾乃 「クリア出来たら?う~ん、じゃあ龍介くんの

     奴隷になってもいいね」

龍介 「奴隷?」

綾乃 「うん、龍介くんの言うことならなんでも聞くよ」

龍介 「本当?なんでも?」

綾乃 「うん、絶対無理だし」

隆介 「言ったね?」

綾乃 「え?なにを?」

龍介 「なんでも言うこと聞くって」

綾乃 「う・・うん」

龍介 「その言葉忘れないから」

綾乃 「・・・いいよ、言うこと聞きますよ」


ちょっと後悔した。

もし、ものまねしろって言われたらどうしよう!

ヤバイ・・・絶対無理だ・・・。

そんなアホなことばかり考えていた。


龍介 「さて、ゲームしますか」

綾乃 「本当にするの?」

龍介 「当たり前じゃん!」

綾乃 「これ以上、クリア出来なくて

     恥ずかしい思いしなくてもいいんじゃない?」

龍介 「あれ?この前の威勢はどこいったの?」

綾乃 「いや・・・龍介くんが可哀想かなと思って」

龍介 「いや、全然大丈夫だから」

綾乃 「あ・・そう」

龍介 「チャンスは何回?」

綾乃 「えっ決めていいの?」

龍介 「いいよ、何十回もやったらクリア出来るじゃん」

綾乃 「そっか・・・そうだよね!」

龍介 「あはは」

綾乃 「じゃあ・・・三回!」

龍介 「わかった」


そうして龍介くんはゲームを始めた。







永井くんと付き合いだしてからは

何もなく、平和な日々だった。


私はこんな平凡がほしかったのかな・・・


なんの不安もない生活。

それを望んだはずだったのに

実際になってみると、なんだか物足りなかった。


カイくんや郁くんを好きだったときの

気持ちがどうしても永井くんには持てない。


そして、永井くんはすごく甘えん坊で

ベットで二人で寝転んでいると

私の腕を引っ張り、私の腕枕で寝ていた。


普通逆じゃない・・・?


だんだんと永井くんへの気持ちは減っていく。


そんなとき千鶴ちゃんから電話がきた。


千鶴 「あたし、貴史くんのこと好きになっちゃった」

綾乃 「えっ!龍介くんは?」

千鶴 「・・・離婚しようと思ってるんだ」

綾乃 「なんでそんな急に」

千鶴 「貴史くんのこと好きかもって思い始めてから

     ずっと考えてたんだ」

綾乃 「・・・やった?」

千鶴 「ウフフ、うん」

綾乃 「・・・」


龍介くんのことも知っているだけになんだか

なんとも言えなかった。

龍介くんとは恋愛話や、いろんなことを話すから

けっこうなんでも知っていると思っているけど

龍介くんは浮気は絶対にしていないと思う。

よく、離婚するとは騒ぐけど

千鶴ちゃんを裏切ったことはないと思う。


龍介くんを思うと悲しくなった。


綾乃 「もう付き合ってるの?」

千鶴 「ううん」

綾乃 「そっか、急いで結果出さなくてもいいんじゃない?」

千鶴 「でも、今は貴史くんのことが好きで

     龍介のことは考えられない」

綾乃 「龍介くんに言うの?」

千鶴 「うん・・・すぐには言えないかもしれないけど」

綾乃 「そっか・・・」


その三日後くらいに龍介くんから電話がきた。


龍介 「離婚するかも」

綾乃 「えっ?なんで?」

龍介 「千鶴が変なんだよね」

綾乃 「変って?」

龍介 「う~ん、よくわかんないけど」


千鶴ちゃんはまだ言っていないようだった。


いつも、龍介くんは私が落ち込むと

笑わせてくれたり、遊びに来てくれたり、

いつもいつも励ましてくれたのに・・・


私は龍介くんに何もしてあげられないんだ。


カイくんに振られたときも、郁くんに振られたときも

いつも、龍介くんに助けられてきたのに

私は肝心なときに龍介くんを助けてあげられない。


何も知らないふりで龍介くんの話を聞いているのは

とても辛かった。