こんにちは。今日は、富山県からの30代前半女性からのメッセージをご紹介します。
1回目受診のとき、診察室の椅子に座って話をする彼女は、顔から不安がすぐに読みとれるような表情をしていました。
この先生、本当にウワサ通り、きれいに治してくれるのかな?
遠くからわざわざ来たけど、その価値がある診察をしてくれるかな?
彼女の心の声は直接聞いていませんが、きっとこんな感じに思っていらっしゃったのでしょう。(そう思うのが普通ですよね!)
もともとステロイド治療をしていて、治りが悪いので何軒か皮膚科を変えたけれどやっぱり良くならないと。
お話を聞くと、使っていたステロイド軟膏はとくにおかしな感じはなく、たいていの皮膚科で処方される感じと同じ。保湿剤と混ざってはいましたが(実はここが治らない原因のひとつ!保湿剤と混ぜて、ステロイドが弱まってしまうために、効きが弱くなっていることがとても多いです。単体だとよく効くのに!)私もよく使うステロイドを処方されていました。
症状を見ると、決してものすごくひどいのではないのに、「中途半端に治療されている」そんな印象でした。中途半端だからいつもすっきりせず、いつもかゆい。そんな感じ。
診察を終えて、処方を終えたあとも、なんだか不安感が抜けきらない、そんな表情のまま、彼女は診察室を後にしました。
そして、1週間後。
診察室に入ってきた彼女は、別人のように明るい笑顔でした。そして、髪をばっさり切って、キュートなショートカットにしていました!
私:「まあ、びっくりした!誰かと思いましたよ!」
患者さん:「ずっと症状がひどくて家に引きこもっていたのだけれど、皮膚がキレイになったので、何ヶ月かぶりに美容院に行ったんです!」
とても楽しそうに彼女は笑顔で教えてくれました。
診察をすると、初回は全身あちらこちらに湿疹やら引っかき傷があったのに、たった1週間で湿疹らしい湿疹はほとんどなくなり、ごくごくわずかの乾燥程度となっていました。部分によってはヒルドイド(保湿剤)のみ、というところもあったくらい!
という訳で2回目診察はずっと笑顔のまま、運動療法を少しお伝えして終了となりました。
帰宅した彼女は、私にこんなメッセージを送ってくださいました。
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山本 綾子 先生
昨日はありがとうございました。
3年間ステロイドを塗ってもうまくコントロールできなくて、もうステロイドが効かなくなったんじゃないのか、やっぱり脱ステした方がいいのか、でも脱ステの辛さには耐えられないと悩んでいましたが、思いきって山本先生に診ていただいてよかったです。
1週間でとっても楽になって錯覚してしまいそうですが、今調子がいいのはお薬のおかげというのを忘れずに、ここからは自分の力で頑張って今度こそアトピーを治します!
昨日正しい歩き方をして帰ったら、ふくらはぎが筋肉痛になってしまい、今までちゃんと歩けてなかったんだなーと実感しました。昔からアトピーがひどくなると体調も悪くなって寝込んでしまうことが多いのもきっと血流が悪いことが関係していたんですね。正しい姿勢と歩き方を頑張って、しっかり筋力をつけたいと思います。
私に本当にできるのかと不安になってしまうこともありますが、まずはお腹の線をなくすことを目標に頑張ります!
早く良いご報告ができればと思います。
ありがとうございました。
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最近、ブログを読んで遠方からわざわざ来てくださる患者さんが増えています。
全身マイザーや全身アンテベートというひどい状態から治療開始となっても、私の指導通りに治療していただければ、1週間で「まともな生活ができない」という状態から脱出し、1ヶ月以内(1週間に1回の診察とすれば4回以内)にほぼ軽い乾燥程度に落ち着きます。
ほとんどの患者さんはその数回の診察の間に、ステロイドの正しい使い方をマスターされますので、「自分でステロイドを使いこなせるようになるかな」という心配は無用と思います。
ステロイドの使い方をマスターしてしまえば、病院でときどきステロイドを処方してもらいながら、あとは卒ステに向かって、生活改善と運動療法を継続するのみです!
今までの治療中に身につけてきた、アトピー改善についての知識や経験が、ステロイドでぐっと良くなったときこそ、活かされるというものです。
せっかく脱ステを頑張って来たのに、ステロイドを使ってしまうと、これまでの努力が無駄になるのではないか、と心配される患者さんも多くいらっしゃいますが、皮膚症状がひどかったときには十分に活かされなかった、アトピー改善の知識・経験は、皮膚症状が軽いからこそ十分に活かされると私は思います。決して無駄にはならないと。
人生に無駄なことなんて、ひとつもないのだと私は思います。