こんにちは。今日は、アトピー・冷え症を治そうと考える時に、最も基本的な考え方であり、究極のことを言えば、この考え方を徹底させれば、アトピーも冷え症も治せるという、基本中の基本について書こうと思います。
治療の上ではイメージがとても大切ですから、今日は、まるで子供の頃に読んだ「からだのふしぎ」シリーズの漫画のように、身体の中をイメージしながら読んでくださいね。
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さて、心臓が左胸にあります。心臓から大動脈を通り、どんどん細い血管となり、さらには細い細い血管(毛細血管)となり、皮膚へと血液がたどり着きます。長い長い道のりです。
血管はホースのようなものです。ホースの中を水が流れるように、血管の中には血液が流れます。
さあ、中に水が流れるホースを両足でぎゅっと踏んでみたとイメージしてください。ホースの中の水はどうなりますか?
そうですね!中の水は、ぴゅーっとホース口から出てきますよね!圧迫を受けたホースは潰されて、中の水が押し出される。
これが、人体ではどうなっているかと言えば、踏みつけた両足に当たるのが筋肉です。
「血管を挟み込むかのように筋肉が存在し、その筋肉が血管を圧迫すると、中の血液が流れる。」
「ホースの上から両足がホースを圧迫すると、中の水が流れる。」
ほら、同じ構造です。
運動すると、血流がよくなるというのは、実はこういうイメージだったんですね!
そして、この水の流れるホースの中にきれいな水が流れる時と、汚泥が流れる時。どちらが、すーっと水が流れやすいでしょうか?
そうですね!きれいな水のほうが圧倒的に流れやすい。
人体では、食事内容によって、血液がドロドロになったり、サラサラになったりして、それにより血液の流れやすさが変わってくるというのは、容易に想像できるかと思います。
油ギトギトの食事と、あっさり和食。そりゃあ、あっさり和食のほうが血液流れやすそうですよねえ。
水の流れるホースが、せっかく頑張ってきれいな水にして、周りからホースを踏みつけて中の水を押しだしたとしても、ずっと踏みつけっぱなしだったら、水は流れません。
それが人体では「あまりにも硬くなりすぎた筋肉」。
そして、ここまで挙げてきた点をすべてクリアーしたとしても、ホースの出口が閉じられていて隙間がなかったら、水は外に出ようがない。
この、ホースの最後をきゅっと閉じてしまうのに当たるのが、人体では「自律神経」。
せっかく皮膚のごくごく近くまで血液が辿りついていても、最後の最後で血管がきゅっと締め付けられていたら、皮膚にまで血液が届かない。それをコントロールしているのが、自律神経。
この自律神経。例えば寒いところに行くと、手足の血管がきゅっと締まって身体の血液が冷えてしまわないように、「人体の防御反応」として自分の意識とは別に「勝手」にコントロールされています。
また、リラックスモードでは、副交感神経が優位になり血管は開いていますが、過剰な緊張状態では、戦闘モードの交感神経が優位になり、血管はきゅっと締め付けられてしまいます。
「自律神経」がアトピー・冷え症を考える際に重要だと言われる所以はここにあります。
だから、「心の問題」がアトピー卒業には欠かせないのですね。
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なんとなく全体のイメージができたでしょうか?心臓から出発して、血管を通り、筋肉に押し出されながら末梢の細い血管までたどり着き、ようやく皮膚に血液が届く。ちゃんと皮膚にまでいい血液がたどり着くまでには、「たくさんの関門」がありましたね!
アトピー全体を考えようと思うと、さらにそこに、「皮膚に必要な栄養素」という観点からも、最低限食べなくてはならない食べ物(食事)があります。
また、せっかく口にはしたものの、きちんと吸収されなくては皮膚にまで届きませんので、「腸の状態」も重要となります。
こんなふうに「心臓から皮膚にたどり着くまでのすべての過程・工程」をもれなく考えてしまおう、というのが私が見つけた「アトピー発症機序理論」であり、実際私が外来で行っているアトピー治療です。
これまでさまざまなアトピー治療法というものが言われてきました。どの治療法にも、悪徳ビジネスでない限りは、よい点があったでしょう。ですが、どの治療法も「心臓から皮膚にたどり着くまで」という線の、ごく一点にしか注目してこなかったため、万人には効かなかったのだろうと思います。
これからのアトピー治療は、人間の身体を「全体」で見て、「心臓から皮膚にたどり着くまですべて」考えながら行う。
これが、本当の意味での「根本的」治療ではないでしょうか?