顔の湿疹から「身体との仲直り」 | 皮膚科医 山本綾子 の アトピー から学ぶ美肌法則

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山本ファミリア皮膚科 駒沢公園の院長、山本綾子の美肌法則ブログ。つきあう病気とされてきたアトピー を根治させようと奮闘して見つけた、身体から健康になる美肌法則。

こんにちは。今日はとても素敵な出来事があったので、皆さんとシェアしたいと思います。


患者さんは、アラフォーの女性。10月頃から2ヶ月以上も顔、デコルテ部分の湿疹が治らないと受診されました。


湿疹は、顔の輪郭部分(中央部分にはあまりなく、額や耳~顎の輪郭部位)と、首~デコルテ部分。身体はとてもきれいで湿疹もなく、しっとりしています。

姿勢がとても悪く、座るとお腹がぺこんと凹んでいました。そして、今回のこととは別件で、10年前からじんましんが出ているとのことでした。また、症状が出る直前の9月はとても忙しかったとのことでした。


身体があまりにきれいで、乾燥すらないことから、アトピーとは言えないけれど、(今までもアトピー症状は一切ありませんでした)「アトピー発症機序理論」から、原因が推測できたので、すぐにそれを確認しました。


顔の湿疹がひどいので、鎖骨リンパ節を触ると、右の鎖骨リンパ節がとくにゴリゴリしていました。


私:「右の鎖骨リンパ節すごいゴリゴリだねえ!」

患者さん:「そういえば、湿疹も右ばかりひどかったです!」


私:「これだけリンパ節がゴリゴリってことは、首も硬いかもね。首を左右に伸ばしてみましょうか?わあ!右の首だけ、全然伸びないねえ!左はこれだけ伸びるのに!」

患者さん:「ホントだあ!右だけ全然伸びてない!」


私:「この湿疹ね、猫背がひどくて、デスクワークとかで首が曲がってしまうと、細い首では頭を支えきれず、首がカチカチに凝ってしまったの。いまの場合は胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)という筋肉がカチカチになっていたのね。だから、その筋肉の場所を走る鎖骨リンパがゴリゴリになってしまったの」

患者さん:「そう言えば、以前リンパマッサージをしたとき、びっくりするくらい顔がきれいになったことがありました。私のリンパ、流れてなかったんですね。でも、どうしてこのタイミングで症状が出たんでしょう?」


私:「10年前からじんましんがずっと出ていたでしょう?じんましんって、教科書的には原因不明って書かれているけれど、私がずっと見てきた感じでは、やっぱり血流が悪くなっているときに、じんましんが出ているようなんですよ。だから、きっとじんましんが指し示すように、あなたは血流が悪い基礎があったと思うんです。で、9月末に急に忙しくなって、もともと血流が悪かったのに、さらに、体がカチカチになって、ついに顔の症状が出てしまったんじゃないでしょうか?」


こうお話したところ、患者さんは急に嬉し涙を流しながら、こう話してくださいました。


患者さん:「私、この歳まで何してきたんだろう?身体がこんなにボロボロになるまで、気づかなかっただなんて・・・・・首がこんなに伸びなくなるほどカチカチになっていたことにすら、気づかなかっただなんて!」

私:「でも、この顔の湿疹のお陰で、こうして今、あなたは身体がサインを出していてくれたことに気づいたんですよ!よかったですね!」


偶然、昨日(12月5日)のブログで、「アトピー治療は自分の心身と仲直りすること」だとお話していましたが、まさに、この患者さんは、この瞬間に自分の身体と仲直りしたのだと感じました。そして、そのお手伝いを私ができたことを、とても嬉しく思いました。