ギルドリーダー達の会議により、見張りの場所が決まった「彩虹」ギルド。
早速、皆は見張りの準備を始めます~
それでは、安定の妄想でゆきます(^^ゞ
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第3話〈寺院の見張り〉
日も落ちて月が昇ってきた頃、
「彩虹」ギルドの一行は滅びの寺院街で夕食の準備をしていた。
滅びの寺院街は数年前まで人々が住んでいたのだが、怪物が異常に増えてしまったため今では廃墟と化している。
そんな廃墟に何故アルク達がいるのかというと、例の団長会議で「彩虹」ギルドがここの夜警をする事に決まったからだ。
この寺院の最奥に納められている
「プルミエルジェム」―――
それは今狙われているホーリージェムの起源であり、神が人々に与えた怪物避けだ。
ホーリージェムが狙われるなら、起源であるプルミエルジェムも狙われる可能性が高い。
その理由で、寺院にはアルク達を含め、複数のギルドが割り当てられた。
――とは言っても、アルク達のギルドは少人数で歴史も浅い弱小ギルド。
持ち場は寺院から一番遠い寺院街の末端だ。
精鋭ギルドは寺院の中を護っている。
アカ「はぁぁ~楽でええわぁ~。」
アルク「言ってないでお前も薪を集めろよ。」
瓦礫の上に座ってくつろぐアカを、アルクは片足で軽く突っつく。
クロ達は街の残骸から木片を集めてくると、焚き火の横に置いて座った。
アルクは寺院街で捕った鶏肉をさばいて焼いていく。
ジュウウゥ…
アカ「ん~、おいしそうな匂いやな~」
アルク「何もしてない奴にはあげないぞ。」
呆れるアルクだったが、アカは何故か不敵な笑みを浮かべている。
アカ「ふっふっふ、私にはこんな秘策があるんよな!」
アカは鞄に手を突っ込むと、燻製チーズの塊を取り出した。
辺りに香ばしい薫りが漂う。
シロ「わあっ美味しそう!私にも頂戴!」
クロ「いいにおい…」
シロとクロはとろけそうな目でアカの持つ燻製チーズを見つめる。
ヴェルト「ま、待って下さい。そんな珍しい物、どこで手に入れたんですか!?」
アルク「―政庁に…請求したのか…。」
満面の笑みで頷くアカに、アルクは手で顔を覆った。
明らかに不要な請求物だ。後が怖い。
そんなアルクの心配をよそに、アカはチーズをカットして皆に配っていく。
チーズを受け取ったアルクは、渋々鶏肉をアカにも渡した。
アカ「それにしても何でホーリージェムを狙うんやろうなー。
だってあれは怪物と戦いやすくするもんやし、確実に素材を手に入れる事だって出来る優れもんやん?
それを盗むでもなく破壊するとか考えられへんわ。」
アオ「うーん、怪物からすれば、自分を弱体化させる厄介な代物に見えるんでしょうけど…。
犯人は人の姿だったんでしょう?」
首を傾げるアオに、ヴェルトは頷く。
ヴェルト「ホーリージェムの起源…プルミエルジェムは、主神が人に与えた物だと聞きます。
それを襲うとなれば、犯人は神に対して敵意を持っている――とか。
考え過ぎでしょうかね。」
クロ「神に敵対か…」
クロはモゴモゴと鶏肉とチーズを頬張りながら、何かを思い出すかのように焚き火をじっと見つめる。
シロ「…クロ?何か思い当たる事でも」
その時。
ドオォォン!
突然、地響きと騒音が寺院の奥から響いてきた。
アルク「なっ何だ!?今のは…プルルンジェムは無事か!?」
ヴェルト「落ち着いて下さい、プルミエルジェムですよ、アルク。
こういう場合どういう行動を取るのか、団長会議であらかじめ決めてないんですか?」
ヴェルトに制され、ハッと我に戻ったアルクはすぐさま弓を装備した。
アルク「何かあった時は、付近のギルドから数人駆けつけるんだった!
ヴェルトとアオはここで待機。
アカ、シロ、クロは俺と寺院の奥に向かうぞ!」
アルクが振り返ると。
アカ「分かった!このチーズ食べたら行くわ!」
シロ「待って、せめてあと一口…」
クロ「モっモゴ!」
――緊張感の欠片もない三人だった。
To be continued...
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寺院の中で何かが起こったようです…
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