親の我儘で振り回された2人の男女の話がメインです。
私はこの本を読んで、美しいなぁと思いました。
瀬戸内の小さな町で暮らす暁海。
そして、母子家庭で育った櫂。
2人は高校生ですが、運命的な出会いをします。
やがて惹かれ合う2人は恋愛関係に。
しかし、小さな町ですから、すっかり2人の関係も広まることに。
櫂は、漫画の原作を書き、尚人という青年と一緒にやがて有名になることを夢見るようになります。
やってきたチャンス。
編集者に「これはいけるぞ!」と言われ、櫂は原作を書き、尚人が漫画を書いて、2人の共同作品で青年誌でデビューすることに。
暁海は、父親の不倫に悩まされていました。
瞳子という刺繍作家の元に父親が。
暁海は、父親の不倫相手の瞳子が紡ぎ出す作品に惹かれ、彼女に密かに刺繍を習うことに。
いつか、この噂があっという間に広まる町を出たいと思いつつ、母親をおいてはいけないと思って悩んでいたのですが。。。
話は2人が成長していく、そんな背中を追っていきます。
櫂は漫画の原作者として、売れっ子になっていき、大金を手にするようになって、東京の暮らしへと溺れていきます。
2人は遠距離恋愛をするようになるのですが、2人の距離はどんどん離れてしまって。
それはそれで仕方がないのかなぁと思って、読み進めていったのですが、櫂は心の底では暁海を愛しつつ、他の女性とも付き合うようになっていきます。
母親の呪縛から逃れられない櫂。
男性にだらしがない、櫂の母親のほのかにちょっとイライラしました。
櫂が売れっ子になって、大金を手にするようになって、そのお金にも頼るように。
男性をとっかえひっかえ変える母親の、ほのか。
アニメ化にもなった櫂と尚人の漫画。
暁海は母親の面倒も見ながら、櫂との遠距離恋愛を選んで、時々、東京の櫂の元へと行くのですが、いつしか彼が浮気していることを肌で感じます。
それはそれで仕方がないのかなぁと思って読み進めていましたが、尚人の未成年買春疑惑でとんでもないことに話が進んでいきます。
凪良さんの作品は他に「流浪の月」も読んだのですが、物語の途中で登場人物に試練を投げかけるなぁと読みながら思いました
この「汝、星のごとく」は、タイトルがなぜこういうものになったのかはラストで明らかになります。
時々、物語の中で星のことがモチーフになり、その星が空でつながり、瀬戸内と東京をつなげあわせます。
櫂と暁海はどちらも母親の呪縛から逃れられないでいます。
途中、暁海の母親が怪しい(?)宗教にのめり込み、暁海がそれまでコツコツと貯めていたお金を全て注ぎ込むシーンがあったのですが、今問題になっている某宗教問題をモチーフにしたのかなぁと思うシーンもありました。
「不倫」を軸に物語は進んでいきますが、登場人物2人の高校時代の化学の先生の北原先生にもスポットが当たります。
彼は実は、その当時の生徒に恋愛感情を抱いて、その相手の女性に子供まで産ませた過去がありました。
その子供の結ちゃんが達観しているなぁというシーンもあって。
冒頭ではまだ小さかった唯ちゃんですが、ラスト近くで大人の女性へと変貌していきます。
北原先生を救い続けてきたのは、この結ちゃんなんだなぁと思って、ラストは怒涛の展開に。(ネタバレになるので、伏せますが)
悲しいまでの暁海と櫂の2人の恋愛。
2人が結局どうなるのかは、ラストでそれが明らかになることに。
櫂が書いた「汝、星のごとく」というのは、たぶん、2人の恋愛模様を描いたのかなぁとも思いました。
表紙がとっても美しい本です。
この本は図書館で順番待ちの本でしたが、借りてみてよかったなぁと思いました。
ぜひ、お読みあれ〜