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長い長い道のり……。
私は絶望、そしてあの方の身を思い、涙が止まりませんでした。
全て私の罪、あの方……。
すみませぬ、すみませぬ、お許し下さい、お許し下さい…………………。
「必ず迎えに行きます。」
この言葉を最後に、私はあのお方と生涯会う事は、ありませんでした。
私は桜の季節になると、あの方を思い涙を流しました。
それから何百人という身分高き殿方が私のもとへ訪れたでしょうか。
一度も心動かされる事などありませんでした。
そして桜の季節、涙を流しながら詠んだ歌でございます。
はなのいろは
うつりにけりな
いたづらに
わがみよにふる
ながめせしまに
幾度美しき桜の季節を迎えようと、私のもとへあの方は訪れず、桜は枯れてゆく。
私の生涯とは、なんなのでしょう。
私の最期は、食をとることなくやせ細り、私は一人森の中へと入り、川の近くの桜の木の下、私の生涯を終えました。
私の心からお慕いするお方は、生涯一人。
私は、幾度転生いたしております。
しかしあの方の生まれ変わりの魂とは会う事が出来ていません。
私のせいで、拷問にあい、私のせいで、つらい人生を辿ったかもしれないあの方へ、合わせる顔などありませぬ。
しかし、今、あの方の生まれ変わりを、今の現代、テレビという形で見る事ができました。
それだけで、私は幸せです。
あの方は、現代のアイドルという形で転生しておりました。
音楽を通して、またあの方を見る事が出来た。
この上ない幸せでございます。
私の転生しております女性は、もちろん彼の大ファンです。
そしてその女性は、私と共に彼のコンサートへと足を運んでくれました。
うれしゅうて、うれしゅうて、あの方の転生された彼は、現代でも音楽にたずさわり、多くの女性から慕われ、私はうれしゅうてうれしゅうて…。
私の転生した女の子が、あの方の転生された彼へ会える様願ってくれています。
しかし、私は遠くからあの方を見守るだけで良いのです。
いつかまた、笑顔で会える日を願って…。
私の夜明けが訪れる日まで…。
自由に恋愛のできる現代、とても幸せだと感じてください。
私のように身分の違いにより結ばれずした運命を辿ったお方、たくさんいらっしゃる事と思います。
自由に愛を育む事のできる現代に感謝をし、そしてあいするお方と共にいる幸せ、
感謝を忘れず、愛するお方を大切に大切にされてください。
愛するお方を傷つける事なく、出逢う事の出来た奇跡に感謝をし、
最期を迎えるその時に
「このお方と生涯を共に出来る事が出来て良かった。」と思えるよう、
愛するお方に愛を尽くしたくさんの今世の思い出をつくり生きてください。
それが私小町より現代の美しき大和の女性への願いであります。
~小野小町より~
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